ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

五輪大本営と選手

 Twitterで「五輪大本営」という語を見た。言いえて妙である。
Hideyuki Hirakawa on Twitter: "五輪大本営、悪辣すぎる。五輪開催という国体護持のために、検査リソース、看護師に続いて、病床まで「徴用」するのか。… "

 「それ」によると、アスリートなどを受け入れる大会の指定病院を30か所程度確保する方向で調整を進めているとのこと。看護師500人に続く、「徴用」「接収」の要請のように響く。しかも、おまけつきで、責任転嫁(なすり合い)の「宣戦布告」までされている。外目には「一枚岩」のように見える「大本営」も、一皮めくればこの酷さ。丸川さん、後任の五輪相を引き受けた時点であなたも十分「戦犯」の容疑はかかる(A級ではないかもしれないが……)。いい子ちゃんぶってもダメだよ。

 4月27日午前のTBSニュースより。

【独自】東京五輪・選手などの入院先に指定病院約30か所確保へ|TBS NEWS

……関係者によりますと、アスリートなどの入院先となる大会の指定病院は大学病院や都立病院などで、大会組織委員会は都内に10か所程度、都外に20か所程度、確保する方向で調整を進めています。また、選手村には新型コロナに対応する発熱外来や検査ラボを設置し、大会期間中は24時間態勢で運営にあたることも新たに分かりました。この他、競技会場などに医務室を設置するため相当数の医療スタッフが必要で、組織委員会は、日本看護協会に500人の看護師の確保を依頼しています。組織委員会は「地域の医療体制に支障が生じないよう努める」としていますが、全国で感染が拡大する中、医療スタッフの確保は最大の課題となっています。

 一方、丸川大臣は27日朝の会見で、大会時の医療提供体制などについて「東京都から回答が無く戸惑っている」と述べ、都の対応に苦言を呈しました。
 「自分たち(東京都)が一方では、この大会の主催者としての責任、一方では医療の現場を預かる者としての責任、この両方の責任をどのように果たすのかということについて、明確な発信なり方向性なりをお示しいただかないと、私達もそれをどのようにご支援申し上げればいいのかということについて、非常に戸惑っているという状況です」(丸川珠代 五輪相)

 
 こんな中、選手は何を思うだろうか。もし、この特殊状況がなかったら、開会式の3か月前、気運も大いに盛り上がり、選手たちも調整に余念がなかったはずだ。
 フェンシングの三宅諒選手は千葉県の生まれで、2012年のロンドン・オリンピックでは団体で準優勝して銀メダルをとった人だ。昨年オリンピックの延期が決まると、自らスポンサー契約の一時停止を申し出て、生活費や活動費を埋めるためにUberEatsでアルバイトを始めて話題となった。今回の東京オリンピックの代表からは外れたようだが、彼の思いを紹介する記事を見た。

 4月26日付NEWSポストセブン(週刊ポスト2021年5月7・14日号)より。

東京五輪が「変異ウイルスの災典」に… 海外メディアでは中止論続出|NEWSポストセブン

「このまま開催して本当にいいのだろうか。喜べるのだろうか」—3度目の緊急事態宣言が発出される中、東京五輪を目指すアスリートたちは悩み、苦しんでいる。ロンドン五輪フェンシング団体銀メダリストの三宅諒選手が語る。
「私たちにできることは大会に向けて準備すること以外にない。しかし、スポーツにとってオリンピックが全てではないということも全関係者が理解していると思います」
 三宅選手は昨年、東京五輪の1年延期が決まると、「結果でスポンサーさんにお返しができないのに、契約を継続してほしいというのはおこがましい」とスポンサー契約の一時停止を申し出て、ウーバーイーツのアルバイトなどで生活費を稼ぎながら今大会への出場を目指している。
「大会の有無がいまだ曖昧なことで、“なくなる大会に全力を注いでしまった”という喪失感を経験するのではないか、との恐怖感があります。ワクチンをアスリートに優先接種すべきという意見もあるが、それはすべきではない。医療従事者や高齢者の方々への接種で国が安定することで、日本代表は本当の意味で日本を代表して戦うことができると考えるからです」

<以下略>

 「選手にこんなことを言わせてはいけない」というtweetをいくつか見た。同じことを考えながら毎日を過ごしているアスリートは彼一人ではないだろう。「五輪大本営」と「戦犯」たちの罪深さを思う。 



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