ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

菅の不出馬 続 政局ばなし

 昨日昼、スガ首相は来たる自民党の総裁選に出馬をしないと言い出した。総裁選にもコロナ対策にも莫大なエネルギーを費やすため?「(総裁選よりも)コロナ対策にセンニンしたい」(字幕には「専念」と「専任」の2つあり)というのが出馬断念の理由だが、もはや誰も真に受ける者はいない。
 コロナ対策とオリンピックは「両立」できるが、コロナ対策と総裁選が「両立」できないとは、これいかに?
 非常事態宣言下でもオリンピックはやるが、飲食店には営業停止を要請するがごとし(お粗末!)

 揚げ足とりをしたいわけではないが、これを見たとき、ある意味、スガ首相とこの政権の「言葉の問題」を象徴している感じを受けた。一部テレビが「専念」の字幕をつけていたが、本人のしゃべりは「センニン」だった。本来は何ということもないささいな間違いであり、メディアも文脈を慮ってそれとなく訂正したつもりが、これをしたために、スガの日本語能力の程度をまたまた国民に印象づけた。ミスは、繰り返されてきたスガの独善と一方通行の話法のイメージに直結し、「やっぱりダメなのだ」という失望や憤りにつながっていく。

 毎日新聞主筆・前田浩智氏はスガ政権の1年を振り返ってこう書いている。
「言葉」も貧弱だった。この1年で顕在化したのは、国民と向き合うことなく、説明を型通りにすませる独善的な姿勢だった。……
 民主社会で重要なのは、政府が市民と課題を共有し、解決に向け協力を得ることである。その際に欠かせないのは政治への信頼であり、リーダーの言葉こそが醸成する力を持つ。冗舌である必要はない。ただ、ペーパーを棒読みするような話法では国民に伝わるはずもなかった。

菅首相退陣 安倍政権からの総括を=主筆・前田浩智 | 毎日新聞

 実際は「ペーパーの棒読み」も危ういのである。
 スガも、この不評の中、自身としては精一杯やっていただろうし、事実、9月に入るまでは総裁選出馬への意欲を失っていなかった。いつ転機が訪れたのだろうか。
 昨日(9月3日)の「一月万冊」の中で、ジャーナリストの佐藤章さんは、こう解説していた。

特ダネ・菅首相退陣の真相!緊急取材。自民党総裁選不出馬を決意させた二階幹事長の裏の決断。次は河野太郎政権の誕生か?元朝日新聞記者ジャーナリスト佐藤章さんと一月万冊清水有高 - YouTube

 昨日(2日)、菅さんと二階さんの10分くらいの会談があったじゃないですか。みんな、菅さんは何をしに行ったんだろうかと周りはみんな色めき立ったわけですよ。菅辞任じゃないかと、永田町に憶測が流れたんですよ。で、菅さんは二階さんに総裁選出馬を改めて報告したということなんだけど、考えてみれば、それはおかしな話なんですね。何で今さらそんなことを言いに行くんだと。それは前に一度報告してるはずだと。不思議な感じがあるわけですよ。
 で、その真相がわかりました。その会談が(不出馬の)ポイントだったんです。幹事長候補として小泉進次郎さんが急浮上して、菅さんはとにかく小泉さんにやってもらいたいと。ところが、そのニュースが党内に拡がると、ものすごい反発の声が出たんですね。中谷元さんなんか電話しまくって、それはダメだと。菅さんとして困った状態になって、そこで、二階さんに相談に行ったわけです。協力してくれませんか、幹事長を小泉にやらせたいんだけど、と。ところが、味方をしてくれると思った二階さんが何と「小泉じゃダメだろ」と。さすがの二階さんもダメだししたんですね。「あれじゃ、まとまらんだろう」と。
 で、その会談が10分間で終わって、そのときに菅さんが「じゃあ、やめます」とは言わなかったけれども、その二階さんの言葉を頭に刻んで帰った。でも、菅さんにはもう幹事長の候補がいないんですよ、他に。第二の候補として考えていたのは、石破さん、あるいは、河野さんなんですけど、石破さんは安倍さんが絶対に許さない。石破さんが幹事長になると何をするか分からない(モリカケサクラのこともあるし…)。河野さんはちょっと声がかけにくい。ちょっと躊躇したらしいんですね。そこで、菅さんとしては万策尽きたと。萩生田さんにも全然声をかけなかったということで。結局、辞任(不出馬)と。そういうことになったわけですよ。

 小泉進次郎は涙ながらに「こんなに仕事をした総理はいなかった」とスガを持ち上げていたが、もはやむなしさしかない。

 スガと麻生・アベとのやりとりはこちら。
「お前と一緒に沈められねえだろ」声を荒らげた麻生氏 首相“孤立”の瞬間(西日本新聞) - Yahoo!ニュース


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