ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

ボスなき「地元」

 安倍氏亡き後の政界地図は大きく塗り替わりそうそうです。自民党・清和会(安倍派)は当面「集団指導体制」でしのぎ、代表選出には至らないようですが、安倍氏の「地元」選挙区は今後補選もあり(来年4月?)、「現状のまま」というわけにはいきません。安倍事務所はどうなる(どうする)のか?
 この点で、先週7月15日付の「長周新聞」記者座談会の記事は非常に興味をひく内容です。統一教会岸信介高村正彦の関係など、「なるほど」と思う情報満載ですが、「地元」政界に関連する部分だけ以下に引かせてください。

記者座談会 統一教会と自民の関係にメスを 反共右派として育てた為政者の罪 | 長周新聞

代議士亡きあとの地元 ボス失った安倍派の動揺
  ところで、突然安倍晋三が射殺されたことで、地元はどうなっているのか? という問い合わせが週刊誌記者とか在京の知り合いの記者たちからも寄せられる。8年の在任中にモリカケ桜をはじめとして数々の疑惑を抱え、おかげで財務省職員の赤木さんのように犠牲になったり苦しんできた人間もいるだけに、随分と恨みを買っているのだろう…とは生前から話題になっていたが、あまりにもあっけない最後だったことに皆が唖然としている。ただ、全般としてみんなが悲観に暮れているというような空気はどこにもない。選挙区ではあるが、元々が東京生まれの東京育ちで幼馴染みがいるとかでもないのだ。「恨みを買っていただろうし、いつかこんな事件が起きるのではないかと思っていた」とか「大きい声ではいえないが、在任期間中にあまりにもやりすぎたんだよ…」といった声が多いのも特徴だ。

  支持者のなかでは大和町の安倍事務所に花を持って弔問に行く人々がひっきりなしで、「下関中の花が安倍事務所に集まっている」と話題になっている。一方で、切り替えが早いのか現金なのが多いのか、関心は次の山口4区の補欠選挙(来年4月実施か)に誰が出るのだろうか? という点に移っていて、各方面がざわついている。いきなり街の政治のトップに君臨していたボスが射殺されたわけで、ボスを失った組織が統制を失って大騒ぎになるのも無理はない。市議会も県議会もたいへんな変化をよぎなくされるのは疑いないし、山口県自民党政治のパワーバランスが大きく動くきっかけが突然訪れている。
 下克上もありうる戦乱の時代が到来している。だから安倍晋三から冷や飯を食らわされた面々は嬉々としているし、重しがなくなったことで野心を燃やす議員や企業関係者だっている。安倍事務所解体ともなれば、大和町のご機嫌伺いばかりしてきた下っ端たちは後ろ盾を失うわけで、さあ、次は誰に投機しようか…と動揺するのも当たり前だ。目下、一番動揺しているのが下関市長の前田晋太郎だともっぱらだ。「次の市長選でまともな候補を擁立すれば吹っ飛ぶのではないか」といわれている。安倍晋三と昭恵のお気に入りとして市長ポストをゲットしたものの、本人自身が特に絶大な人気を誇っているわけでもないからだ。2期目になってだいぶ横着になってきたとか、生意気に感じている人々も多いわけで、次の市長選は見所だろう。中尾と同じく2期で終わるのかと思うと、若いだけにつぶしが効くのだろうかとも思う。まぁ、下関市長を2期やれば退職金だけで6000万円はつくから当面食いっぱぐれることはないが、50歳手前から何をして飯を食うのだろうか? とは思う。

  皆が注目している一つは安倍事務所がどうなっていくのかだ。「誰も出る者がいなくて昭恵を擁立するのではないか」「岸家か兄貴の子息に継がせるのでは」という話も飛び交っているが、今のところ跡目を誰が継ぐのかはまだそこまでの具体性は何もない。安倍派の幹部衆もそれどころでなくて、代議士死去の対応に追われている。この度の葬儀に筆頭秘書だった配川博之(安倍事務所顧問に就任)や後援会の伊藤会長、岡村幹事長らが上京しているので、東京でゴッドマザーの意向も踏まえた話にはなるのかも知れないが、場合によっては安倍事務所解体に追い込まれても何ら不思議ではないのだ。地元でのパワーバランスもおおいに動くなかで、安倍家の意向だからといって「へいへい」とみなが従うとも限らない。晋太郎亡き後に古賀敬章の乱が起こったように、何かが起こると誰もが感じている。

  補欠選挙が山口4区としては最後の選挙となり、次の衆院選からは萩、美祢、山陽小野田と下関、長門がくっついた新3区へと再編される。宇部や山口、防府がくっつく新1区に林芳正が移り、高村正大を比例に押し出すという見方が自民党県連のなかでは支配的だったが、ここにきて安倍晋三が亡くなったのだから新3区に林芳正を戻せば収まりが良いではないかという意見もある。それがもっとも順当だと。ただ、林芳正も「安倍が死んだから新3区で」となると格好悪すぎて、それをやったときには意気地なしを自己暴露するようなものだ。宇部でも散々後援会作りに精を出してきたわけで、傘下の支持者や企業を今になって放り投げるという振る舞いが許されるのかどうかだ。本当に間が悪い男だと思う。

  いずれにしても跡目争いと勢力再編は避けられないのだ。中央政界でも清和会の跡目争いが激化するだろうが、下関や山口県にも大きな変化の波が襲来している。このビック・ウェーブ(大波)に乗らない手はないといった調子で、色んな人間が野心を持ちつつザワザワしているのが実態だろう。とくにわたしたちから見て自民党関係者が一番ザワザワしているわけで、表面的には「安倍先生は偉大だった」「お国のために尽くされた立派な政治リーダーだった」とかいいながら、なんだかオマエ嬉々としてないか? 嘘泣きするなよと思うようなのもいて、本当に政治って汚いな…と思う。週刊誌の記者が「中央では岸田派が大喜びですよ」といっていたが、綺麗事を並べながらそれが実態なのだろう。

  とりあえず下関や山口県は政治的再編が激しく動き始めるので、その動向はしっかり取材しながらチェックしていくことが必要だろう。杉田水脈(なぜか自民党山口県連所属)も次の選挙は安倍晋三の後ろ盾がないからはじき出されるのではないか? とか話題になっているし、諸々の変化がともなうのだろう。県政だって、安倍一強に不満を持ちながら辛抱してきた勢力もいるわけで、安倍がバックアップしてきた村岡知事と県議会の関係などもどうなっていくのか見物だ。自民党のなかでこそボス猿がいなくなった猿山みたくバトルが勃発するのだ


 座談会をしたのは事件の翌週のことと思われますが、事件を受けて「悲嘆に暮れているような空気はどこにもない」、「恨みを買っていただろうし、いつかこんな事件が起きるのではないかと思っていた」、「大きい声ではいえないが、在任期間中にあまりにもやりすぎたんだよ…」という声も多いというのですから、国葬の報道など、「地元」の人々はけっこう冷ややかに見ているような気がします。
 「ボス猿がいなくなった猿山のバトル」がどう展開するのか。当座、安倍事務所の動きには要注目です。桜前夜祭問題で身代わりに泥を被って有罪・罰金刑となった秘書の配川氏など、「禊ぎ」が済んだつもりになって動き回ることも予想されます。




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