ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

国が何億かけても隠蔽したい事実

 図書館に本を返しに行ったついでに本棚を眺めていて、野上忠興著『安倍晋三 沈黙の仮面 その血脈と生い立ちの秘密』(小学館 2015年)が目に留まった。今さらと思いながら、数ページめくって読んでみた。同情など一切する気はなかったが、読んでいて「気の毒」に思う一面もないではなかった。話を現在のシンゾー氏の姿から幼少期に遡及させたり、生育環境と直結させるのが短絡的なのはわかっている。しかし、もし、祖父・安倍寛氏、父・晋太郎氏の選挙区が山口でなく東京であったら…とか、もし、岸家との縁がなかったら…とか、何よりも、もし、シンゾー氏自身が幼少期にウソをついて失敗したことを身にしみる場面があれば…とか、もしそうなら、今日までに起こらなかったこと、起こりえなかったことがあったのではないか。そして、もし、シンゾー氏が自分の子どもや生徒だったら、自分はどうしたかと想像しないわけにはいかなかった。

  新恭(あらたきょう)さんが本日12月24日付『国家権力&メディア一刀両断』で、森友・文書改竄事件で亡くなった赤木さんの妻・雅子さんが起こした裁判で、国側が一転「認諾」という手続きで幕引きをはかった件を取り上げている。部分引用を許されたい。

「安倍隠し」に血税1億。森友裁判“認諾”に怒らぬ日本国民の腑抜けぶり - まぐまぐニュース!

国家賠償の「認諾」で隠し通そうとする文書改ざんの秘密は何か
ここまでして、政府は何を隠したいのだろうか。森友学園問題で自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫氏の妻、雅子さんが国に対し1億700万円の賠償を求めた裁判は意外な結末を迎えた。
請求の棄却を求めていた国が一転して賠償責任を認め「認諾」したのである。つまり、国民の血税で1億700万円払いますので、裁判は終わりにしましようというわけだ。
だが、赤木雅子さんはカネが欲しくて訴えたのではない。森友事件にかかわる財務省の決裁文書改ざんをめぐって、なぜ夫の俊夫氏が自殺に追い込まれたのか。「その原因と経緯を明らかにする」(訴状より)のが第一の目的だった。
この事件で当時の佐川宣寿財務省理財局長ら10人が告発されたが、不起訴になり、雅子さんが夫の死の真相を知るための手段は民事訴訟しかなくなっていた。これまで1年9か月にわたって争われ、来年2月9日に次回公判が予定されていたが、今月15日に公判の論点整理のため非公開で行われた協議の場で、国側がいきなり態度を変えたのである。
赤木さん側は「認諾」を恐れ、あえて1億円を超える賠償額を設定したのだが、国側は全額を払ってでも裁判をシャットダウンする方策を選んだ。来年2月9日の公判以降は、佐川元局長らの証人尋問が予想されていた。証人たちの口を封じるのが目的としか考えられない。

<中略>
国は2018年6月4日、「決裁文書改ざん調査報告書」なる財務省の内部調査結果を公表。今年6月には、赤木俊夫さんが改ざんの経緯をまとめて職場に残した「赤木ファイル」を開示した。
これらの資料で、概ね以下のような事実が明らかになっている。
17年2月17日の衆議院予算委員会で当時の安倍首相が「妻と私が関係していたら議員も総理もやめる」と発言したあと、近畿財務局と森友学園との交渉記録などを野党に求められた佐川局長は「記録は一切残っていない」と答弁した。
しかし、総理夫人の名が記された文書が存在することが判明し、佐川局長は「記載のある文書を外に出すべきではなく、最低限の記載とすべきである」と省内で語った。具体的な指示はなかったものの、それを聞いた総務課長らは決裁文書の書き換えが必要だと認識した。
本省から改ざんを指示する最初のメールが平成29年2月26日に送信された。「削除した方がよいと思われる箇所がある」とし、総理夫人すなわち昭恵氏や政治家の名前などに印がつけられた元の文書が添付されていた。メールは、何度もやりとりされ、本省は細かく指示を繰り返した。
赤木さんは「すでに意思決定した文書を修正することに疑問が残る」と抗議したが、本省は「局長から現在の国会答弁を踏まえた上で、作成するよう直接指示があった」「改めて修正後、局長への説明を行う」と、局長の指示ゆえ有無を言わさないという態度のメールを送りつけてきた。
当時の佐川局長が理財局内において、首相や自分の国会答弁と食い違わないような文書にすべきだという趣旨の発言をし、それを受けて理財局の幹部らが近畿財務局に改ざんを指示した。そして、赤木さんの抗議に対しては「局長の直接指示だ」と言って押さえ込んだ。そこまでは、はっきりしている。
しかし、佐川氏の対応は、単に安倍首相への忖度によるものか、それとも官邸から働きかけがあったのかなど、具体的な経緯がはっきりしない。総理の不用意な発言をカバーして歓心を買い、出世に役立てようという気が佐川氏にあったとしても、自発的に違法行為を部下に促すほどのことなのだろうか。
聞くところによると、安倍氏の「関係していたら議員も総理もやめる」発言から数日後、佐川氏ら理財局幹部が官邸に呼ばれ、善後策を話し合ったそうである。もちろんこの時、昭恵夫人の関与を示す文書が存在することは判明していた。
文書が世に出れば、首相は辞めなくてはならなくなる。首相側近が佐川氏にどんなことを言い、佐川氏がそれをどう受け止めたのか。もし、文書改ざんを求められたとしたら、首相からの指図があったのかどうか。
そうした経緯を明瞭にし、真の首謀者を白日のもとに晒すことこそ、赤木雅子さんが起こした訴訟の目的であろう。
赤木雅子さん側は訴訟で、佐川氏のほか、改ざんに関与したとされる当時の理財局総務課長、国有財産審理室長、近畿財務局幹部らに証人請求する方針だった。
政府はその願いを「認諾」によって断ち切った。つまるところ、秘密を守り抜きたいからに違いない。法廷で嘘をつけば偽証罪に問われる。証人が不都合な事実を隠し通せるかどうかは疑問だ。

