ジャーナリストの齋藤貴男さんが以前にデモクラシータイムスで、日本政府は中国のように国民を管理統括したいのだが、無能であるがゆえにできずに助かっている部分もある、というようなことを述べていた。対談に同席していた人たちは笑っていたし、見ていた小生も笑い半分で受け止めていた。しかし、今回のオリンピックで随所に現れる政府の無能ぶりはちょっと笑えない。
6月19日(土)に来日したウガンダ選手の中にコロナ陽性者が見つかり、他の選手を「濃厚接触者」として対処せずに大阪の合宿所へ移動させた件に関し、21日の政府ヒアリングで、次のようなやりとりがあったと報道されている。
ウガンダ選手団 濃厚接触者の調査せず大阪に移動 | KSBニュース | KSB瀬戸内海放送
ウガンダ選手団で“陽性”も濃厚接触調査せず移動|全国のニュース|KFB福島放送
大森康宏内閣官房参事官:「入国当日の検疫中において、濃厚接触者であるとかないとかという判断はなされていないというふうにお聞きをしております」
立憲民主党・逢坂誠二衆院議員:「そもそも、濃厚接触者であるか否かを判断するような行為を行っていない?」
大森参事官:「入国後に航空会社に照会するなどして濃厚接触者かどうかの判断をされると伺っています」
逢坂議員:「入国後に?それは誰がやるんです?」
大森参事官:「検疫です」
逢坂議員:「検疫が今やっている?」
厚労省検疫担当:「検疫じゃないです」
……
検疫担当:「すみません、検疫ですけど、そこは事実誤認かと思いますけど、受け入れ自治体において、受け入れ自治体の保健所が濃厚接触者の認定をされるということですよね」
逢坂議員:「検疫の方は、それじゃ、入国前の段階で陽性者が出て、その陽性者に関わる濃厚接触者は誰であるかの判断は、その段階ではしていないということですか」
検疫担当者:「していません」
大阪府・吉村知事:「陽性者の管理をしている自治体の保健所が濃厚接触調査をするということになりますが、今回は陽性者が成田にいます。検疫の管轄にありますので、大阪府には何ら管理権がない」。
で、結局、行った先の自治体があれこれの管理を迫られる。陽性者とともに同じ機内にいた乗客は追跡さえされていない。外国の選手は今後続々と入国し、ピーク時にはどれほどの数になるのかわからない。最も肝要な「水際対策」がこれほど「ザル」だったとは、その実態もさることながら、責任者たちの発言にも驚きである。
政府関係者の有観客への執念にもあきれる。これは2万人と言われる開会式の観客の内訳を示した図だが、
(日テレ NEWS24より)
各競技の方は観客数を上限1万人とすることで合意したと言いながら、IOC関係者は別枠だという。さらに、IOC関係者だけを優遇しているように見えるのはまずいと思ったのか、学校連携の児童・生徒も別枠で入れるとのこと。
五輪観客 学校単位の応援、IOC関係者 上限とは「別枠」に | 毎日新聞
丸川珠代五輪担当相曰く、「学校連携の児童・生徒の引率者は、会場の行き帰りも行動管理がなされ、人流(人の流れ)への影響もない」――火事の現場に無理やり動員しておいて、火傷したら引率者のせいにするのだろうか。しかも、重大なのは、動員された人たちが負傷するにとどまらず、「種火」があちこちに拡散する恐れがあることだ。
選手のみなさんには、本当に申し訳ないが、こんな状況では安心してオリンピック競技に参加できないと声を上げてもらえないものか。
これも今「無理」に行われているサッカーの南米選手権は、無観客で行われているのに、開幕一週間でもう感染者が80名を超えているというではないか。
サッカー南米選手権 選手など82人が新型コロナ陽性 | 新型コロナウイルス | NHKニュース
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