ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「富ヶ谷殿」と「天の声」

 哲学系ユーチューバーのじゅんちゃんさんが自身の動画で、桜を見る会前夜祭にサントリー酒類を無償提供した件をとりあげ、いいかげん「あの人」を起訴しないと、法治国家の瓦解は止まらないと言っています。
 5月31日付「哲学入門チャンネル」から文字起こしして一部引用させてください。

サントリーが酒を無償提供した件でも起訴できないなら安倍晋三は現人神 - YouTube

サントリーの無償提供など)これらの行為が法的にどうなのかというのが今後注目され、マスコミのさらなる取材が求められるところですが、かりにこれが認められるんだったら、政治資金規正法とか、公選法とか、ガバガバになると思うんです。事実上何でもありになるじゃないですか。政治家には直接何も渡してなくても、政治家の支持母体である有権者に渡すのはOKということになったら、これはもう脱法でしかない。
 こういうのを許してはいけないという意味で重要な考え方を紹介すると、N国方式のように、「条文に書いてないからOK」理論というのは社会をやっぱり蝕むんですね。条文主義というのは、法に忠実なように見えて実は法の精神に逆行するものです。もちろん法の隙間を埋めておく作業だったり、ある程度言語化して定義しておくことだったりするのは重要ですが、それだけでは限界がある。……
 我々は何を正しいと判断すべきなのか。今回の安倍晋三さんの件について、どういう問題と考えるべきかと、私の見解を示しておくと、「条文に書いてないからOK」理論にどう対抗するかですが、法律には必ずと言っていいほど、最初の方に目的とか基本理念が書かれてるんですね。まず、これに照らすという観点が必要です。前提を共有した上で、その後の条文を読んでいくというのが重要です。条文的に、寄付された相手が今回の場合は参加者で、サントリーから直接渡されたのは安倍事務所ではない、だからセーフみたいな話はおかしいんですよ。
 一応、公選法政治資金規正法を見ておくと、どういう理念や基本的な目的で法律がつくられているかですよね。公職選挙法の方には、こうあります。

(この法律の目的)
第1条 この法律は、日本国憲法の精神に則り、衆議院議員参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする

これに照らして、今回のサントリー安倍晋三さんの件は適正でしたか、と。「選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われる」ようにする行為ですか? そうじゃないよね、と見ていくのが大事だということです。

 (※政治資金規正法の解説、略)

 まあ、最終的にはこっちも秘書が勝手に受け取ってましたと言ってごまかしきる道があるので、これで安倍さんが起訴できるというふうには、僕はもう思いませんけど、安倍さんがごまかすたびに、わが国の法治国家としての実相がガタつかされているというのは、やはり見ていてしんどいものがあります。
……今後気になるのは、サントリーという会社は、会計上これをどうやって処理しているのかということです。広告宣伝費として処理していると思うんですが、経理はよくこれを経費で落とせると言ったなあという話に次はなるんで、内部統制の問題になってくるだろうなと思います。サントリー経理部はこんなコンプライアンス意識で大丈夫なのかというのを、マスコミのみなさまには徹底的に取材をお願いしたいと。……コンプライアンスというのは、ヤバそうなものにはグレーでも触れないというもののはずなんですが、政治家が直接関わる当事者じゃないからOKというのを積極的にやろうという「悪意」が見えますよね。
 こういう安倍晋三みたいなモンスターを放置しすぎたせいで、文通費をロンダリングする維新を助長できたり、借金返済のためにロンダリングしますと公言する立花隆みたいなモンスターを次々と世に放っている状況だと思っています。このあたりの感度が緩めば緩むほど、似たようなモンスターが次々と出てきて、我々の常識を越えるようなことがどんどん出てくると思うんですね。(条文の)ここをこう読めば法的にかいくぐれるのでどんどん悪いことしましょうみたいな人が喝采を浴びるような、あまり喜ばしくない社会になっていくのかなと思います。


 ジャーナリストの佐藤章さんが、以前、検察も安倍逮捕のタイミングを見計らっているという話をされていました。たぶんその意向は今もあるのでしょうが、「ガラスの天井」ではないけれど、現状何かしらの「壁」があってそうなってはいません。それは何なのか?
 官製談合などでよく「天の声」という語を耳にしました。「上位者の指示・意向」の意味でしょうが、シンゾー氏はどこかの時点でこの「天」の領域に入れば大丈夫だということを覚え知ったのかもしれません。じゅんちゃんさんの動画の副題には、「安倍晋三は現人神」?とありますが、「神」ではなくとも、「治天の君」、それは言い過ぎでも、「富ヶ谷殿」くらいの感覚はあるかも知れません。
 しかし、思うに、この「富ヶ谷殿」にも、その上に「天の声」があるのではないかと。彼が最近やたらに防衛費の増額を説くのは、もちろん国内の右派陣営を意識したものでしょうが、実際に増額した場合、購入する大物兵器はほとんどが米国製でしょうから、米国にとって、日本の防衛予算倍増の声が高まるのは悪い話ではありません。「富ヶ谷殿」は、防衛費GDP2%の達成を5年以内になどと年限を区切って政府の「骨太の方針」に書き込むよう要求するなど、けっこう執拗ですが、これは何としても米国の関心を引きたい(引き続けなければならない)という姿に見えなくもありません。結局、米国に見捨てられたら、彼は終わり――そう思っているかも知れません(陰謀論的ですが、この点、小沢一郎氏の陸山会事件のようになりかねない)。岸田政権になってからも、当然のことながら米国へのゴマすりは止まらない。……そう考えると、検察の「ガラスの天井」は、実は米国なのではないかと。吉田敏浩さんの『「日米合同委員会」の研究』(創元社)などを読んでみると、いっそうそういう気がしてくるのです(まあ現状根拠レスではあります)。

<追記>
 米山隆一衆院議員の昨日(6月6日付)のTweetにも同感です。
https://twitter.com/RyuichiYoneyama/status/1533679136899706882

 この国が民主主義の法治国家を維持できるとしたら、その道はまず、この「富ヶ谷殿」を検挙・逮捕するか、さもなければ、落選させることでしょう。


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