ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

河野太郎と核燃料サイクルの停止

 これは「こんなのを総理大臣にしてはいけない」シリーズの3回目であるが、今までとは趣を異にする。小生、個人としては、ちょっと様相が変わってきた。「変節漢」の河野氏にも「変節」しない部分がある(ようだ)。それが「核燃料サイクル停止」の問題。これはアベの憲法改正(9条改憲)の宿願に近いものがある(ようだ)。しかし、同じ「宿願」でもベクトルの向きは逆。「反対勢力」とか「抵抗勢力」と呼ばれるものが、「核燃停止」と「9条改憲」では、まるで対極に位置することになるかもしれない。河野氏が「核燃停止」を言い続けるとすれば(それは確固とした前提となっているが)、今後も「反対勢力」たる電力業界や経済産業省らから、陰に陽に執拗な反撃が繰り返されるだろう(文春が河野氏の官僚を恫喝する音声をスクープしたのもその一環であるように…)。河野氏は「変節」せずにこの姿勢を貫けるだろうか。かりに総裁選に勝ち残り、総理大臣のイスに座れたとして、権力の旨味に浸かると、やはり骨抜きにされるのではないか。そんな疑念は残りつつ、事の重大性から目を背けるわけにはいかない。

 今回はトーンが下がる(むしろ、反対に「総理大臣にすべきだ」という結論になりかねない)が、河野氏の言う「核燃料サイクル停止」は、誰が取り組んだとしても、日本の未来を変える "歴史的" 大事業で、この点を、9月16日付「一月万冊」で佐藤章さんがわかりやすく解説していた。その主要部は「のら猫 寛兵衛」さんが文字起こしされている。

自民党&経団連に激震!河野太郎の核燃料サイクル停止発言の持つ意味。安倍晋三と麻生太郎が震え上がる裏の意味。総裁選激化!元朝日新聞記者ジャーナリスト佐藤章さんと一月万冊清水有高 - YouTube
脱原発を鮮明に!勝負に出た河野太郎「核燃料サイクルはきちんと止める」:のら猫 寛兵衛:SSブログ

 二番煎じになるが、「寛兵衛」さんには引用をお許し願いたい(少し加工を施した)。
 ※太字下線は当方が施したもの。

 佐藤核燃料サイクルをちょっと簡単に説明すると、原発にウラン燃料がまず入るわけですよ。そして、燃やしたウラン燃料は使用済み燃料になる。(図の)左に行くわけですけど。それが青森の六ヶ所村にある再処理工場に持ち込まれる。で、その再処理工場でプルトニウムだけ取り出す。そして、本来であればこれが福井県敦賀にある高速増殖炉もんじゅ」に行くはずだった。だけどもんじゅが全く稼働しなくてですね、廃炉になる決定をしている。本来なら「もんじゅ」でプルトニウムを燃やして、燃えたものをまた原発に戻して、燃料としてまた使おうというサイクル事業なんですよ。なので、燃料はほとんど減らないでぐるぐる回るのでね…。
 清水:夢のエネルギー! 夢のサイクルで、夢物語だったって話ですね。
 佐藤そう、夢のサイクルのはずだった。ところがもんじゅがだめで全然稼働しないので、代わりにMOX燃料というのを作ったんですよ。
 清水:混ぜ混ぜ燃料ね。
 佐藤そう。これはウランとプルトニウムを混ぜて、それを普通の原発で燃やすということなんです。だから今はそういう小規模な核燃料サイクルというのをやっているわけです。ところがMOX燃料は普通のウランの燃料より一桁高い。コストがかかるんですよ。
 清水:意味ないじゃん。
 佐藤経済的にはこのサイクルはもう成り立っていないんです。それにもかかわらず、電力会社、そして経済産業省はこれをずーっと続けているわけです。これについて、これはもうだめだと言ったのが河野さんなんです。そして、これは国際的にもやっているところはもうほとんどない。フランスが実験程度でやってるくらいで、みんなもう撤退しちゃったんですよ。
 それをなぜ日本がここまで固執するのか。理由は二つあるんです。大きい理由が二つ。
 1つは、経済的な問題がある。これ、電力会社にかぎらず、企業というのはバランスシート(貸借対照表)があるじゃないですか。左側に借方があって、右側に貸方があって、企業は借方でお金を借りて、貸方でお金を貸して、ぐるぐるお金がまわって企業社会というのは成り立っているんです。電力会社のバランスシート、貸借り対照表は、貸方のところに、資産として使用済み核燃料というのがドーんとあるわけですよ。これ、なんで使用済みのものが資産としてあるのか?

