ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

アベノマスク疑惑4

 5月14日夕方、安倍首相は記者会見で39県で緊急事態宣言を解除する方針を発表した。いつもながらの“朗読の夕べ”に辟易しているので、記者会見をライブ中継しない地上波チャンネルにしたいのだが、あいにくETVは忍たま、テレ東もアニメ……。もう千葉テレビしかないなと思ったら、県内ニュースをやっていて、これは“渡りに船”だった。見ていたら、今日から千葉県内の一部でアベノマスクの配達が始まりました、と。郵便局員の配達シーンに続いて、街の声を拾ったインタビューへ。最初に出てきた若い方は、「コロナで混乱しているので、配達までに時間がかかるのはしかたがない」「マスクは貴重なのでありがたく使わせてもらう」と何とも殊勝なコメント。続いては、やや年長の女性二人。成田山新勝寺の参拝中か? 曰く、「……んな、今さらマスクなんかもらったってありがたくないわよ。遅すぎて、もう、無駄無駄。」と、笑いながらも、いたってストレートなご意見。

 さて、そのアベノマスクだが、4月1日に全世帯に配布すると発表してから、今日で1カ月半。最初に配達が始まったのが4月17日なので、それから1カ月。週刊朝日の取材によると、5月6日現在、配布されたのは560万枚・280万世帯で、全世帯の4.3%とのこと(5月15日現在、千葉県の田園地帯にあるうちにはまだ届いていない)。今やマスクは品薄どころか値崩れが始まり、他県では緊急事態も解除されたというのに、これからマスクを送るのかと冷めた声が多数だ。
 そのアベノマスクにかかわる疑問・疑惑が2つ浮上している。1つは、発注企業のユースビオについて。1週間も政府が名前を公表しなかった不自然さに加え、そもそもバイオマス発電の木製ペレットを輸入する従業員5名規模の会社が、マスクの製造や輸入には何の実績もないのに、どうして政府の随意契約で受託できたのかという疑念。そこには政府関係者と何らかの人的なパイプがあると考えるのがふつうだ。
 4月29日付で「レイバーネット」にこんな記事があった。黒鉄好「アベノマスクはやはり利権だった!~「疑惑の1社」驚愕の事実」。これによると、ユースビオの社長は消費税法違反(過少申告ほ脱)で3年前に仙台国税局から告発を受けていたらしい。何やら「桜を見る会」のときの“反社”の人々を連想してしまうが、“人的パイプ”について言えば、のちに復興大臣となった公明党の若松議員への寄付行為が取り上げられている。ただ、これは額的にどうなのか。むしろ、この「程度」の寄付をしたらあとで何億という事業を回してもらえるなら、我もという企業はいくらでもいるはずで、まだ表には出てこない“つながり”があるのでは、と勘繰りたくなる。詳しくは、以下を参照していただきたいが、国難にあっても、なおパイ(税金)の差配(利権のわりふり)に執着する政府の姿を、ここでもまざまざと見せつけられる。まさに「(全体でなく)一部の奉仕者!」である。

アベノマスクはやはり利権だった!〜「疑惑の1社」の驚愕の事実

 そして、税金の差配について言えば、ここにきて2つ目の疑問(疑惑?)が持ち上がっている。妊婦用に配ったマスクの1割にカビや異物の混入があったことを受け、厚労省は配布する全てのマスクの検品を専門業者に依頼したという(4月までは保健所に検品させるつもりだったが、無理なので5月からは不良品は国に返送するように指示し、業者に検品を委託した、と)。作業の内容は、550人態勢で目視検査をしたあと、水分の重量検査(カビが生えそうな水分を含んだマスクがないかどうかのチェック)などを行うのだそうだ。問題はその費用で、何と総額約8億円とのこと。
 社民党福島瑞穂参議院議員が昨日厚労委員会で質問していたが、これはより突っ込んだ質疑で“実態”を明らかにする必要がある。乱暴に計算すると、目視検査をする人一人当たりの人件費を100万円(!)で計算しても5億5千万円なのだから……この8億って何だ!である これも“火事場泥棒”の一環なのではなかろうか?

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