ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

大阪万博の「進退」

 すでに方々で話題になっているとおりですが、大阪万博の開催がかなり怪しくなっています。利権とメンツと無責任が渦巻きながら、惰性でここまで来てしまいましたが、このまま進んで世に恥をさらすかたちになれば、さらに誇りを傷つけることになるような感じがします。

 東京オリンピックの開催にも反対の声が多かったですが、まだ世界最高水準のアスリートたちが集まるんだという「言い訳」というか、「慰み」がありました。しかし、昨日の新聞記事の中に小さく、パビリオンの建設が間に合わないという記事が載っていたのを見て、こんな重大な話をどうして付け足し程度にしか載せないのかと思いました。これはオリンピックで言えば、選手が揃わないということでしょう(すでにメキシコなどは撤退しています)。お祭りをしながら、併行してパビリオンを建て続けるつもりでしょうか。
25年大阪・関西万博:パビリオン完成、未着手なら困難 日建連会長 | 毎日新聞

 何を「恥」とするかについては、一般の人と主催側に大きなギャップがあるようです。主催側は、(本音はともかく)中止にすると国としてのメンツがつぶれて信用を失うというようなことを言いますが、一般の人の感覚からすると、せっかく内外から多くの人(客)を集めて、中身がなくてがっかりさせるのは嫌だなあという思いがあります。結婚式など祝賀の席に人を大勢招待しておいて、出て来た料理がひどかったときの「アレ」です(めったにありませんが)。今回の入場料は一般(大人)で7,500円という話ですが(ちなみに、1970年の大阪万博は800円、2005年の愛知万博4,600円)、どこまで「費用対効果」を期待できるのでしょう。

 国会質疑でも費用の件は取り上げられていますが、全長2キロにも及ぶ例の木造リングは、建造費350億円(たぶんそれ以上)で、万博が終わったら解体・撤去するという話です。そのまま残すわけでもないのに「世界最大」をうたう感覚が理解できませんが、政府が減税や給付金を配らないといけない昨今の厳しい状況を考えれば、これは無駄遣いだと言われてもしかたないと思います。別の予算に充てられれば、救われる人はたくさんいます。
「税金泥棒」大阪万博 後出しで増える837億にネット怒り「少子化対策や減税の原資に使えたのに…」 | 女性自身

 推進側は木造リングをメディアに公開して、開催に向けて勢いをつけるつもりが、こんなもんいらないと、反対に火に油を注いでしまったようで、間の抜けた感じです。ここにも彼我のギャップの大きさが現れているようです。遅れれば遅れるほど、費用が積み重なっていきます。撤収した方が身のためでしょう。維新も、衆院補正予算案の賛成にまわるなど、すっかり自民党政府に(金を出させるためか)媚びていますが、実に醜悪です。「無駄の削減」、「身を切る改革」はいったいどこに行ってしまったのでしょうか。


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