ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

オカシオ=コルテスさん 振り返り

 12月25日付の「HUFPOST」でエディターの國崎万智さんが、2020年に性差別やジェンダーギャップなどに対する発信で話題になった女性政治家を4人挙げ、その発言を紹介しているが、1人目として、アメリカの下院議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテスさんを挙げている。ちなみに、残りの3人は、カマラ・ハリスさん(アメリカ次期副大統領)、ジャシンダ・アーダーンさん(ニュージーランド首相)、サンナ・マリンさん(フィンランド首相)。そう言えば、あれは夏だったか、と思い起こしてみた。
 
4人の女性政治家は訴えた。2020年の世界の「見えない壁」を打ち破るために(発言集) | ハフポスト

 今さらながら事件をふりかえると、今年の7月20日アメリカ下院の議事堂で民主党議員のオカシオ=コルテスさんが、「新型コロナウイルスの感染拡大の中、ニューヨーク市では貧困と失業が犯罪の急増を招いている」と述べると、共和党のテッド・ヨーホー議員が「むかつく(disgusting)」「頭がおかしい(you are out of your freaking mind)」などと非難した。これにオカシオ=コルテスさんは「失礼です」と抗議した。すると、ヨーホー議員は議事堂の階段で「ファッキン・ビッチ(fucking bitch)」などと彼女を侮辱した。この発言を現場にいた記者も聞いていたため、問題がさらに大きくなった。
 ヨーホー氏側は、そのような発言の事実はなかった、「私は結婚して45年、2人の娘がいて、自分の(すべき)話し方を理解している。記者によって私がしたとされている悪口は、同僚議員に向けたものではない。もしそのように解釈しているのであれば、誤解について謝罪する」と釈明、自身の発言を認めなかった。
 「誤解を招いた」!——どこかの国でも横行している「言い訳」だが、これに対し、オカシオ=コルテスさんは次のように述べた。

ヨーホー議員の発言は、私にとっては深く傷つくものであったり、刺さったりするものではないと、明確にしておきたいと思います。なぜなら、私は労働者階級の仕事をしたことがあるからです。レストランでウェイターをしていたことがあります。電車に乗ったことがあります。ニューヨークの街を徒歩で歩いたことがあります。そのなかで、あのような発言は新しいものではありません。私はヨーホー氏からあのような言葉を投げかけられました。そしてレストランで嫌がらせをされた時に、ヨーホー氏と同じ言葉を他の男性たちから受けたことがあります。ヨーホー氏と同じ言葉を使った男性たちを、バーから追い出したこともあります。そしてニューヨークで地下鉄に乗っている時に、そのような嫌がらせに遭遇したことがあります。これは新しいことではない。そしてそれこそが問題なのです。

ヨーホー氏は1人ではありませんでした。彼は、ロジャー・ウィリアムズ議員と肩を並べて歩いていました。それこそが、私達がこの問題はただ1つの出来事ではないと見る理由です。これは文化的な話なのです。男性は責任を問われず、女性に対する暴力や暴力的な発言が受け入れられ、権力がそのすべてで男性を支援するという文化があるのです。共和党メンバーであり、選挙で選ばれた議員が私に無礼に話しかけたというだけの話ではなく、アメリカの大統領は去年私に対して「違う国へ帰れ」と、さも私がアメリカに属さないかのように話してきたこともありました。フロリダ州知事であるデサンティス知事は、私が当選する前に私のことを「あれがなんであろうと」と呼びました。

「ヨーホー氏は、彼には妻と2人の娘がいると話しました。私はヨーホー氏の1番下の娘よりも2歳年下です。そして私もまた、誰かの娘です。私の父は、運よく、存命ではないため、自身の娘をヨーホー氏がどう扱ったかを見なくてすみました。私の母は、ヨーホー氏が議員席で見せた私への無礼をテレビを通して見ることになりました。そして私は、自分が両親の娘であり、男性からの暴力を受け入れるようには育っていないと証明するためにここにいます。

ヨーホー氏が私に対して傷つけようとしてきたことは、私だけに対する出来事ではないと言うために、私はここにいます。あなたがあのようなことを女性に対してする時、ヨーホー氏がしたことは、他の男性に、自分の娘にも同じことをして良いと許可を与えたのです。プレスの前であのような言葉を使う時、彼は、自身の妻や娘たち、自身の知り合いの女性たちに対して同じような言葉を使って良いという許可を与えたのです。それは許容できるものでないと言うために、私はここにいます。あなたの考えは問題ではない。私がどれだけ反対しているかも、腹を立てているかも、人々が他人をどれだけ非道に扱っていると感じているかも関係ないのです。私自身はそのようなことをしません。そして私は、他人が私たちの心を変え、ヘイトを生み出そうとすることを許しません。

そして、娘を持つことが、男性をまともにするとは思いません。妻がいることで、まともな男性が作られるわけではありません。人に対して品格と敬意を持って接することが、まともな男性を作ります。まともな男性がなにかをしでかした時には、私たちすべてに言えることですが、まともな男性は全力を尽くし、そして謝罪するでしょう。面目を保つためではなく、選挙に勝つためでもなく、純粋に、自分がつけた傷を治し、認め、全員で前へ進めるように。

最後に、ヨーホー氏には感謝したいと思います。権力がある男性であっても、女性に対して無礼になれるということを世界に示していただいてありがとうございます。娘たちがいても、罪悪感もなく女性に対して無礼になれるということも。結婚していても、女性に対して無礼になれるということも。世界に対して家族写真を公開して、家族を愛する男性だと見せても、罪悪感もなく、責任を問われることもなく、女性に対して無礼になれるということも。これはこの国で毎日起こっていることです。この国の国会議事堂の階段で、起こったことです。この国の最も高い地位にある公職につく者が、女性を傷つけ、私たち女性すべてにあのような言葉を使うと認めて起こったことです。

(典拠:「FRONTLOW」7月27日付記事 https://front-row.jp/_ct/17379375

 彼女の言うように、これはアメリカの議事堂の階段でたまたま起こった話にとどまらないし、それはこの国も無縁ではない。そして、たとえ妻がいようが、娘がいようが、人に対する敬意と品格のない者は、こうした無礼な発言をし、それを咎められてもまともな謝罪すらできないというのも、どこの国でも変わらない真理だと思う。そう考えると、また政治家、その他の有名どころの名前が頭をよぎるが、まずは自分自身に刻まなければいけないことだと思いなおす。


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