ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

嘉納治五郎財団の解散

 先日、東京五輪パラリンピック組織委員会の会長を退任した森喜朗代表理事を務め、東京五輪の招致活動に関わっていた「嘉納治五郎財団一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」)には、招致をめぐる使途不明金や裏金の噂が絶えない。不自然なことに、2020年末で活動を終了しており、ますます疑惑が深まっている。

 一月万冊・清水有高さんが自身の配信する2月15日付の動画で、この問題についてジャーナリストの佐藤章さんと対談している。要約を以下に記すが、こうしたカネにまみれた裏世界の話を知るにつけ、オリンピックの開催に拘泥することにつくづく嫌悪感をもつ。国としての “名誉” がまだ少しでも残っているのなら、中止の判断をするべきだと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=Q8d2F8dsBRs&feature=youtu.be

 「嘉納財団」をめぐる疑惑がある。週刊新潮(2020年2月20日号)が報じているが、政界の中でも知っている人は知っている話だった。それによれば、まず、この財団、名前は「嘉納財団」だが、ここに嘉納さんの親族が関係しているという話は一切ない。名前だけ。だから、このことを知るオリンピック関係者、特に柔道関係者は「嘉納先生の名前を汚している」と、相当怒っているという。
 東京オリンピックの招致をめぐってはカネが動いていたという疑惑があり、フランス当局が動いた。日本オリンピック委員会竹田恒和会長も疑惑を受けて辞任することになった*

注)* 東京大会の招致疑惑:招致が決まる2013年9月のIOC総会の前後に、東京オリンピック招致委員会からシンガポールコンサルティング会社、ブラック・タイディングズ(BT)社に支払われた約2億3,000万円の一部が、IOC委員ディアク氏とその息子を通じてIOC委員の買収工作に使われたというもの。竹田会長は「正当なコンサルタント料」と主張した。

 ラミーヌ・ディアク(セネガル)という人は国際陸連の会長(1999-2015)でIOCの委員を務め、五輪開催地を決める投票権をもっていた。息子がパパマッサタ・ディアク(国際陸連コンサルタント)といい、この親子に招致委員会からコンサル費用の名目で2億3,000万円が振り込まれたと見てフランス当局が捜査を始めた。この2億3,000万円の出所だが、週刊新潮によれば、この金は嘉納財団から持ってきたものだという。では、この2億円を超える金を嘉納財団はどこから調達したのか。ゲーム業界では有名なセガサミーホールディングス代表取締役会長の里見治(はじめ)さんという人がいるが、政界のタニマチ(スポンサー)として知られ、この人がオリンピックのために金を出したという。週刊新潮が書いているこの部分を読んでみると、
 
 2013年秋ごろ、里見さんは東京新橋の高級料亭にマスコミ関係者や広告代理店、政治家を十数人集め、こんなことを言った。「東京オリンピックは俺のお金でとれたんだ。菅義偉官房長官(当時)から話があって、『アフリカ人を買収しなければいけない。4億から5億円の工作資金が必要だ。何とか用意してくれないか。これだけのお金が用意できるのは会長しかいない』と頼まれた。でも、いくら何でも額が大きすぎる。そんな大きな裏金をつくって渡せるようなご時世じゃないよ。菅長官は『嘉納治五郎財団というのがある。そこに振り込んでいただければ、会長にはご迷惑はかからない。この財団はブラックボックスになっているから足はつきません。国税も絶対大丈夫です』と。それで俺は動くことにした。自分だけで5億用意するのは難しいから、知り合いの社長にお願いして、俺が3億から4億、知り合いの社長が1億円用意して財団に入れた。菅長官は『これでアフリカ票をもってこられます』と喜んでいたよ。こんなことができるのは俺だけだ。俺のオリンピックなんだ」と。

 これは参加者でなく、この料亭にいた仲居さん4,5人も聞いている。みんな楽しそうに聞いていましたよ、とある。仰天ものである。

 さらに週刊新潮は決算報告書も入手していて、これを裏付けている。財団としては珍しく「補正予算案」を組んでいて、平成25年(2013年)度、当初は寄付金が5,000万円だったが、補正後に2億5,000万円になっている。

 こんなことも書いてある。嘉納財団の基本財産は300万円で、そのうち75万円を出資しているのは東京都だ。去年の2月13日、嘉納財団は東京都の小池都知事に対して奇妙な依頼をしている。東京都に出資から手を引いてくれというのだ。どうしてか。東京都が出資者として入っていると、東京都から情報が洩れる恐れがある。小池さんがこれを知ったらどうするか……。森さんもやばいと思ったんじゃないか。


 この財団のトップが森喜朗である。そして、誘致の裏金に暗躍したスガが総理大臣……。まったくあきれ返る。

 関連して、日刊ゲンダイとリテラの記事は以下。
森喜朗がトップ務めた財団活動終了の謎…“天敵”はこう見た|日刊ゲンダイDIGITAL
森会長が代表のトンネル財団「嘉納治五郎財団」がこっそり活動終了 数々の五輪疑惑をもみ消しか|LITERA/リテラ




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