ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

広島・買収事件 全員不起訴のこと

 広島・河井夫妻の公職選挙法違反(買収)の件、夫妻から現金を受け取って告発された地方議員ら100人を、東京地検特捜部は6日、全員を不起訴処分(起訴猶予)にしたとのこと。
現金受領100人、全員不起訴 河井夫妻が買収 東京地検 | 毎日新聞
被買収100人全員不起訴 河井元法相事件 検察「受動的」 | 中国新聞デジタル
河井夫妻事件被買収者“全員不起訴”で「検察の正義」は崩壊(郷原信郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

いくらなんでも、これはひどい。ポケットに現金をねじ込まれるなど、(意に反して?)河井から無理やりわたされた、だからいいんだ(!)、ということになったら、以後受け取った側はみんなそう言って逃げるだろう。司法取引があるとは言っても、量刑の酌量くらいを落としどころにしてもらわないと。これはもう一度検察審査会で起訴相当の判断が下されるべきだ。その一方、もしかして、これは本丸逮捕へ進むシグナルか…という予感もした。

 昨夜(7月6日)「一月万冊」で佐藤章さんがこのことを解説していて考えさせられた。話の一部を以下に引用する。

特ダネ解説!安倍逮捕の動き。検察の捜査は進んでいる!河井元法相夫妻から買収の100人全員不起訴の裏。現地情報含めてここだけの話をします。元朝日新聞記者ジャーナリスト佐藤章さんと一月万冊清水有高 - YouTube

 佐藤普通だったら、あれ? おかしいんじゃないの、と思うんですけど、意味合いをよく考えると、なるほどね、と。これは安倍前首相がもし事情がわかっていれば「うーん、まずいことになった」と考えているかも知れないですね。
 中国新聞とか、NHK、朝日、いろいろなところがこれについて書いています。告発した市民団体が言っているように、カネを受け取った側が全員不起訴では「悪習を絶つことができない」し、「処罰の公平性にも多大な疑問がある」というのは確かにその通りなんです。しかし、今回のケースは非常に特殊なんですね。どう特殊なのかというと、2つあって、1つはかつてない大規模買収事件であるということ。もうひとつは、自民党本部から1億5千万円というとてつもない大金が河井陣営に流れていること。どうしてこういう買収事件が生じたのか、という根本的な構造が問題です。これは河井さんのバックに安倍政権という大権力があったからできたことなんです。これが他の普通の政権だったら、こんな大規模買収事件は起きないし、1億5千万円という大金も流れてこない。だから、逆に、もし、受け取った側の人たちを罰してそれで終わりにしたら、それにも疑問がわく。それでは意味がない。バックにある安倍政権というおおもとを正さなければいけない。林真琴検事総長をトップとする検察には、それは百も承知のことなんです。

 広島に在住する方から写真を送ってもらいました。1つめは、河井案里さんの応援に、当時安倍政権の官房長官だった現総理の菅さんが来ることを知らせる立看板ですが、これが県内至る所に立っていたというんですね。それだけでも相当なお金がかかる。それから2つめが、安倍さんと河井案里さんの幟。これも同じように県内至る所に立っていて、これもすごいお金です。余談ですが、この幟はバス停に立てられていたらしいんですけど、公職選挙法上は、そういうところに立ててはいけないことになっていて、数日後に取り外されたらしいんですけどね。それから3つめは郵便物。「だから河井案里さんを」って見出しがありますが、この広報は県内に3,4回全配布したらしいんです。ということで、巨額な金額がつかわれた選挙であったことがわかります。
 それから新人の河井案里さんを応援するために自民党総動員で、河野太郎さんとか、「恥を知りなさい!」の三原じゅん子さんとかも来てるんですが、二人とも溝手さんの応援には行ってないということなんです。広島選挙区で自民党議席独占を狙ってという表向きの理由とは裏腹に、もう一人の自民党候補者の溝手さんには応援に人を出さない、選挙資金も1億5千万の案里候補の10分の1。こんな不公平な選挙はないですよ。これ、安倍さんはよほど溝手さんを落としたかったとしか思えない。 
 関係者の話を総合すると、溝手さんもけっこう思い切ったことを言う人で、それを安倍さんが不快に感じていたのかも知れませんけど、溝手さんの経歴をふまえると、溝手さんという人は努力を積み上げてきた人で、そういう人から見ると、閣議なんかで一緒になるわけでしょ、安倍さんと。そういう姿を見ていて、こんな人が総理大臣で大丈夫かよと思うのは無理もないと思うんですよ。実際、安倍さんがやったことって嘘八百なんですから。コロナが起きてからはウィルス対策はでたらめだし、官僚機構はズタズタ、自分で努力をしようとしない。「はっきりものを言う人」を恨んで、いつまでも根に持って、復讐心だけは強い。そう考えていくと、河井案里さんの大規模資金投入、大規模動員の選挙の説明がつくんですよ。

