ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

コロナ「二類外し」への懸念

 ここ何年かインフルエンザの予防接種は受けていない。生活移動範囲が狭くなり、あまり必要を感じていなかったからだが、今月初めにかかりつけの医師から「今年はインフルエンザの予防接種はどうしますか? こういうのはお嫌いでしたっけ。」と言われ、「今年はさすがにやっとこうかと思ってるんですが……」と言うと、「そうですよね。(コロナと)見分けがつかないですから。コロナにかかったら大変なことになります、怖いですよね。」と言われた。
 インフルの予防接種はコロナウィルスにも有効性があるという説もあるが、そういう話ではなく、せめてインフルの心配だけは事前に取り除き、コロナ予防に専心したいというのは多くの人が感じるところだろうと思う。つまりは、インフルの予防接種は、今年の場合、インフル対策というよりもコロナ対策なのだ。

 厚労省は8月末頃からコロナの「格下げ」の検討を始めている。「2類相当」からインフルと同等の「5類」扱いにするというもので、重症患者を重点的に入院治療させることで、冬のインフルの流行前に病院の負担を軽減しておくのが目的ということだが、これだとコロナはインフルと同様に市中感染は状況まかせと言っているように聞こえ、またまた、振出しに戻っている感じが否めない。そもそもワクチンさえ確保されていないのにインフルと「同格」にできるのだろうか?


   f:id:Amurin:20200912062035p:plain



 おなじみの医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんは次のように懸念を示す。「女性自身」9月11日付配信記事(誌面2020年9月22日号掲載)より引用する。

新型コロナ 更なる院内感染の懸念、感染症法“二類外し”で | 女性自身

 今回厚労省は、新型コロナをこの“二類相当”から除外する方向だというのだ。それは「医療現場の混乱を防ぐため」と厚労省の担当者が本誌記者に答える。
「現在の感染症法の扱いでは、新型コロナの患者となれば軽症でも入院勧告、強制入院などの措置を取ることができます。しかし『入院勧告などがどこまで必要なのか?』を改めて検討しましょう、という運びとなりました。インフルエンザの流行が予測される秋冬を前に、医療機関の負担増大や病床不足を招かないよう、軽症者や無症状者には宿泊療養、自宅療養での対応を徹底していく方向です」
だが、この“二類外し”の措置が招く事態を大いに不安視するのは、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんだ。
「無症状や軽症の人に入院勧告がされなければ、宿泊療養さえしないケースが増えるでしょう。そこで危惧されるのは、このところ顕在化してきた『家庭内感染』が増え、死者が激増してしまうことなんです」(上さん・以下同)
二類外しが行われた場合、新型コロナに対してはどのような措置が取られていくのだろうか。
「入院や就業制限などの対人措置をなくすという目的から、そういった拘束力を持たない『五類感染症』相当に分類せざるをえないでしょう。これは、季節性インフルエンザなどと同じ分類です。しかし、インフルエンザの致死率は0.01〜0.1%なのに対し、9月1日現在の新型コロナの致死率は1.9%。少なく見ても新型コロナのほうが20倍ほどの致死率ですから、“二類外し”がいかに乱暴な措置であるかがわかるはずです」
もし「五類」相当となった場合、感染の疑いが生じたら、インフルエンザと同じようにいきなり病院を受診することになる。ここにも二類外しが招く“悲惨な事態”があると上さんは警鐘を鳴らす。
「二類外しは、感染者への法的な拘束力をなくすことを意味します。ですから、そもそも感染者を入院・宿泊療養させるために行っていたPCR検査も、その意味を失ってしまうのです。すると“不安なら即、病院へ”という風潮になる。感染を疑った人たちが病院に殺到すれば、全国の病院がかえってひっ迫しますし、今度は『院内感染』も激増するでしょう」
感染者が野放しになる可能性がある以上、これからは感染のリスクにより注意深く向き合っていく必要がある。
「徹底した手洗い、消毒やマスク着用などの基本的対策はもちろんのこと、自分の『かかりつけ医』を持って、密に相談できるようにしておくことです。そして、大事なのがインフルエンザワクチンの接種。これは、新型コロナ感染を予防する可能性も報告されています。感染リスクの高い病院に通う回数を減らすためにも接種しましょう」



社会・経済ランキング
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村