ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

五輪スポンサー企業の悩み

 9月7日にIOCのジョン・コーツ副会長が、新型コロナのパンデミック(世界的流行)にかかわらず、東京五輪は来夏に開催されるだろうと語ったという。これは、無観客でも何でも開催を強行して放映権料を確保するということかと思っていたところ、今度は、12月末のスポンサー期限を前に、延長にともなうスポンサー料の追加拠出を求められた協賛企業が難色を示しているという報せを知り、むしろ、こちらが先だったかと思いなおした。「来年開催する」という前提なしに「追加のスポンサー料を払え」とは言えない。どちらにしても、「金の話」であることに変わりはない。肝心の選手のことを少しは考えろと言いたい。

 以下、ロイターの9月8日付配信記事「アングル:近づく東京五輪スポンサー期限、契約延長に慎重な声」より。

アングル:近づく東京五輪スポンサー期限、契約延長に慎重な声 | ロイター

【東京 8日 ロイター】
 1年延期された東京五輪パラリンピック大会に対し、複数のスポンサー企業が契約延長と協賛金の追加支出に慎重な姿勢を示している。新型コロナウィルスの影響で業績が落ち込んでいる上、簡素化される大会では計画どおりの宣伝・収益効果が見込みにくいと見ているためだ。一方で、企業間の足並みを乱したくないとの思いもあり、ジレンマに直面している。
東京五輪を巡っては、過去最高の31億ドル(3,300億円)のスポンサー収入が集まった。しかし、関係者によると1年延長で数千億円規模の追加費用が発生すると試算されており、大会組織員会(組織委)がスポンサー企業に契約延長と協賛金の追加拠出を要請している。
あるスポンサー企業の関係者は「延期が決まった時点で収支計画が狂ってしまった。これ以上は払いたくないという会社が多い」と打ち明ける。
スポンサー各社は、東京五輪マーケティングの好機と位置づけてきた。協賛すれば、大会のエンブレムを広告に使用できるほか、スタッフ派遣、交通・通信インフラ、商品の提供など大会運営に関連したビジネスを優先的に受注できる。
契約期間は今年12月末まで。組織委が各社と個別に交渉しているが、多くの企業が新型コロナの影響で打撃を受けており、難航しそうだ。前出と別の関係者は「コロナ禍を乗り切るために全社的にコスト削減を断行しており、五輪延期のための追加費用を負担する余力はない」と話す。
国際オリンピック委員会(IOC)と組織委が、新型コロナ対策とコスト削減の観点から、大会運営を簡素化する方針を示していることも、スポンサー企業の判断に影響している。
企業関係者からは「想定していたような大会の盛り上がりは望めない」、「開催しても観客や参加者が減ってしまえば、一部のスポンサーにはメリットがあるかもしれないが、その他のスポンサーにとっては厳しいだろう」との声が聞かれる。
その一方で、「他のスポンサーが契約を延長するのに、うちだけが延長しないとなると、それも足並みを乱すことになる。追加出費せずに契約延長できる方法はないか探っている」と話す企業関係者もいる。
組織委はロイターの取材に対し、交渉に際して「新型コロナウィルスが一定の影響を与えていることは確かだが、今後も理解と協力を得られるよう、あらゆる努力を続ける」とコメントした。

<以下略> 

 なお、スポンサー企業には分類(ランク付け?)があるようなので、以下補足。

1)ワールドワイドパートナー国際オリンピック委員会IOC)と契約。TOPパートナーと呼ばれる。10年契約で1社あたりの契約額は、1年で平均約26億円、トヨタの契約は10年で2000億円と言われている。

 <企業名>:コカ・コーラ、アリババ、アトス、ブリヂストンダウ・ケミカル、GE、インテル、オメガ、パナソニックP&Gサムスン電子トヨタ自動車、VISA

2)ゴールドパートナー日本オリンピック委員会JOC)と契約。オフィシャルパートナーより契約料が高いが、特典も多い。企業宣伝にJOCのシンボルアスリートを使用でき、JOCホームページに企業ロゴを掲載できる。最長6年契約で、1社あたりの契約額は150億円以上と言われている。

<企業名>:アサヒビール、アシックス、キャノン、ENEOS東京海上日動火災保険日本生命保険NEC、NTT、野村、富士通、みずほフィナンシャル、三井住友フィナンシャル、三井不動産、明治、LIXIL

3)オフィシャルパートナー日本オリンピック委員会JOC)と契約。最長6年契約で、1社あたりの契約額は60億円以上と言われている。

<企業名>:味の素、アース製薬、EF、エアウィーヴキッコーマン近畿日本ツーリストクラブツーリズムJTB、シスコ、セコム、ANA、ALSOK、大日本印刷大和ハウス工業東京ガス東京メトロTOTO東武トップツアーズ凸版印刷成田国際空港日清食品日本郵便日本空港ビルデングJALJR東日本久光製薬三菱電機、ヤマト、リクルート、読売新聞、朝日新聞日経新聞毎日新聞

4)オフィシャルサポーター日本オリンピック委員会JOC)と契約。最長6年契約で、1社につき、10~30億円と言われている。

<企業名>:AOKI、Aggreko、ECCKADOKAWAGoogleコクヨ清水建設、TANAKA、乃村工藝社、パーク24、パソナ丸大食品モリサワ、ヤフー、産経新聞北海道新聞




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