暑い日が続く。夏だから当たり前なのだが、コロナの感染爆発もあり、こんな中でよくオリンピックなどする気になったなと改めて思う。特に屋外競技。選手や関係者、ボランティアの人たちは気の毒だし心配だ。トライアスロンなどは、去年から水質に問題大ありと指摘されていたのに、結局改善されずにレースに突入した。テニスは炎天下に2時間も試合をさせるし…。選手を含む大勢の人たちがこの炎熱に付き合わされているかと思うと、「惨事」にならない(発覚しない)のが不思議なくらいだ。
毎日毎日、メディアは日本が(国ではなく選手の間違い!)メダルを獲ったと大騒ぎしているが、騒ぐほどに興奮している人は周りにはあまり見ない。病院や食料品店の人くらいにしか会わないせいかもしれないが、たぶんみんな「それ」どころではない感じだ。
とはいえ、テレビで様子を見ることくらいはあるだろう。小生も食事の合間に一部競技を眺めることはある。
このテレビ観戦について、アメリカでは状況に変化が見えるという記事を読んだ。北半球の7・8月のこんな暑い時期にオリンピックを開催する「愚行」の元凶は、アメリカのテレビ局=NBCの都合とIOCの利害だが、アメリカの人がテレビでオリンピック中継を見なくなっているため、テレビ局に入る広告収入の減少は避けられず、NBCがIOCに今後も巨額の放映権料を払えるかどうかわからなくなってきたというのである。これはちょっとした驚きである。
2021年7月27日放送のTBSラジオ「たまむすび」の中で、カリフォルニア州在住の映画評論家・町山智浩氏がアメリカ国内の東京オリンピックへの反応を紹介している。以下、起こしたものを一部引用する。
町山智浩 アメリカ国内の東京五輪・テレビ視聴率低迷と開会式への反応を語る
町山:……今回の東京オリンピック、NBCのテレビの視聴率が低くて結構問題になってるんですよ。
赤江:NBCで放送してるんですね。オリンピック放送を。
町山:NBC以外では放送してないんです。
赤江:NBC独占?
町山:完全に独占なんですよ。まあ、民放の中で一番古くて。世界一、古いテレビ局ですけどね。NBCっていうのは。そこが全ての試合を……NBCっていろんなチャンネルがあるんですけども。NBCだけでやっているんですね。有料だったりね。で、NBCが出しているお金がIOC、国際オリンピック委員会の収益の73パーセントですって?
赤江:ああ、だからか。
町山:そう。だから全てNBCの思う通りにやるっていうことで。だから7月に夏の大会をやるっていうのも、9月になるとアメリカはフットボールが始まっちゃうからね。
赤江:これは本当、納得できないんですよね。現地のいい時にやらないっていうのがね。
町山:やらないですよね。でも、お金を一番出してるのはNBCだからしょうがないということもあるんですけど。そのNBCがお金を今後、出せるかどうかわからないんですよ。
赤江:と、言いますと?
町山:視聴率が下がっているから。
赤江:そうなんだ。
山里:そんなに下がったんですか?
町山:38パーセント、下がったって。2016年に比べて。
赤江:あらーっ!
町山:で、その理由っていうのは「東京オリンピックだから」っていうことではないんですよね。アメリカではテレビを持ってる人自体が減ってるんですよ。
赤江:ええっ?
町山:テレビのモニターは持ってるけれども、テレビ放送を受信していないっていう人が多いんですよ。
赤江:そうなんですか!
町山:インターネットがあるから。だからNetflixとか配信とかを見るためにテレビモニターを使ってるけれども、いわゆるテレビ放送を受信していないっていう人がすごく増えてて。特に20代ではテレビ放送を受信している人は34パーセントしかいないんですよ。アメリカって。
赤江:うわーっ。
町山:いないんですよ。つまり、自分がなにかを見たい時に自由に見れないから。テレビって時間が決まっていて、そこで見るじゃないですか。もう完全メディアとしては時代遅れなんですよ。
赤江:そうなのかー。そうなると、じゃあNBCが今まで通り、オリンピックにお金を払うということができなくなっていくかもしれない?
町山:はい。ただ、さっき言ったみたいにNBCはネットとかもやってるから。それで広告を売ったりするっていうことにもなってくるんですけども。ただ、やっぱりそのテレビの方の広告料が減るのはどうしようもないんですよね。で、今まで12億ドル稼いでたらしいんですよ。広告を売って。オリンピックの1回の大会でね。それで、IOCから独占放送権を買ってたんですけども。それがどこまで続くか?っていう。だからビジネスモデル的にね、もう今アメリカは……日本もそうじゃないかな? テレビの広告費って広告業界全体での割合がずっとトップだったんですね。ところが、もう今はトップじゃないんですよ。今、インターネット系広告がトップで。
テレビの広告って結局、実際に広告を出して、それが売り上げに繋がってるかどうかが全然わからないんでね。トラッキングできないから。でも、そのネットの広告って、その広告をクリックした人がいて。そこから商品を買ったりすることがわかるような仕組みだから。非常にマーケティングしやすいし、お金を出した方も確実だから、そっちに行っちゃうんですね。テレビの方はどうしても、広告を出したけども、それがじゃあいくらの売り上げにつながったのかっていうのは誰にもわからないんですよ。まあ、アンケートを取るぐらいですよね。そんなものに金を出せるのか?っていうことで、すごくテレビの広告料って減ってきているんですよ。どんどんどんどん。
赤江:そうですか。じゃあ、あんまり見られていないんですね。
町山:そうなんです。この状況でNBCがこのオリンピックにお金を出し続けることがいつまでできるのか?っていうね。
山里:これ、NBCがあんまり出せなくなったとしたら、今、我々が感じている「こんな時間になんでやるんだろう?」とか「こんな時期になぜやるんだろう?」っていう、そういうのが解消されて。理想の時期に理想の場所で理想の時間でっていう風に戻ったりするんですかね?
町山:NBCの独占がこれほどIOCにとって強いものでなくなれば、まあいい時期にできるようになるかもしれませんが。すでに地球温暖化が進んできたことによって、7月に北半球で夏のオリンピックをやるのは、本当にどこでやっても……それこそ、北欧とかでやっても最近は北欧も猛暑ですからね。北半球で7月にオリンピック、できないですよ。もう。で、南半球でやるとしても、今までやったのはブラジルとか、あとはオーストラリアのあたりで。はっきり言って、お金があるところでしかやってないんですよね。アフリカでやってないんですよ。
赤江:そうか。そうだな。うん。
町山:でもね、アフリカって7月、涼しいんですよ。
赤江:そうですね。もっと乾燥をしていてね。日本に来て、みんなびっくりしたりということもありますもんね。
町山:アフリカでやればいいんですけどね。でも、儲からないからやらないんですね。
赤江:ちょっと商業的なオリンピックの意味合いみたいなのが変わってくるかもしれない。ただ単に、お金がなくなるかもしれない。
町山:テレビ第一の社会ってものが終わりつつあるので、まあお金の構造は変えざるをえないですよね。
<以下略>
まあ、変わっていくだろうし、変えないといけないと思う。それは、お金の構造にとどまらないが…。
↓ よろしければクリックしていただけると大変励みになります。