ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

大阪万博・沈む夢洲

 大阪万博に関係する動画をいくつか見ました。パビリオンの出展を予定していた国の中から、メキシコが撤退宣言をしたことで、他にも「追随」する国が出てきそうです。建設費も当初の1250億円が1850億円に上振れし、今は2350億円とされています。といいつつ、仮にいくら金をかき集めようと、肝心の建設作業に従事する人が集まらないのが実情のようです。自民党内からは、来年4月から建設業で導入される時間外労働の上限規制から、万博の建設工事を外すよう求める声が出たと報じられています。10月10日付朝日新聞デジタルによると、「人繰りが非常に厳しくなる。超法規的な取り扱いが出来ないのか。工期が短縮できる可能性もある」との発言があったということですが、「超法規」ではなく「超違法」の間違いでしょう。東京オリンピックに間に合わせるための、新・国立競技場の工事で、長時間労働により人が亡くなっているのに、また同じことを繰り返そうとする。この連中は、法律を何だと思ってるんでしょうか。
万博工事「超法規的措置を」 自民会合で発言、残業規制の除外求める [自民]:朝日新聞デジタル

 いくつもの問題を抱えるこの「大阪万博」ですが、動画を見ていて個人的に一番驚いたのは、地盤沈下の問題です。フリージャーナリストの西谷文和さんによると、万博予定地の夢洲の一画は、この30年ですでに地盤が4m7,80cmも沈んでいるというのです(測定機器も一緒に沈んで今や測定不能とのこと)。これから配管などのインフラ工事や、建物の基礎工事をするというのに……。
もうアカン!万博崩壊(西谷文和さん)【The BurningIssues】20231101 - YouTube
(動画の20分53秒あたり)

 その他、諸々を含めて、多くの人たちが言うように、撤退するのが「最適解」のように思います。無理に突き進んでも、結局のところ、不甲斐ない結果と驚愕()の請求書が待っているだけではないでしょうか。それができないのは、勇気がないというか、撤退を恥とする妙な文化(妙な美学?)があるせいだとも言えますが、一番の理由は、単に無責任だからなのだと思います。2倍近くにも膨れ上がった経費を、すべて責任者(たとえば大阪府の知事)が自腹で払うことになるなら、普通は考え直すでしょう。でも、公金(他人のお金)だと自分の腹は痛くもかゆくもないようですし、後で責任を問われることがなければ(誰かに責任転嫁をして)、無茶をしても平気ということになるのでしょう。巻き添えにされる方はたまりません。

 札幌オリンピックの招致については、少なくとも2030年と34年の可能性はほぼなくなりました。しかし、大阪万博は何としてもやる(どうなっても……)。夢洲地盤沈下と日本の国力の低下が重なり合うようです。東京・札幌オリンピック大阪万博など、時代的に高度成長期にあったこの国をバラ色に描いて、2020年代の今、「右肩上がり」の再来を求める発想自体、問い直さないといけないと思います。



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