ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

バイデン新大統領の就任式を見て

 昨日アメリカのバイデン新大統領の就任式があった。深刻な社会の分断やコロナ禍の中、厳しい舵取りが予想されるが、人々の「意志」と「夢」と、それから「連帯」をつないでいく存在であってほしいと願う。

 参列者の中に、民主党の大統領指名選挙で争ったバーニー・サンダースの姿が見えた。その飾らない人柄が服装にも現れていると少々話題になっているが、彼の手袋のことを話題にするのは “パンケーキ“ を話題にするのと同列な感じがするので、ここでは別のことを取り上げたい。

 「サンダース世代」という言葉がある。サンダース氏を支持しているミレニアル世代(2000年以降に成人した世代)のことだそうだ。この年齢層は「世代」として一括りにできるような共通の体験を経ている。彼ら彼女らは、社会人生活のスタートにあたって、大きな借財と向き合わなければならなかった。大学に通うために、お金を借りるのはアメリカでは普通のことだが、共和党政権時代に大学予算がカットされ、授業料と入学金が跳ね上がったことがこの負債を大きくした。これはお金を借りる個々人の問題に矮小化できる話ではない。学生や若者たちは、前回2016年の大統領選挙で抗議の声を上げた。そのとき公立大学の授業料無償化を掲げていたのが民主党の大統領候補サンダース氏だった。彼は若者から絶大な人気を得た。それは今も変わらない。この国の報道ではトランプ支持者の勢いばかりが目立ってしまうが、今もその対極にはこうした人々の声があることに目を向けたい。

 一時代前の内容だが、 「HUFFPOST」にRobert Kuttner氏の記事がある。

「サンダース世代」とは何か? 社会主義者・サンダース氏を若者が支持する理由 | ハフポスト


 もうひとつ、式典で詩を朗読した大学生のアマンダ・ゴーマン氏のことも。アメリカの大統領就任式では詩人が自作を朗読する伝統があるそうだが、彼女の詩に感銘を受けていた新大統領夫人のジル・バイデン氏が若き彼女を推薦したという。1月6日に発生したアメリカ議会襲撃事件に衝撃を受けた彼女は、詩の大部分をその日の夜に一気に書き上げたとのこと。彼女が朗誦した「われらが登る丘 (The Hill We Climb) 」の最後の部分を下に引く。

歴史的な5分間のスピーチ全文…アマンダ・ゴーマンは大統領就任式の主役になった | Business Insider Japan


我々の過ちは子どもたちの重荷になるが、一つ確かなのは、慈悲と力、そして権利と力を結びつければ、愛が我々の遺産となり、子どもたちは生まれながらにして恩恵を得ることになるだろう

だから我々は、自分がいた頃の国よりもよい国になるようにしよう。私のブロンズの胸が呼吸するたびに、我々はこの傷ついた世界を驚異的な世界に育てていくのだ。

西部の黄金の丘から立ち上がろう。風の強い北東部から立ち上がろう。そこは我々の祖先が最初に革命を実現した場所だ。中西部の湖畔の町から立ち上がるのだ。日焼けした南部から立ち上がるのだ。我々は再建し、和解し、回復するだろう。我々の国の隅々で、我々の国のあらゆる場所で、多様で美しい我々国民は、打ちのめされながも、美しくなっていくだろう。

日が登れば、我々は恐れることなく、炎の陰から出ていく。恐れを解き放てば、新しい夜明けが来る。我々がそれを見る勇気があれば、我々がそれをする勇気があれば、そこにはいつも光があるのだ。


 彼女は「………2036年、私はアメリカの大統領に立候補する」と述べているそうだが、そのシーンを目にするとき、自分のいる国はどうなっているだろうか。

 次は日本の番だと思わないわけにはいかない。



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