MAG2ニュースで新 恭(あらた きょう)さんの『国家権力&メディア一刀両断』という連載記事を読んでいる。だいたい週1くらいで更新されていて、最新記事(4月24日付)では、当初「減収世帯へ30万円給付」だった政府方針が「1人一律10万円給付」へ転換した背景=政界の裏話が解説されている。下に引用させていただく。
ここまで迷走のナゼ。安倍首相が現金給付案を二転三転させた理由 - まぐまぐニュース!
まず、給付のスピードについて。
「与野党を超えた国会議員、多くの国民が10万円の一律給付がいいと言っていたのに、なぜ安倍総理は結果的には間違った判断をされたんでしょうか。全員に給付すると届くまでに3か月くらい時間がかかってしまうということでしたが………」と質問された首相は、「(減収世帯への)30万円給付については手上げ方式なので早い、と説明を受けていましたので、これはスピード感が必要ということもあり、そういうご説明をさせていただきましたが、今回あらためて確認したところ、前回よりも相当短縮することが可能であるという話を総務省からいただいています」と釈明した。<一部改>
「一律」より「手上げ」の方が早いというのは、手続きを考えれば“逆”だろうと思うが、それにしても、短縮できるのなら、最初から「確認」、というか、「すぐやれ!」と言えばいいではないか。相変わらず「不作為」がウリの政権である。
より問題だと感じたのは、予算規模である。
現金一律給付案には、当初、安倍首相自身もその気だったといわれる。「一律20万円ならインパクトがあるな」などと周囲に語っていたそうだ。それなのになぜ「30万円」案に傾いたのか。
要するに、一律10万円を全国民に配るとカネがかかりすぎると財務省が反対し、“ご説明”で洗脳された財政再建派の族議員を取り込んで、もともと「一律給付」派だった岸田文雄自民党政調会長をも動かしたということであろう。「30万円」案なら対象世帯は全体の2割ほどで、4兆円ですむが、全国民に一律10万円だと、12兆円以上もかかってしまう。世間受けを気にする側近と財務省の意向との間で安倍首相に迷いが生まれたのであろう。<一部改>。*何せ財務省には森友のときの「借り」がある!
一律10万円は、10万円 × 人口約1億2千万 = 12兆円
で理解できる(現状ではこれで「終わり」ってわけにはいかないと思うが…)。
30万円の方は、30万円 × X 世帯 = 4兆円以下
となり、X=1,333万(世帯)となる。
全国の世帯数が、5,330万余(2014年)とすると、24%しか対象にならないことになる。しかも、これは計算上の数で、実際は手続き段階で相当減らされるはずだから、新さんが言う通り最初から対象2割、4兆円以下を見込んでいたと思われる。ちなみに厚労省の2年前の調査では年収200万円未満の世帯が全体の2割を占めていて、数字が奇妙に符合してしまう。これで「世界的に最大級」で「国民の命と生活を守り抜く」と恥かしげもなく言うのだから、開いた口が塞がらない、である。
人間、余裕があるときは多少の嘘や戯言は許せるが、切羽詰まると感情的になる。親しい人間の生命がかかってくればなおさらだ。怨恨、怨嗟でますますとげとげしい社会へと導かれていくのだろうか。どうにも不愉快である。