 清水:簡単に言うと、ゴミが資産になっているってことですね。
 佐藤そう。ゴミが資産なんです。なんで資産になってるかというと、再処理工場。さっき言った図の左側にありましたが、ここに使用済み核燃料を売ることができるんです。なので、売り物、つまり商品なんです。だからまだ資産なんです。ところがこれ、核燃料サイクルをやめるということは再処理工場も稼働をストップさせるということですから、今も稼働してませんが、一応再処理工場としてあるから、使用済み核燃料は資産として認められているんです。ところが、それを全部ストップするとなると、資産としての使用済み核燃料は全部本来のただのゴミになってしまう。しかも超危険なゴミです。そうすると、バランスシート上どうなるかというと、全部不良資産になってしまうんです。
 清水:プラスして、負債側に行くと、処理費も計上するから、負債がとんでもなく膨らむ、ボーンと。
 佐藤そういうことです。銀行の不良債権問題がありましたけど、あれと同じで、巨大な不良債権を今かかえているんです、表には出ていないけど。これが使用済み核燃料なんです。そうすると、この核燃料サイクルをやめちゃうと、全部不良資産になる、ゴミになるから、そうすると全国の電力会社、全国の経済団体を支えているのは電力会社ですけど、その中心の電力会社が全部破綻してしまうんですよ。これはほとんど間違いない。そうすると、日本経済は大変なことになってしまうんです。ということは、わかる人はわかってる問題なんです。だから、やむなくサイクルを形だけ続けるという誤魔化しを続けているわけです。ごまかしです。本当はこれこそが大改革、本当の日本の隠れた問題。だから、僕は実を言うと、この問題は小沢一郎さんにやってもらいたいと思っていたんです。相当の政治力を必要としますから。河野さんが(核燃料サイクルは止めると今回)言っただけで、パニックとは言わないけど、経済界から経産省からなにから、河野はけしからんということになる。それくらい大変な問題…。
 清水:蜂の巣をつついたような騒ぎになってますよ。電事連核燃料サイクルを維持しろと言ってるわけですから。
 佐藤そう。だから電事連の問題、昨日もおとといも言いましたけど、電事連は真剣ですよ。河野さんを潰そうとして動いてます。経産省も同じです。
 そしてサイクルをめぐるもう一つの問題、隠れた大きな問題があって、それはプルトニウムを日本は相当溜め込んでいるんです、再処理工場を通じて。これが46トンもあるんです。これをプルトニウム核爆弾にかえると6,,000発できるんです、標準的な核爆弾が。つまり、日本は隠れた核超大国なんです。実を言えば、日本は核爆弾を作ろうと思えばつくれるんですよ。これを世界各国、アメリカをはじめ世界は脅威の目で見ているんですよ。「あいつら危ないぞ、なんとかしたほうがいいんじゃないか」と。実は歴史的に安倍前首相の大叔父にあたる佐藤栄作首相の時代に、このことはずいぶん研究されているんです。それ以来、秘密に核を持ちたいという願望が自民党の底流としてあるんです。外務省もこれを研究している、佐藤政権のときに。そして、この核爆弾を潜在的保有する能力はずっと持ち続けていようという研究、報告も出ているんです。

 清水:佐藤さんが前言っていたように、「あの国、核武装できるかも」と思わせると、外務省的にいうと外交力が増すと。
 佐藤そうそう。隠れた外交力になるんですよ。そういうのがあって、核燃料サイクルはこの2つの理由でどうしてもやめることができない。だけども、これをやってるから日本は原子力から足が抜けないんです。だから河野さんとしては、核燃料サイクルはやめましょうというのが持論で、これ河野さんという政治家から核燃料サイクルやめましょうという主張を抜いたら、存在がなくなってしまうくらい、河野さんの人間としての骨格をなしているところですよ、核燃料サイクルは。だから、これはどうしてもぶつかるんですよ。
<以下略>

 スガ本人は、福島原発事故にともなう放射能汚染水の海洋放出(廃棄)決定を果断な処置のようなことを言っているが、これは、世界の人から見れば、「犯罪的」行為に映るだろう。もし、核燃料再処理工場の高濃度廃液が地震や事故で太平洋に流れ出せばどういうことになるか、日本の核燃料サイクルは世界に対する責任を負っていることを改めて考えさせられる。閉じた空間の思考でどうにかなる時代ではない。


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