ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

守り抜く 雇用じゃなくて 自分かよ

 「雇止め」:有期労働契約者(契約社員派遣社員、パートタイマーなど)が合理的な理由なく契約更新を拒否されること。本来は、有期の労働契約の更新をしないことで,期間満了を以って契約を終了させることをいうようだが、現状では、期間の有無にかかわらず使用者側からコロナ禍を理由に労働契約(雇用)の中途解除を告げられることをさしている。
 
 厚生労働省は7月10日時点で現在のコロナ禍に関連する解雇や雇い止め(見込みを含む)は35,001人となったと発表した。前の週より2,653人増加。そのうち、パートやアルバイトなどの非正規労働者が1,198人(45%)を占める。しかし、この数は労働局などが把握できた人数に限られるため、実際の数はこれより多いとみられる。
 業種別で見ると、最多は宿泊業で、前週よりも297人増の6,263人(17.9%)。製造業が843人増の6,115人(17.5%)、飲食業が106人増の4,514人(12.9%)となっている。
 (7月14日付 東京新聞など)

 ひと月前までの推移を示したグラフが下である(出所:6月10日付東京新聞)。この1カ月で14,000人以上! この増え方……驚きの数字である。


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 「雇用を守り抜く」と言明している総理大臣は「自分を守り抜く」ことに執心して、国会を閉じたままにしている。閉会中審査なるものにも姿を見せない。
 もっと真に“責任”感のある人と替われないものか。

 最後に、澤藤統一郎さんのブログ「憲法日記」で紹介されている、7月14日付朝日新聞の記事「経世彩民 高橋末菜の目」を、孫引きになるが、以下に引用させていただく。
 
澤藤統一郎の憲法日記 » 2020 » 7月

コロナ失業する非正規の女性「同じ人間とも思われない」
9日、雨が続く夜の銀座で傘を差し、その女性(40代)は拡声機のマイクを握って声を上げた。「雇用調整助成金を活用して派遣社員の雇用を守ってください」「雇い止めを撤回してください」
1人から加盟できる労働組合「総合サポートユニオン」の仲間たち十数人も一緒だ。
目の前のオフィスビルには、女性が登録していた派遣会社が入っている。この日初めてあった同社との団体交渉で、会社側が「ゼロ回答」だったとして抗議に来ていた。
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した3月下旬。派遣先は、社員を在宅勤務に一斉に切り替えた。一方、派遣社員には「出社がいやなら有給休暇を」と告げた。感染は怖かったが、仕方なく出社を続けた。
感染リスクを減らそうと、4月下旬に有休を3日間とった。その直後、派遣先から労働者派遣契約を中途解除され、派遣会社から6月末での雇い止めを告げられた。理由を聞くと、派遣先のコロナによる売り上げ減少と、「在宅勤務を希望したから」。コロナでわかったことがある、と女性は言う。「派遣社員は、社員と同じ人間だと思われてもない」
「ある日突然、コマのように放置」
千葉県内のシングルマザーの女性(40代)は、葬儀場などで食事を提供する仕出し会社で14年間働いてきた。従業員約60人のうち50人超がパートの女性で、盛りつけや配送、配膳、接客までこなしていた。
コロナで会社は4月末から休業。経営が厳しくなり、「事業継続は厳しいかもしれない」と説明した。正社員の男性数人は、グループ内のほかの会社で仕事を続ける選択肢を示された。だがパートの女性たちは休業手当の支給もなく有休を取るしかなかった。
「なのはなユニオン」に相談し、25人で労組を立ち上げた。女性は取材に対して、「この職場で10年以上働くパートの女性が多く、私たちが切り盛りしてきた。それなのにある日突然、コマのように放置されたり、切られたりする。情けないし、悔しい」と憤った。
新型コロナは、サービス業を中心に非正規の女性たちが多く支える産業を直撃した。
5月の労働力調査では、正社員は前年同月に比べて1万人減だったのに対し、非正規労働者は約61万人減。このうち8割近い約47万人が女性だ。「宿泊業・飲食サービス業」、「生活関連サービス業・娯楽業」は特に大きく就業者が減ったが、減った人のそれぞれ7割や8割が女性だった。
「声を上げれば会社は好き放題できない」
仕出し会社で働いていた女性に今月上旬、電話で近況を聞いた。会社は7月末で閉鎖すると伝えてきたという。組合側はそれまでの間、5月分まで遡及(そきゅう)して平均賃金の10割にあたる休業手当の支給を求め、会社も応じた。有休は労働者側が買い取る形となった。「会社側からここまで引き出せたのは労組を結成したから。みんなで声を上げれば会社は好き放題できないとわかった。今後の仕事にも生かせる経験です」
冒頭の派遣社員の女性は、「私の意見なんて、だれも聞いてくれると思っていなかった」。銀座でシュプレヒコールをあげた夜、「堂々としていて、立派だったよ」と仲間に言われ、はにかんだ。もう黙らない。女性はそう決めている。



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