ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

総理は電通の幹部と会食したことがありますか?

 しつこく6月12日の参議院予算委員会質疑のつづき。
 参議院山添拓議員の質問を絶賛する声が上がっている。確かに、12日の参議院予算委員会で、例の「前田ハウス」こと前田・中小企業庁長官を問い詰めていく様はスマートで、見ていて爽快だった。山添議員の質問を「法廷の尋問」のようだと形容する人もいるが、もともとが弁護士だからこの詰め方は当然なのだろう。質問が短く小気味よいが一本調子なところを感じないでもない。そのうちリズムを変えて相手の気を抜く(逸らす)技巧も見せてくれるだろうか(質問時間が短くてそこまでやってられないだろうが)。楽しみである。まだ1期目とは思えない稀有な才能を「政治屋」どもに妨害・疎外されないよう応援していきたい。

 さて、その山添議員は同じ日の予算委員会でアベ首相にも質問を向けている。電通との関係をきかれたアベ氏、これに意外なほどの動揺を見せて、不自然な弁解をしたのだ。以下にその場面を起こしてみる(44分15秒あたりから)。

https://www.youtube.com/watch?v=KhDdD6dbTMk

山添:……安倍首相の妻の昭恵氏は……かつて電通の社員でした。総理は電通の幹部と会食や懇談をされたことはあるんですか?
アベ:あの……電通のですね、えー、方と、いわば、あの、特別に何回もこの会食をしているという方はおりませんけれども、えー、あの、この、政治……、この今までの人生の中でですね、えー、その会ったことがあるかと、いろんな方と会ったことがあるかないかと今言われても、それはお答えのしようがないんですが、あの今までですね、たとえばCMを、党のCMを撮る際にはですね、えー、この現場にたくさんの電通の方々来られていますから、お目にかかることもあります。そうしたことはあったんだろうと。これは電通ほどの会社になればですね、これは与野党問わずたくさん電通の方と知り合いがいるという人はたくさんおられるのではないかと、こう思います。
山添:「幹部の方と……」というのをうかがったんですけどね。

 山添議員のアベ氏への質問は単なる事実の確認で、電通自民党への政治献金に関する質問の前ぶりである。ところが、応答する側のアベ氏は、このときかつて会食したことのある電通関係者の顔や名前が(何人か)思い浮かんだと思うが、「特別に何度も会食をするような電通の関係者はいない」と答えた。つまり何度もしてないが、会食したことは認めたのである。別にそれで終わりでよかったはずだが、続けて「長い人生の間に会った電通関係者がいるかどうか」という聞かれてもいない途方もない話に拡大し、あげくに「自分の他にも電通に知り合いがいる人はたくさんいるはずだ」と、さらに「それは与野党問わず」などと言う必要もない弁解を加えたのである(自分や政権と電通の親近性を否定したかったのか?)。要するに、電通に知り合いはいるし、回数や人数は覚えていないが会食もしていると述べれば5秒で済んだ。
 これを文字に起こして見直してみても、何でこんなに神経質になって答弁をするのか不思議な感じがする。実際の動画を眺めると、質問者の山添議員の方を向いて答弁すればいいのに、やけに目線が定まっていないのがわかる(会場のざわつきに反応しているのか……)。例の“ごまかさなきゃ”モードに入ったときの目の動きとよく似たものが見て取れる。余計なことをいろいろ話したのは、電通との間に、叩くとホコリがたつようなことがある(実際にあったからまずいと思った)のかと邪推したくなる。



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