ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

菅訪米 狂ったシナリオ

 「現代ビジネス」の4月25日付記事で戸坂弘毅氏がスガ訪米の裏事情について書いている。

「とにかく見せ場を作れ」菅首相の初訪米、その異様な舞台裏(戸坂 弘毅) | 現代ビジネス | 講談社(1/8)

 氏によれば、首脳会談に先立ち、事前の根回しのために訪米した北村滋国家安全保障局長は、4月2日にホワイトハウスでサリバン大統領補佐官らと会談した。スガから「とにかく見せ場を作れ」と指示されていた北村局長は、
 ①通訳以外は大統領と2人だけの、いわゆる「テタテ」の会談
 ②大統領やハリス副大統領との食事会
 ③大統領と並んでのポトマック河畔の桜の観賞
 ④安倍前首相も4回泊まった大統領迎賓館「ブレアハウス」への宿泊
などを提案するも、高齢のバイデン大統領は新型コロナウイルスへの感染を極度に恐れ、「関連行事は最小限に絞る」との方針だったため、ホワイトハウスからことごとく断られた。「桜の観賞」は脈なしと判断し、早い段階で諦めたが、大統領とのテタテ会談と晩餐会についてはギリギリまで執着した。特にテタテ会談については「大統領と二人きりで仕事と関係ない話をしたい」と外務省にハッパをかけ、感染防止を理由に難色を示して譲らない米側を押し切って実現させた。しかし、その時間はわずか20分。通訳を挟んだ会談なので、実質的には半分の10分。「いろいろ人生経験とかの話をして、ハンバーグ(ハンバーガーの間違い)も全く手をつけないで終わってしまった。それくらい熱中した」とスガはアピールしたが、実質10分の会談ではハンバーガーなど食べている暇はなかった。
 そもそも、なぜ、ハンバーガーが出されたのか。それは、首相が晩餐会の実現に拘泥したからだった。「大統領も俺もワクチンを打っているのだから、一緒に飯を食べても大丈夫だろう」と、スガは外務省幹部らに繰り返し晩餐会の実現を指示したが、米側からは拒否された。最後には「それではワーキングランチはどうか」と打診したが、これも実現しなかった。その代わりが、ハンバーガーだったというわけだ。

 一国の宰相が何を駄々っ子のようにと思うが、実はさらに驚くべきことを企んでいたらしい。以下引用である。

……首相が今回の訪米で狙っていた最大の政治的パフォーマンスがあった。新型コロナウイルスのワクチン確保だ。米製薬大手ファイザー社のワクチンを大量に入手し、訪米からの帰国時、なんと政府専用機で一緒に日本に運んでくるという演出を画策していたという。
日本のワクチン接種率は、G7の中で断トツの最下位であるばかりか、英オックスフォード大学運営の「Our World in Date」4月19日時点のデータによれば、先進国の集まりであるOECD経済協力開発機構の加盟37か国の中でも最下位層だ。この事実が国民の間にじりじりと浸透し、内閣支持率にも悪影響を及ぼしつつあるが、首相はこの状況の「一発逆転」を狙っていた。
かつて小泉純一郎氏は首相在任中に北朝鮮を訪問した際、帰国時に合わせて拉致被害者を連れて帰り、内閣支持率を大幅に上げた。それに倣って、「大量のワクチンと共に帰国すれば大いに国民にアピールでき、支持率の大幅アップも夢ではない」(首相周辺)と考えたのだ。
そのため、首相は早くからワクチンを担当する河野太郎行革相らにファイザー社との交渉を命じた。だが、ファイザー側の姿勢は強気で交渉は進展しなかった。「交渉は首相と行いたい」と言い出したファイザー社のアルバート・ブーラCEOと菅首相との訪米時の直接会談も模索したものの実現せず、2人の電話会談をセットするのが精一杯だった。
その電話会談は日米首脳会談の翌朝、ワシントンで約10分間行われた。菅首相は帰国後の19日午前、首相官邸で記者団に対し、「新型コロナワクチンの追加供給を要請し、国内の接種対象となっている16歳以上、全員分について9月までに供給されるめどが立った」と成果を強調した。
だが、電話会談でブーラ氏は首相の要請に対し、「日本への迅速な供給や追加供給に向けた協議で緊密に連携したい」と発言しただけだった。いつまでにどの程度追加供給するのか、きちんと約束されたわけではなかった。
ブーラ氏は4月17日、自らツイッターで「(菅首相とは)追加供給について協議し、安全な東京五輪への期待を伝えた」とだけ書き込んだ。19日になって、EU欧州連合に対してはワクチンを年内に追加供給することで合意したことをツイッターで明らかにしたが、日本への供給に関しての情報は更新していない。やはり供給の確約はなされていないのだ。

