ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

とりは神保さんの質問

 昨晩(5月4日)安倍首相が記者会見をした。「延長」以外で何か新しいことを言うのかと眺めていたが、相変わらずのカンペ読みで、給付金の支給を早ければ8月と口走ったときには、「えっ!」と思った。さすがに質問時間の冒頭に(5月)8日のまちがいだと訂正したが、そんなこと、言ってる最中に気づかないものだろうか。その直前の文言が「明日の支払いにも大変なご苦労をしておられる皆さんに1日も早く、使い道がまったく自由な現金をお届けしなければならない」だったら、この間違いはアウトだろう。それとも第2次支給のことと勘違いしたのか……? それにしても、今から3か月後って……。

 後半の質疑応答もしばらく見ていたが、変わり映えのしないやりとりが続き「もういいな……」とテレビをoffにした。後で知った話では、前回に続き、またしても最後に神保哲生さんが質問者に指名されたとのこと。それなら最後まで見ていたものを……。以下、概略を引用させていただく。

神保:………ビデオニュースの神保です。さきほどのPCR検査の話の追加なんですけど、先ほど総理はご自分も(検査の)どこに「目詰まり」があるのか、いろいろ聞いてみたというお話でしたが、日本はOECDの加盟国の中で1,000人あたりのPCR検査がメキシコに次いで低いという話が出ていて、検査が少ないというのは国際的にもわかってしまっている。そこで、PCR検査は感染状況を知る上でも、あるいは、自分が感染していることを知らないで他人にうつしてしまうケースがあるという意味でも非常に重要だと思うので伺うのですが、今の日本は、内閣総理大臣がPCR検査が今少ないので増やせと指示をしても、実力的にPCR検査を増やすことは出来ないということを総理はおっしゃっているのでしょうか? それとも、そこまでまだ本気で増やそうとしてこなかったのか。たとえば、PCR検査のことを国会できかれても、まだ検査数が1万件もいっていないのに、1万5千のキャパシティを2万に増やすというお答えをされている。どこか他人事のようなお答えをされるけど、それはまだ本気で増やそうとしてこなかったということなのか、それとも実際に本気で増やそうとしたのに増えなかったのか。そしてもし尾身先生も先ほどおっしゃったようにキャパシティに問題があるんだとしたら、なぜ民間をつかうという選択肢が出てこないのか、そのへんのところを、今後これが増えるかどうかも含めて、詳しくお話ししていただければ、と思います。よろしくお願いいたします。
安倍:これは先ほどお答えしたことが全てなんですが、もちろん本気でやる気がなかった訳では全くありません。私は何回もとにかく能力を上げていくということを(言って)、実際能力は上がってきているわけであります。しかし、1万5千に能力を上げたら、1万5千人分(検査数が)行くかと言えば、残念ながらそうなっていない。多くは東京に集中しているので、PCRセンターを20カ所増やす中、東京には12カ所増やしました。こういう態勢をつくっても(検査数が少ないのは)なぜか、というのは、PCR検査をやる人たちを拭わなければ(?)ならなかったわけですが、そういう人的目詰まりがあった。医師会や歯科医師会のみなさんにもご協力をいただいた。そういう意味において全力をあげていきたいと思っている。補足的に尾身先生にご説明をいただきたいと思います。

尾身:<要点箇条書き>
 ①3月6日から保険適用が始まって民間での検査数は増えてきている。統計処理上煩雑な問題があり、感染研などの公的機関と民間の検査数の数値の合算が正確にできていない。
 ➁日本はPCR検査の最も少ない国の一つだが、人口当たりの死亡率、絶対数がヨーロッパの国の10分の1以下であることは事実である。(ほんと!?)
 ③PCR検査の数を増やすと同時に、それと補完的な「迅速診断キット」の大幅普及を期待している。

安倍:今言われたのは、1万5千とか2万あっても実際に実行したのは少ないんじゃないかと、私も確かにその通りだという印象を持ってます。大切なことは、お医者さんが必要と思われる方がPCR検査を受けられるようにすること。まだキャパシティとの差がありますが、これは地域によってよく見ていく必要があると思います。キャパシティに余裕がある中で、どうしてお医者さんが必要だというのにできなかったかということについては、そういう対処をしっかりとやっていきたい。また感染状況の全体像を把握することにおいてはPCR検査だけで全体像を把握するのは困難で、抗体検査を用いた疫学調査についても有意義な方法であると考えており、今後速やかに実施に移していきたいと思います。ただ、多くの国民の皆さまに誤解をしてもらいたくないのは、大切なのは、実際に重症になっている方の数、重症者に対して対応できているかということと、死亡者の数だろうと思います。亡くなっている方については、欧米に比べてはるかに日本は少ないが、他の肺炎で亡くなっている方に、実はコロナで亡くなっている方が多く混じっているのではないかという疑問に対しては、日本はCTの検査をだいたい肺炎で亡くなる方については最終的には行っていて、新型コロナウイルス感染症かどうかは、お医者さんにとっては直ちに判断がつくということで、そういうこと(肺炎死者数にコロナ感染者数が含まれること)はないと思っています。


 1カ月余り前の3月28日の記者会見で、同じ神保さんに「検査数が少なくて感染者の実数が把握できていないのに、なぜ『ぎりぎり踏みとどまっている』と考えるのか、その根拠をききたい」と質問された安倍首相は、概略以下のように答えている。

安倍:今、欧米諸国と比べて日本の感染者数は相当少ないが、PCR検査が少ないではないかと言われています。確かにPCR検査の数は少ない。私もほぼ毎日のように、厚労省に対して、医師が必要と判断すれば必ずPCR検査ができるようにしてくださいということは重々申し上げている。
 日本はそれを隠しているのかという議論があるが、これは、私は違うと思う。PCR検査の数は少ないけれども、死者の数が多いということではない。死者の数、肺炎で亡くなっている方は、実はコロナではないかということをおっしゃる方がいるが、専門家の先生たちに私も確認したのです。私も、そういう批判があるんだけれども、どうなんだろうかと。このPCR検査が少なくて……という話で、伺ったのですが、肺炎で亡くなった方については、基本的に、最後はCTを必ず撮ります。それで、CTをとって間質性肺炎の症状が出た方は必ずコロナを疑います。必ず。そういう方については、これは必ず大体、PCRをやっておられます。ですから、そこで間質性肺炎でない肺炎で、例えば細菌性等々の肺炎で亡くなられた方等について言えば、これはコロナではない。ですから、コロナではなくて肺炎で亡くなったという方はコロナではないのだという説明を私は受けて、私は納得したところでございます。

 どうなのだろうか。神保さんの質問は2回とも「PCR検査数が少なすぎる、何が原因なのか(やる気があるんですか)」ということだが、それに対する安倍総理大臣の答えは、見たところ、1カ月たってもあまり変わり映えしない…(「目詰まり」って何だ? 人手不足? 妨害? )。不作為が命にかかわることがわからないのか、この方は。

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