総理大臣の「記者会見」なるものの“実態”が分かってから、会見をテレビで見る気が失せているのだが、昨晩のように一様にどのチャンネルでも流されると、はた迷惑な感じだ。 千葉テレビなら、得意の演芸か時代劇の再放送でもやってるのか……と思ったら、こちらは森田・千葉県知事の会見の準備とかで、会場の映像だけが無音で延々と続いていて驚いた。「大本営発表」というのは歴史の遺物かと思っていたが、こういうことなのだろうか。頼みの綱はETVのみ…。
さて、昨日非常事態宣言が出され、千葉県もその対象都府県のご指名を受けた(愛知県が外されたのは意味不明だが…)。宣言が出されて、今までと何が変わるのかはよくわからない。仕事がなくなり、店を閉め、家にこもるようにと言われている国民の多くは変わらず困惑している。総理大臣は「一世帯30万円」、「事業規模108兆円(何が含まれているのか定かではない!)」、「過去にない強大な規模」で「事業の継続を後押しし、雇用を守りぬく」と力説するが、これはリーマンショックとはちがって単に景気が悪化するという話ではない。「事業規模」とか「経済対策」とかいう語が続出することには違和感を覚える。国民の健康と命を救い、生活を支えることができて、はじめて景気が支えられる。そう考えれば、なぜ他国と同様の一律給付をして国民全体を安心させようとしないのかと思う。「一世帯30万円」の話も、煩雑でハードルが高く、実際に何人(いや何世帯?)受け取れるのかという疑問の声がある。結局、総支給額は予算の半分にも達しないのではないか、それも織り込み済みで言っているのではないかという指摘もある。総理本人が口で言うほど、これらが“国民を守り抜く”中身になってはいないのだ。「桜を見る会」では散々税金を無駄遣いしてきておいて、国家的な危機になったら、これかよ! という批判が出るのも無碍なるかな、である。
いや、実はそうではないのかもしれない。我々は国家という組織の会員であって、税金というのはその会費だから、何らかの形(サービス)で会員に還元されるものと思っている。かつて見た税務署のパンフレットにもそんなことが書かれていた。しかし、この総理大臣やその周囲の人たちの頭の中は、そうなっていないのではないか。国家予算=税金の配分先は自分(たち)が決めることで、“見返り”がないところに税金を配分しても意味がない。企業に配分すれば“見返り”があるが、国民すべてでは“見返り”もなく“タダどり(否、タダどられ)”同然。だから、国民に配分するなら選挙区民だ!(山口4区の方々、申し訳ないです。しかし、これは桜を見る会と同じ理屈です。現状ではみなさんの投票と日本国の政治が最も直結していると言えます)。
これは関係ないが、民主党政権時代をこの総理大臣はずっと「悪夢」だと称してきた。このあいだも「国会ではそんなことは言っていない」などと嘘もついた(これに限らず、この総理大臣は嘘が多過ぎて辟易する)。しかし、あの「東日本大震災」当時、菅首相はどうだっただろうか。今のこの総理大臣よりはもうちょっと“まっとうな”ふるまいだったのではなかったか。そもそも、短期間にころころと政権が替わって日本の政治が「不安定化」したというのは、民主党政権から始まったのではなく、今のこの総理大臣の第一次政権からである。あのときには、突然政権が放り出されてみな驚愕したが、そのうちにまた同じことをするのでは、という気がしてきた。まあ、それだったら総理大臣の記者会見をテレビで見るのもやぶさかではないが…。