森友学園事件は、教育勅語を子供たちに暗唱させる大阪の学園に総理夫妻が惚れ込んだのが、そもそもの始まりだ。総理夫人は2年間で三度にもわたる講演を学園で行ない、15年9月に学園が新設を予定していた小学校の名誉校長に就任した。最初の講演は夫の代理だった。その後の夫人の関与についても、夫である総理は承知していたはずだ。
改ざんされた決裁文書から削除された以下の記述が、総理夫人の積極的関与を物語っている。
平成26年4月28日 (森友学園との)打ち合わせの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との発言あり。
こうした事実を消し去るため、近畿財務局の生真面目な一職員に公文書改ざんという重大な違法行為が押しつけられ、職員は煩悶のすえ自殺するまでに追い込まれた。
官僚組織が最高権力者を守るために隠ぺい工作をし、裁判でそれがバレそうになるや、「認諾」という最終兵器を用いて真相解明の手立てを粉砕する。そしてその最高権力者はまるで他人事のように振る舞い、いまも最大派閥のトップとして、政官界を牛耳ろうとしている。この国は民主主義国家なのだろうか。

<以下略>

 きっこさんも12月23日付のメルマガでこう書いている。

国民をダマした安倍晋三元首相「イカサマGDP」の大嘘とカラクリ - まぐまぐニュース!

……2012年12月から8年近くも続いた安倍政権下では、モリカケからサクラに至るまで、どう見ても官邸主導としか思えない数々の不正が行なわれて来ました。そして、どの不正も発覚すると、すべての責任を各省庁の官僚になすりつけ、主犯の安倍晋三は逃げ続けました。
先週も、森友学園の公文書改竄を強要されて自殺に追い込まれた赤木俊夫さんの妻、雅子さんが「真実を知るため」に起こした民事訴訟に対して、「認諾(にんだく)」という卑劣な手口を使い、国民の税金を1億円も使い、真相解明の道を閉ざしたのです。ようするに、カネの力で相手を黙らせたわけですが、それが国民の税金なのですから、二重にシャレになりません。

そもそも、森友学園の公文書改竄の問題はすべてがウヤムヤで、官邸側からの指示などなく財務省側が「忖度(そんたく)」して勝手に行なったことにされたままなのです。普通に考えて、上からの命令に従って真面目に働いていれば自動的に出世でき、ボーナスも退職金もたっぷり貰える上に、天下り先まで用意してもらえるエリート官僚が、発覚したら自分の人生を棒に振ることになるような犯罪に手を染めるわけがありません。
百歩ゆずって、業務上横領などの自分が利する犯罪なら、つい出来心で…ということもあるかもしれません。しかし、安倍昭恵が名誉校長をつとめる小学校のために、10億円以上の国有地をタダ同然で払い下げられるように公文書を改竄しても、その人には何の利もありません。自分に何の利もないのに、こんな危険をおかすバカなどいません。上からの命令でもなければ、こんなことは誰もしないでしょう。……

 はっきりしたことは、国は(自分の金でもない)税金を1億円払っても事実の隠蔽を優先させるということだ。おそらく、10億でも、100億でも、1兆円でも、国民の総意でNOを突きつけないかぎり(政権交代でもおこらないかぎり?)、惜しみなくいくらでも注ぎこむだろう。
 「自分の子どもではないから…」「自分には関係ないから…」――そんな意識の積み重なりが、こうした腐敗と悲劇を招いたと思えてならない。
 この件は何度でも取り上げる。




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