 清水これは憶測で言ってる話ではなくて、石破茂さんが選挙をしきる幹事長をしているときに参院広島選挙区に自民党から二人の候補者を立てようという話が出て、石破さんが「ちょっと待ってくれ、広島は自民党が二人も当選するところではない」と安倍さんの話を止めた過去があるんですよね。

 佐藤そう。そのときは石破さんの「良識」で止まった話なんですね。それが、再出して、今度は実行されたわけです。これは溝手陣営に言わせると、「惨劇」だと。

 清水「惨劇」…。その「惨劇」を国民の公正な意思を問う国政選挙の場で1億5千万ものお金、その8割は政党助成金だから税金で、その半分を安倍さんが持って行ったかもしれない(トリハン)、その情報を検察がある程度つかんでいるということですね。

 佐藤政界の隠語でとりあえず半分ずつ山分けにすることを「トリハン」と言うんですけど、安倍さんにはその「トリハン」疑惑があるわけです。1億5千万だからその半分、7千500万。河井克行さんは買収資金の2,900万円は自分のお金から出したと言ってますが、たぶんそれはちがうでしょう。7千500万から出したと考える方がふつうです。すると、残りが4,600万。それをさっき言った立て看や幟、広報誌につかったと。溝手陣営によれば、河井陣営の選挙費用は総額3億くらいかかってるんじゃないかというんです。彼らだってこれまでの選挙の経験からだいたいの見当はつくはずですから。
 河井克行さんから30万円をもらった町議の証言は実に生々しいです。「こんなんせんほうがいい」と二度断ると、河井さんが小声で「安倍さんからじゃけえ」と言われびっくりしましたとあるんです。金額的に言えば、他にも、300万もらった人もいるし、これは出てきてないけど、1千万もらってるんじゃないかと噂されている「大物」もいるんですね。裁判には出てきてないけど、町議にこういう話をしていたとなると、「大物」の人たちにはいったいどういう話をしていたのだろうか、もっとつっこんだ話をしている可能性がある。それが、広島の関係者の間でささやかれているんです。地検はこれらの話を聞くために広島に入っている。

 1億5千万円は分割されて河井陣営に振り込まれているんですけど、お金が振り込まれるたびに、程なく河井克行さんは官邸に安倍さんを訪ね、20分から30分くらいサシで話をしてるんです。二人だけの密室の話だから何を話しているかはわかりません。ここでトリハンが行われていたかどうかも、もちろんわかりません。
 ただね、河井克行さんの保釈請求は却下されてますよね。量刑はともかく、本人は買収の事実自体は認め、確定してるんだから、保釈が認められてしかるべきです。しかし、裁判所は、河井さんの証言をそのまま信じているわけではないようです。これは検察も同じで、保釈に断固として反対している。なぜか? それは、安倍さんと河井さんの間の連絡を断絶しておかないと、口裏合わせをされかねない、それを防ぎたいということです。そうでなければ、一審で実刑判決が出ていて、保釈を認められないということはあり得ないんです。もし、河井さんの買収だけが問題だったら、保釈されるはずだから、問題はそれではないということです。
 しかし、トリハンについては二人だけの密室の話だから証拠は出てこない。そこで、河井さんが町議や県議、その他「大物」まで含めてお金を配ったときにどういう話をしているかを一つひとつ聞き取って積み上げていくしかないんですよ。たぶん、河井さんはポロッと重要なことをしゃっべているんでしょう。噂ではいろいろとそういうのが取り沙汰されている。それを逐一聞き取って調書にして、証拠にしていく。でも、中には、調書の最後に「これで間違いありません」という印鑑を押す時点でためらう人もいるでしょう。こんな調書を出してしまって、将来大丈夫だろうか、情勢が変わったときに自分はどうなるのか、と考える。当然のことです。だから、検察からしたら、早い話、誰がゲロったかわからないようにしたい、そのためには全員不起訴にすれば…と考えたんじゃないか、ということなんです。

<以下略>

 アベシンゾー逮捕に向けた望まない一過程なのだろうか。小悪よりは巨悪。でも、どちらも「悪」にはちがいない。釈然としない思いは消えないが…。

※「選挙買収」と「贈収賄」を混同している箇所を一部訂正しました。




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