ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

#安倍晋三の不起訴処分に抗議します

 これはちょっと強引なたとえ話である。
 ある学校でサッカー部の生徒Aが生徒会の会長になった。サッカー部が春にホテルの一室を借りて(!)新入部員の歓迎会を開いたが、その費用に生徒会費を流用していた疑惑が持ち上がり、そのことを生徒総会や評議会で繰り返し質された生徒会長のAは、歓迎会は会費を集めて適正に開催されたと言い続けた。会計帳簿や領収書を見せてほしいと迫られると、Aはもう廃棄したと答えた。会場のホテル側に確認するよう求められると、「自分の言うことが信用できないのか」と開き直った。しかし、しばらくして、歓迎行事の飲食を提供したホテル側の領収書の控えが出てきて、集めた会費と歓迎会の費用総額のあいだに大きな開きがあることがわかった。Aは、自分はまったく知らなかった、会計が自分に内緒で勝手にやったことだと答えた。一般生徒の中からこの件の調査とAらの処分を求める署名が上がり、要望書が校長に手渡された。学校はAらから事情を聴き、臨時職員会議が開かれた。その結果、会長のAは口頭注意、会計は厳重注意となった。生徒の間には不信感が広がった。生徒会長の親が〇〇〇なので、学校側はAの処分に及び腰になったというのがもっぱらの噂だ。

 まあ現実には、こんな「権限」をもつ生徒会長はいないし、こんな学校はあり得ない。しかし、これが国だと、ありうるどころか、現実そのものなのである。

 元検事の郷原信郎さんが昨日12月23日付のブログでこの問題を次のように解説している。長く引用させていただく。


安倍氏公設秘書は、虚偽説明をして首相に「虚偽答弁」をさせた「大罪」を負うのか? | 郷原信郎が斬る

 ………安倍氏が、国会で数限りなく吐き続けてきた「虚言」は、誰が考えてもウソだとわかる、子供じみたものだ。被疑者の取調べにおいて、安倍氏が、「費用の補填は知らなかった」などと弁解をしても、その不合理性、矛盾点を衝く「追及」を行って、「嘘」であることを認めさせることは、まともな特捜検事であれば、「いともたやすいこと」のように思える。
<中略>
 前首相だから、不合理な弁解に対しても、最初から追及すらしないという「大甘な」取扱いをしたとすれば、国民は到底納得しないであろう。
 いずれにせよ、この「桜を見る会」前夜祭問題についての検察の捜査が終結し、刑事処分が決着すれば、安倍氏は、これまで、国会で「虚偽答弁」を重ねてきたことについて、国会で説明を行うことになる。
 自民党内には、それを「非公開での安倍氏からの一方的な説明」で終わらせようとする動きがあるようだが、全く論外だ。国会の公開の場で、野党の質問に対して堂々と虚偽答弁をしていたのであるから、同様に、国会の公開の場で、野党の質問に対して、虚偽答弁についての弁明を行うのが当然だ。
 しかし、安倍氏の説明が、たちどころに破綻することは必至だ。
 もし、安倍氏が、費用補填を知らなかったとすると、実際には費用補填をしていたのに、安倍氏に対しては費用補填していないとの虚偽説明が行われていたことになる。それを、公設第一秘書が独断で行ったというのだろうか。
 もし、そうだとすれば、毎年、「桜を見る会」の前夜祭で費用を補填していたのに、政治資金収支報告書に記載しないという「犯罪」を独断で行っていた秘書が、それについて安倍氏から説明を求められ、自己の犯罪発覚を免れるために虚偽説明をし、総理大臣に国会で数えきれない程の回数の虚偽答弁をさせたことになる。国会議員の公設秘書としてあるまじき行いをした大悪人であり、「憲政史上、最低・最悪の公設秘書」だったことになる。
 そうであれば、その秘書を、国会で証人喚問、最低でも、参考人招致をして、なぜ、そのような、総理大臣に虚偽答弁させるという、秘書にあるまじき行為に及んだのかを説明させるのが当然だ(一般的には、議員秘書には直接説明を求めないというのがルールのようだが、それは、秘書が議員の指示に忠実に従うことが前提であり、独断で総理大臣に虚偽説明をして国会で虚偽答弁をさせた秘書の場合には、そのようなルールは適用されない)。
 もちろん、虚偽説明をされたことを知った、「被害者」の安倍氏は、総理大臣としての重大な汚点となる虚偽答弁をさせた秘書に対して、「激怒」するのが当然だ。厳正な対応をすることになるはずだ。

<中略>
 しかし、以上のことは、すべて「公設秘書が独断で安倍氏に虚偽説明をして国会で虚偽答弁させた」ということが前提だ。
 問題は、果たして、その前提自体が正しいのかどうかだ。
 そういう前提であれば、そもそも、公設秘書の処分も、略式起訴・罰金で済まされるはずはない。前夜祭の費用補填を独断で行い、それについて収支報告書不記載の罪を犯し、費用補填について安倍氏から質問されても虚偽説明をして安倍首相に国会で虚偽答弁させ、その後に、今年春に、安倍晋三後援会の収支報告書を提出に当たって、独断で、重ねて不記載の報告書を、安倍氏に無断で提出したということであり、犯罪の情状として最悪である。犯罪の隠蔽のために重ねて不記載罪を犯したのであれば、その総額が3000万円程度であっても、罰金刑で済まされるわけがない。
 逆に言えば、もし、略式起訴で罰金刑で済まされるのであれば、検察も、収支報告書の不記載罪は、秘書の独断の「単独犯」ではないと判断していると見ることもできる。
 私は、……「桜を見る会」問題に関して、違法行為を否定する説明が「詰んでいる」として、安倍首相が「説明不能」の状況に陥っていることを指摘した。それ以降、安倍首相は、「詰み」に「詰み」に、「詰み」を重ねてきた。検察を巻き込み、公設秘書を「大悪人」に仕立て上げ、さらに嘘を重ねるのであろうか。


 小生もむかし学校で働いていた頃、生徒の様々なウソに接してきたが、矛盾点を突かれて「崩壊」するウソが大半だった。しかし、矛盾や不合理があろうが、中にはどうしてもウソをつき通そうとする生徒もいた。こういう生徒とは時間をかけて向き合っていくしかないのだが、しんどい思いをしたことも少なくなかった。
 今回のウソがこのまま通るとなると、ウソはつき通した方がいいというメッセージを社会に発することになり、その影響は計り知れない。会社も官庁もそうだし、学校でこれを真に受ける生徒が増えたら……。さらに、各家庭もどうなるか。
 検察には自身の権限の重さとその影響力を想像してほしい。




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