ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

ワクチン供給ストップ!

 昨日、所用で76歳になる親類を訪ねたら、「今からワクチンを打ちに行く」と言っていた。なるほど、千葉の田舎自治体でも着々と高齢者接種が進んでいるようだ。ことを堅実に進めてほしいと思いつつ、疑念もある。一般に高齢者は外出機会が多いわけではない。家にいてくれと言われれば、「若い人」たちとちがって、買い物や通院などがなければ家に籠もっていられる。「人流」にさらされなければ感染リスクは低いわけで、しかも、現状では重症化のリスクは高齢者だけが高いとも言えず、ワクチン接種を高齢者から始める説得的な理由は乏しい。やはり、これも「政策」的理由なのだろうか。詳述はしないが、つまりは、Go to 再開への布石と解散総選挙…。カネと投票か、などと邪推してしまう。

 スガ首相が、カネならいくらかかってもいいから、とにかくワクチンを打って、打って、打ちまくれ、と檄をとばしているという政界裏話があった。ワクチン接種の対象は高齢者から65歳以下の人たちにも広げられた。大規模接種会場の設置、職域接種の開始、自治体接種…となりふりかまわず進める政府だが、ここに来てワクチンが足りなくなるという大失態を演じている。こんなんで振り回される「前線」の関係者はたまらない。

 兵庫県丹波市(人口6万人規模)の様子を伝える6月29日付「丹波新聞」の記事。

国からワクチン届かない 64歳以下の新規予約中止 市長「はしご外し」と憤り/兵庫・丹波市(丹波新聞) - Yahoo!ニュース

国からの新型コロナウイルスワクチン供給の見通しが立たないとして、兵庫県丹波市は6月29日、新規の64歳以下のワクチン接種の予約受け付けを中止した。個別接種、集団接種とも新規の受け付けは当面見合わす。同市は28日に、16歳―64歳以下の3・3万人に接種券を発送したばかり。「ワクチンはある。64歳以下にも早く接種をと政府は言っていたじゃないか」と、住民と最前線で向き合う自治体職員は政府に振り回されている。政府は新規の職域接種の受付を停止するなど、国レベルで細る新型コロナウイルスのワクチン供給が、地方自治体の接種にも影を落としている。
 「見通しが立たないまま、予約を受け付けては混乱を招く。いったん中止せざるを得ないと判断した。ワクチンが届く見通しが立てば、受け付けを再開する」と、丹波市健康課は対応に苦慮している。

<中略>
集団接種で平日は500人、土曜は1300人の接種を進め、7月からは市内クリニックで個別接種の本格実施も予定されていた
 同市医師会が7月から個別接種を本格実施することもあり、接種券が手元に届いた市民が6月29日から個別接種の予約を取ろうと動き始めているが、市内では当面、予約が取れず、大規模接種や職域接種を利用する以外にない。
 同市は60―64歳は7月12日から集団接種の予約受け付けを始め、段階的に受け付け対象年齢を引き下げていく計画だったが、これも凍結した。
 総務省と県に見通しをたずねた林時彦市長によると、両者の返事は「分からないだった」という。「65歳以上を早く済ませて、64歳以下も早く接種をとさんざん急かされ、必死で体制を構築してきた。ワクチンが供給できないなんて、はしご外しでいい加減過ぎる。供給が減るなら減るで、数量を示すべきだ。でなければ、予定が立てられない」と、ワクチンが届かないことへの対応を市町村に丸投げするかのような国の態度に憤っている。

 大阪市では、ワクチン供給量を4割程度減らすという突然の通達に医師から怒りの声が上がっている。6月30日付のABCニュース。

【独自】大阪市が「ワクチン供給量を減らす」通知 医師からは憤りの声(ABCニュース) - Yahoo!ニュース

大阪市都島区のごとう内科クリニックの後藤院長は「通知を受け取った、どの医師も憤りを感じている。国はこれまで毎日毎日、接種を宣伝していて我々も接種を進めてきたのに、非常に残念に思う。今になって供給量が足りないというのは行政側のミス。クリニックのなかには、直近で高齢者の2回目の接種を控えているところもある。2回目の接種は死守しなければならないので、どのように対応すべきか非常に悩んでいるようだ」。
 また別のクリニックの医師は「ワクチンが足りなくなった分は、医療機関からキャンセルの連絡をいれてくださいと保健所から言われた。誰をキャンセルにするか簡単には選べないし、患者との信頼関係が崩れかねない事態になっている」と困惑した様子で話しました。
 大阪府医師会によりますと、6月下旬に発注したワクチンについて、国からの供給量の見通しが立っていないことが原因で、1割程度減らした量を各医療機関に発送すると大阪市から連絡を受けたということです。
 府医師会は、予約を入れすぎないよう注意を呼びかけています。

 兵庫県ばかりで恐縮だが、明石市と西宮市の市長の話。

ワクチン供給不足で自治体が困惑 接種予約の一時停止も…「希望量の半分以下」の供給に「天を仰ぎました」(関西テレビ) - Yahoo!ニュース

明石市泉房穂市長】
「これまでは『各自治体さん頑張って下さい』『早く打って下さい』と国の方は言い続けておられたわけであって、現に6月11日に西村大臣から『ファイザー大丈夫』と回答があったわけですから、まさか6月15日に半分しか来ないとは…正直さすがにそれは思わなかったですね」
7月6日に配送予定のファイザー社のワクチンは、希望していた約5万5000回分に対し、半分以下の約2万5000回分しか届かないというのです。

また、兵庫県西宮市の石井市長も自身のブログで「希望量を若干下回ることはあるかもしれないと思ってはおりましたが、半分以下という配分には正直、天を仰ぎました」と書いています。

 引用した地域は関西ばかりだが、たぶん探せばこの種の声は、日本全国、いくらでもありそうだ。

職域・大規模接種 新規中止 政府、急ブレーキ 見通し甘く | 毎日新聞


 政府は「予想をはるかに超える申し込みがあった」と弁解していたが、どういう「予想」をしていたのかと、逆にお尋ねしたいものだ。このままオリンピックが始まれば、同じように「予想をはるかに超える感染者が出た」と言うのだろうか。




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