ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

決められない五輪 本間さんの話

 昨日の浦添市長選挙は残念な結果だった。昨夜、伊礼候補の事務所のLive映像を見ていたが、入ってくる開票速報の票数がずっと同数で拮抗していたので、今朝、確定結果を見て、こんなに差がついていたのは驚きだった。
 でも、これで終わりではない。敗因の分析や今後の検討はそれとして、まずはみなさん、自らをねぎらいつつ、しばし体を休めてほしいと思う。

 さて、話は変わって東京五輪である。森喜朗の失態で世界から非難を浴びる中、何と、森の後任にアベをつけるという話が浮上しているらしい。半年前に病気を理由に総理大臣を辞め、その後、国会で公然と嘘を繰り返したことを認めた男である。誰が言い出したのか知らないが、いい加減にしないと世界中のもの笑いになっていく一方だ。

 週末の「デモクラシータイムス」に、東京オリパラ情報の「第一人者」(と当方が勝手に思っている)本間龍さんが出演されていた。いろいろなところで語られてすでに周知のことも含めて、本間さんの話をいくつか拾ってみる。

https://www.youtube.com/watch?v=Neuh_bG8tg4

 
 コロナの中、今一番厳しいと思うのは医療関係だが、その医療関係者が東京オリンピックは無理だと言っている。東京の医師会の会長さんも無理だと言っていた。無理というのはいろいろな段階があるが、まず、海外からお客さんを招く普通のパターンでは対応ができない。もし、どうしてもやるのなら「無観客」というのがスタートラインになる。もちろん「無観客」でやるかどうか、何も決まっていないが、医療的には相当難しいのではないか。それでも、どうしてもやるんだという人はいるが、そういう人たちの議論に欠落しているのは、コロナ対策費にいったいいくらかけるつもりなのか、ということだ。ここまできたらやらなければいけない、アスリートのためにもやらなければいけないと言うが、そこに莫大な税金が注ぎ込まれることになる。組織委員会にはそこをなんとかできる金は全くない。関係者から、コロナ対策費で1,000億円以上かかるだろうと言われていたあの見積もりはめちゃくちゃいい加減などんぶり勘定だと聞いている。もし、選手たちを完全に隔離し、成田から選手村まで移送するのに一人一台ハイヤーを手配し、PCR検査を毎日やるとか……もう、莫大な金が必要だ。しかし、具体的なシミュレーションをやって精緻なコストを計算することは今の段階で全くできていない。選手は1万人以上、関係者も含めれば、2万、3万人以上、これらの人々を動かすための細かいコスト計算をすべてやって、金額を算出して、それでどうするかを考えなけれならないのに、今、何も語られていない。

 たぶんお金の話はできないんだろうと思う。8割の国民が夏の開催は無理だと言っているときに、通常のコロナ対策費ですら足りていないのに、なぜオリンピックのコロナ対策費にこんなにお金をかけるんですかという話になる。その議論が怖いので、金の話をなるべく避けている。組織委員会の幹部もオリンピックにいくら金がかかるかは正直終わってみなければわからないと言っている。本来そこを全国紙の大新聞が問題にしなければいけないのに、スポンサーになっているから叩けない。それをおざなりにしたまま、何とかやる方向で方法を考えろというのはおかしい。

 延期論もあるが、それは全くあり得ない。というのは、IOC組織委員会も再延期はないと断言している。今回の一年延期ですでに3,000億円くらい追加の予算がかかっている。もう一年延期したら、また同額のお金がかかることになる。それから、組織委員会は今3,500人くらいの人員がいるが、そのほとんどが出向者で、電通地方公共団体などから、特に、東京都からは1,000人くらい出ている。延期すると彼らの人事計画がすべてくるってしまう。さらに、来年に延期すると、当然冬のオリンピックと重なってしまう。それにプラスしてサッカーのW杯もある。オリンピックとW杯は2年ごとに交互にやることでブランド価値を高めてきたので、一緒にやってしまうと観客の興味が分散するとか………。と考えると、再延期はほぼないかなと思う。

 (中止をした場合、IOCの収入は今73%が放映権料で、東京五輪がなくなれば20億円くらい?の損失になるのでは……)それは保険でカヴァーされる。「連中」もタダでは転ばないので。ただ、オリンピックが中止になるのは悪しき前例をつくることになるので、それは何としても避けたい。だから無観客であってもやりたいのだろう。アメリカの選手が出てくれて、NBCが放送してくれさえすればお金は入るんで。だから、アメリカの判断と影響力は非常に大きい。

 (このまま引きずっていっても、どこかでお手上げになる気がするが……)もうすでに遅いんですけど、僕が考えている中止決断のタイミングは去年と同じ聖火リレーが始まる前、つまり3月25日。でも、ぎりぎりのタイミングで発表すると、スタートの福島県が大変なので、その10日くらい前には決めるのではないかと、だから、3月半ばくらいと思っている。IOCの総会が3月10日にあるので、それが終わったくらいのタイミングではないか。

 夏にオリンピックをやってその高揚感が残る中で総選挙をやってという青写真だったと思うんですけど、もし、6月下旬や7月の開幕直前まで引っ張って、やっぱり無理でしたって話にはできない。その2か月後くらいに衆議院選挙をやったら相当な打撃だろう。それなら、3月でスパッと止めると決断する方がマシだと思う。与党というか自民党にとってはこういう「お荷物」は一刻も早く片付けた方がいいのではないかと思う。

 普通にやったら200か国から選手が来ると言われているが、これはほぼ無理だろう。予選もできていない、ワクチンも行き渡らない。「途上国」がワクチン接種から切り捨てられるということになると、公平公正な競技になるのかという話になる。だから、無観客だからすぐにできるという話にもならない。すべての種目の中でまだ4割くらいが選手が決まっていない。予選も4月くらいまでは全く開けない。これでどうやって代表選考するのかというと、去年までの世界ランキングだとかという話になって……。そんな状況になってもやらなければいけないのか、という議論は当然出てくると思う。

 だから、オリンピックができるのかどうか、何のためにオリンピックをするのか……全国紙が取り上げて議論しなければならないのに、大新聞がみんなスポンサーになってしまったというのが、今になるとボディーブローのように効いてきている。今、森さんのことで、毎日や朝日がいろいろな記事を載せているが、もし、森さんの問題が起こらなかったら、あとはスルー状態だ。珍しく五輪に批判的な記事を載せてるなと思うと、これは誰か識者を呼んできてインタヴュー記事で語らせるという形で、その人が勝手に言っていることになっている。こんなに巨額の金をかけてオリンピックをやる、元々は7,000億ちょっとでやる話がもうすでに3兆円くらいになっている、そこにコロナでさらに追加でいくらかかるかわからない、そういう状況を全国紙がどこも書かない。すると、テレビ局も触れない。大メディアがスポンサーになっていることが、ここにきて本当に大きな縛りになっているなと思う。


 一昔前に「決められない政治」というフレーズがはやったが、民主党政権から自民党政権になってこれが解消したかというと、アベや森のような厚顔無恥(無知)なリーダーに便乗して、コネや利権優先の「決めごと」はするが、国民生活に直結する事柄は不正とゴマカシで「無視」と「先送り」を繰り返してきたというのが実態ではなかったか。
 オリンピックもアメリカが「日本には選手を派遣できない」と言ってくれるまで(!)中止の決断ができないとすれば、情けない話だと思う。




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