 同じことは清水有高さんの<一月万冊>で佐藤章さんも述べていた。

特ダネ!広島選挙で揺れる自民党。菅政権の衆議院解散総選挙シナリオは完全に破綻!日米首脳会談から始まり、広島選挙で大敗北と共に終了!元朝日新聞記者ジャーナリスト佐藤章さんと一月万冊清水有高 - YouTube

 菅さんは思い描いていたシナリオが狂っちゃったんですよね。そのシナリオというのは、まず、訪米なんですけどね。何一つ成功することなく、子どもの夢のように萎んで終わってしまったんです。

 訪米する前、これ、菅さん自身の発案ですが、外務省に指令を出したんです。「ファイザーのワクチンを、自分が帰ってくる政府専用機に100箱でも200箱でも積んで来い」と。外務省はアメリカの日本大使館にそれ(指令メール? FAX?)を送ったわけですが、それを受けた日本大使館はびっくりでね、冗談だろって(笑)。<マイナス80℃で保管しないといけないのに……。ワクチンがどうやって保管されているのかとか、知らないってことですかね?>そこまでは分りませんが、そのとき菅さんの頭にあったのは、小泉(純一郎)さんなんですね。小泉さんが首相のときに北朝鮮に乗り込んでいって、政府専用機拉致被害者を連れて帰ってきたじゃないですか。これをやりたかったんですよ。ワクチンを積んで帰ってくるヒーローの図。そういうのを頭に思い描いていたんだけれど、それが結局ダメになった。まあ、じゃあ仕方ないなということで、ファイザーのCEOに電話したと。最初、河野(太郎)さんが交渉しようとしたとき、向こうのCEOと(交渉)できるかなと思ったら「総理じゃなきゃダメだ」と言われたんで、菅さんが直々にアメリカに行って電話して、それで「大丈夫」だと。そういう話なんですね。

 ハンバーガーのランチがありましたが、これ、バイデンさんは今ね、異常なくらい人との接触を避けているようなんです。だから、本来こういうのは無理なんだと。だけどまあ、一応(スガの顔を立てて)ランチくらいは……と。最初はちゃんとした料理というか、会食という選択肢もあったんですけど、日本側があまりにしつこいんで、ハンバーガーにしてやれと、そういう話が出ていますよね。菅さんは最後の最後までホワイトハウス主催の晩餐会をやってくれと固執していたそうなんですよ。大使館は(何度も)「断られました」と言っても、三回も四回も「交渉しろ!」としつこく要求したんですよ。そのたびに大使館は恥をかいてね……。

 バイデンは菅さんを何で呼んだかというと、結局、対中国のカードでしかないわけですよね。バイデンはアメリカ国内で地盤が弱いから、対中国で強硬姿勢を見せたかったんですよ。そこで、誰か話に付き合わせるやつはいないかなと世界を見まわしてみたら、「おお、日本、菅、OK、あいつ、いつでも来るな」と。「何でもあいつは合意書に書くぞ」みたいな感じで呼んだ。菅さんの方は、そんなことはどうでもいいんで、台湾問題のことを書こうが書くまいが、頭にあるのはワクチンですから。渡りに船とばかりに飛行機に乗って、そして、晩餐会とかランチとか、いろいろと想像して、しかも、ファイザーのワクチンを持って帰るという夢まで見て行ったんだけども、すべて成功せず、一様に夢に終わったと。<これだけ全部夢破れたら、ウソの一つも口から出るよ。ワクチン、9月にめど立ったからーとかね(笑)>
 ※< >内は清水さんの言

 菅さんのシナリオでは、まず、ワシントンのホワイトハウスですごい待遇を受ける。晩餐会でワインかなんか傾けながら、そういう写真や動画を出して、で、羽田に帰ってきて、この飛行機にはみなさん待望のワクチンが200箱ありますとアピールして、(25日投開票だった)補選と再選を迎えると。そして、その後、さあ、解散、総選挙だと。そういうシナリオだったんですよ。しかし、それはすべて叶わず、こういうさびしい日を迎えてしまったということですよ。

 まあ、浅はかとしか言いようがない。
 それにしても、こういう情報が洩れ出てくるのは、佐藤さんも言っていたが、「もう、スガではやってられない」という官僚たちの切実な声の現れなのかなと思う。




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