ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「五輪依存症」と「平和ボケ」

 2030年冬季五輪・パラリンピックの招致を検討していたカナダは、候補地バンクーバーのあるブリティッシュコロンビア州政府が、10月27日、財政上の懸念を理由に招致を支持しないとの声明を出し、撤退する見込となったとのこと。残る候補地は札幌とソルトレークシティーの2つとなりました。ソルトレークシティー2034年大会の招致を優先させるという噂もあり、何やら嫌なムードになってきました。
バンクーバー招致、州不支持 札幌も候補の30年冬季五輪:朝日新聞デジタル
【開催経費170億円増】札幌・冬季五輪招致 物価上昇など反映 | 北海道 | ニュース | STV札幌テレビ

 札幌市と日本オリンピック委員会(JOC)が設立したプロモーション委員会は同じ27日に、「世界が驚く、冬にしよう」なる招致活動スローガンを決めたといいますが、しらけた空気が漂います。東京五輪汚職の捜査が進む最中に、また五輪をやろうという「非常識」には、「世界が驚く、贈収賄」「オリンピック依存症」などと、早速、揶揄・批判の声も上がっています。まともな決算報告もせずに(闇に葬り)、またお祭り騒ぎをしようというのですから、当然の反応です。
「世界が驚く、冬にしよう。」30年冬季五輪の招致スローガン決定 山下泰裕会長「力強さある」

 こんな中、スピードスケートの小平奈緒さんが引退の記者会見で、2030年冬季五輪の札幌招致活動に参加を要望されたものの、断っていたことを明らかにしました。「スポーツの純粋な楽しさをもう一度、考えたいと思っているので、今は札幌五輪に関してはいったん置いている」とのこと。五輪の舞台で金メダルをとった選手からして、この招致活動にかかわることを思いとどまるのですから、これはやはり「異常」なことです。

 五輪を利権の巣窟にした輩の「一部」は今司直の手によって裁かれようとしていますが、「残り」は懲りることなく再び「五輪」利権にしがみつこうと画策しています。「五輪」利権の癒着構造については、アルジャーノンさんが昨年noteに書いているとおりだと思います。昨年の東京五輪閉幕日に当たる2021年8月8日付記事より一部引用させてください。
IOCと日本の特権階級が癒着した「五輪」利権の構造|アルジャーノン|note

……五輪関係者がよく使う「アスリートファースト」なる言葉も単なるポーズに過ぎない。五輪選手は実質的にIOCという企業に臨時的に雇われた使い捨ての筋肉労働者だが、五輪の総収益から彼らに還元されるのは僅か4.1%で、あとは全て雇用主IOCの取り分。
参加選手たちは「オリンピアン」などと褒めそやされ、五輪に出場できるだけでも大いなる名誉と洗脳されているから、「分け前が少ない」との文句が出る心配もない。
また、IOCが本当に「アスリート」のことを第一に考えているのなら、そもそも選手にとって最も過酷な季節である7~8月の猛暑期に五輪を開催するなどあり得ない。
理想的な季節である秋に開催しないのは、秋だと米国の人気スポーツ「アメリカンフットボール」中継と競合して高額の放映権料が見込めないという理由からだ。
この一事を見ても、IOCの「アスリートファースト」なんてちゃんちゃらおかしいことが分かる。IOCは正直に「本当は、マネーファーストなんです。」と言うべきなのだ。

 
日本は今後二度と五輪を招致してはならない
 高すぎる授業料を払ったが、それでも今回の騒動でIOCが「今だけ金だけ自分だけ」の醜い新自由主義金儲け興行主である事が国民の多くにばれたのは一歩前進。
IOCの本業は、巨大なスポーツビジネス・グローバル企業。五輪憲章に掲げられた美しいスローガンなど、スポーツを金儲けの道具にしているIOCの汚い実態をカモフラージュするための嘘八百に過ぎない。……
日本は今後二度と五輪を招致してはならないし、人類のために一刻も早くIOCという名の「悪魔の組織」を解体すべきなのだ。

 アルジャーノンさんは「日本は今後二度と五輪を招致してはならない」と結んでいます。しかし、「高すぎる授業料」を払ったのにもかかわらず、「費用対効果」が見込めるかどうかわからなくなってきました。

 今朝不意に「平和ボケ」という言葉が浮かびました。「平和だからボケる」「平和過ぎてボケてくる」という意味だと解釈していましたが、実はそうではなく「ボケているから『平和』だ」「ボケ過ぎているから『平和』に見えてくる」と、逆なのではないかと思えてきました。オリンピックを「平和の祭典」などと称して平気でいられるのも、この「ボケ」が大いに貢献しているように思います。



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