ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

赤木さんの意見陳述 2

 森友事件にかかわる財務省の公文書改ざんに加担させられて亡くなった赤木俊夫さんの妻・雅子さんが、赤木さんの公務災害認定に関する情報の開示を求めた裁判が今日18日、大阪地裁で始まった。赤木雅子さんは次のように意見陳述した。朝日新聞デジタルの記事より引用する。

開示たった10枚、なぜなのか 赤木雅子さん陳述全文:朝日新聞デジタル

 私の夫、赤木俊夫は公文書である決裁文書を改ざんしたことを悔やみ、自ら人生の終止符を打ちました。2018年3月7日のことです。
 夫の死後、私は夫の手帳に「国家公務員倫理カード」が入っているのを見つけました。このカードには、「国民全体の奉仕者であることを自覚し、公正に職務を執行していますか?」、「国民の疑惑や不信を招くような行為をしていませんか?」などと書かれていました。カードはすり切れていました。夫は改ざんを指示された時も、改ざんをした後も、きっと何度もこのカードを見ていたのだと思います。
 また、夫は「私の雇い主は日本国民。国民のために仕事ができる国家公務員に誇りを持っています」と生前知人に話していたほど、国家公務員の仕事に誇りを持っていました。
 夫は真面目に、そして誠実に国家公務員として働こうとしていたのです。
 このような夫が決裁文書の改ざんによって受けた心の痛みや苦しみはどれだけのものだったでしょうか。
 夫は改ざんをすることは犯罪だと言っていましたし、国家公務員としてやってはいけないことをやってしまいとても悔やんでいました。
 夫の最期の顔は孤独と絶望に満ち溢れていました。決裁文書の改ざんはここまで夫を追い詰めたのです。

 私は、夫が財務省に殺されたと考え、平成30年4月24日に公務上災害の認定請求を行い、平成31年2月7日に公務災害だと認定されました。
 夫の自死が公務災害なら、具体的にどのような理由で公務災害になったのか知りたいと考え、私は令和元年9月11日に人事院に対して情報開示請求を行いました。
 しかし、開示された70枚ほどの文書は殆どが黒塗りでした。
 私は、黒塗りの文書を見て、驚き、腹が立ち、そして悲しくなりました。
 弁護士さんによると、国家公務員災害の遺族が情報開示請求をした場合でも、ここまで黒塗りになることは見たことがないそうです。
 なぜ、夫の場合は殆ど黒塗りなのでしょうか。国は、どうして夫の自死の原因をここまで隠そうとするのでしょうか。私には全く分かりません。

 私は、令和2年4月13日、近畿財務局長に対して、夫の公務災害を認定するため近畿財務局長が保有する一切の文書について、個人情報開示請求を行いました。
 すると、近畿財務局長は、令和2年5月13日、「新型コロナウイルスによる緊急事態宣言に伴う処理可能作業量の減少、業務多忙、及び対象文書が著しく大量で審査等に時間を要するため」という理由で、令和2年6月15日までに可能な部分について開示決定等を行い、残りの部分については令和3年5月14日まで開示決定の期限を延長するという通知を送ってきました。
 私はこの通知を見たとき、とても腹が立ちました。新しく文書を作成するなら1年間は仕方ないかもしれませんが、もともとある文書を出すだけなのに、どうして1年間もかかるのか、私には理解できません。
 また、たしかにコロナの問題はあると思います。しかし、近畿財務局には優秀な職員がたくさんいらっしゃると思います。なのに、どうして開示決定の期限が1年ものばされてしまうのでしょうか。近畿財務局は、この訴訟の中で、文書の量や開示を担当する職員の数を示した上で、どうして1年も期限を延長しなければならないのか、明らかにすべきだと思います。
 そして、近畿財務局長が令和2年6月10日に開示したのは、「公務災害に係る遺族補償年金等の支払いについて」というたった10枚の文書でした。これらの10枚の文書は、私に送られてきたものが含まれていますし、年金がいついくら払われたかということも私は当然知っています。
 私はこの10枚の文書を見たとき、とても残念な気持ちになりました。
 人事院ですら殆ど黒塗りといえども70枚の文書を開示したのに、近畿財務局はなぜたった10枚なのでしょうか。また、私が夫の自死の原因や経緯を知るために情報開示をしているのに、近畿財務局はなぜ支払いに関する文書を開示するのでしょうか。
 近畿財務局は、私が夫の自死の原因や経緯を知りたいという気持ちから逃げていると思いますし、子供だましのように問題の核心から逃げていると感じました。

 
 最後に、裁判官の方々にお伝えしたいことがあります。
 私の夫は決裁文書という公文書を改ざんしたことに苦しんで亡くなりました。
 そして、今、私は、自死遺族という立場にいるのに夫の自死の原因や経緯を記した公文書が開示されないことで苦しんでいます。
 夫婦で公文書のことで苦しんでいるのです。
 私の望みは、夫の自死の原因や経緯を知ることです。夫の身に何があったかを事実を知りたいだけなのです。この私の望みを是非叶えて下さい。夫のことを知ることができないという苦しみから解放して下さい。
 宜しくお願いいたします。


 国会を開かないことと開示文書の黒塗り……は、同じ本質に根ざす2つの現象だと思う。そして、その核心には同じ人物がいる。




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