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日常と世相の記

「#検察に安倍首相に対する捜査を求めます」

 先日何となく「#検察に安倍首相に対する捜査を求めます」のツィートが12万を超えたなどと書いたが、なぜ「安倍首相に対する捜査」なのか? これにはしかるべき理由(疑惑)があることにふれてみたい。それは公職選挙法違反に問われている河井案里議員に拠出された選挙資金1億5千万円(通称「安倍マネー」)の出所である。そのことを改めて考えさせられる記事をいくつか読んだ。今年のものではないので、まだ河井陣営の選挙違反疑惑が発覚する前の話だが、以下3つほど引用させていただく。

 まず、2019年5月6日付『赤旗』の安倍内閣官房機密費についての解説。

安倍内閣使い放題の“ヤミ金”/官房機密費 67億円/6年間 「政策推進」名目 領収書必要なし

 安倍内閣が昨年(2018年)1年間に支出した内閣官房機密費(報償費)約12億円のうち、菅義偉官房長官の裁量で領収書無しの支出ができる「政策推進費」は11億円を超えている。第2次安倍内閣が発足してからの6年間でみると、この「官房機密費」は計74億円余り。この中で特に“つかみ金”の性格が強い「政策推進費」に、実に67億円(90%)が費やされていた。
 上脇博之神戸学院大学教授らは「官房機密費」の実態を明らかにするために10年余りも裁判を続けてきた。上脇氏によれば、「官房機密費」には以前から目的外支出の疑惑がかけられてきたが、財政法は国民の税金の目的外支出を許していない。官房機密費が、目的どおりに使われている保証はなく、過去に疑惑をもたれた以上、納税者の信頼が得られない公金は使うべきではない。しかし、安倍政権は、官房機密費の将来的な情報開示の道筋にも、政治家や公務員への支出禁止にも後ろ向きである。

<要約>

 次に、2019年5月13日付『リテラ』の記事。

安倍官邸が74億円もの官房機密費使用の異常! 領収書なしの“使途不明金”は安倍応援団の手にも?|LITERA/リテラ

 問題はこうした官房機密費が何に使われているのか、ということだ。建前では、官房機密費は「内閣官房の仕事を円滑に進めるため」に使用されるとされているが、実際は、内閣ではなく自民党の選挙資金として官房機密費が使われているとの証言が絶えない。
 その象徴的な例が、1998年の沖縄県知事選で多額の官房機密費が選挙資金として官邸から流れた、というものだ。
 この選挙は普天間基地の移転先が争点となり、「県外移設」を主張した現職だった大田昌秀氏と自民党推薦の稲嶺恵一氏が一騎打ちに。壮絶な選挙戦が繰り広げられた末、稲嶺氏が当選した。だが、2001年に自民党沖縄県連関係者が「官邸から知事選の資金が出たのは間違いない。私自身、選対の会議で報告を受けた。元は税金だからね。選挙に機密費を使ったなんて表に出たら大変なことになる」と証言(毎日新聞2001年3月7日付)。
 しかも、この疑惑は匿名の証言だけでは終わらなかった。1998年の沖縄県知事選の際、官房副長官として当時の野中広務官房長官を支えていた鈴木宗男氏が、2010年に「(稲嶺陣営に官房機密費で)3億円使ったと聞いている」と証言をおこなったのである。
 2000年には写真週刊誌の「FOCUS」(新潮社/休刊)が「極秘メモ流出!内閣官房機密費をもらった政治評論家の名前」と題し、田原総一朗竹村健一三宅久之俵孝太郎ら政治評論家に官房機密費から数百万円の金が渡っていると報道。これはあくまで「極秘メモ」でしかなかったが、そうした政治評論家への金の流れについても、官房長官経験者が口を開いたことがある。小渕内閣官房長官を務めた故・野中広務氏だ。
 野中氏は2010年にテレビ番組や講演で官房機密費について証言をおこない、「(政治)評論をしておられる方々に、盆暮れにお届けするというのが(引き継ぎ帳に)額までみんな書いてありました」と言及。「政治家から評論家になった人が、『家を新築したから3000万円、祝いをくれ』と小渕(恵三)総理に電話してきたこともあった」「持って行って断られたのは、田原総一朗さん1人」と語り、金を受け取った政治評論家に対してこう述べた。
「あんだけテレビで正義の先頭を切るようなことを言っている人が、こんなのを平気で受け取るのかなと思いましたね」
 ……三木武夫内閣で官房副長官経験があり、1989年に総理となった海部俊樹・元首相は、官房機密費について、こんな証言をおこなっている。
「何に使うかは、総理大臣の自由ですから、官房長官官房副長官を使いにして各所へ配ったり、あるいは党から『資金が底をついた』と言って取りにくることもありました。そんなときは、『帰りに官房長官のとこへ寄って出してもらっていけ』と伝えるわけです」(「文藝春秋」2011年3月号)

 最後に、2018年1月26日付、新恭さんの『国家権力&メディア一刀両断』 には次のようにある。

年間十数億円も。内閣官房機密費という裏ガネは誰に配られる? - ページ 3 / 4 - まぐまぐニュース!

 ………小渕政権で官房長官をつとめた野中広務氏は、官邸の金庫から毎月、首相に1,000万円、衆院国対委員長参院幹事長にそれぞれ500万円、首相経験者には盆暮れに100万円ずつ渡していたという。衆参の国対関係者に機密費を渡していたのは野党工作のためだろうが、首相経験者への高額な現ナマ贈答は、単なる分け前としか思えない。
 官房機密費について、「参院自民党天皇」と呼ばれた村上正邦氏や元共産党参院議員、筆坂秀世氏、それに国会職員、参院議員をつとめた平野貞夫氏の三人が『自民党はなぜ潰れないのか』という本のなかで、次のように話している。
村上「わしももらった、国対委員長のとき」
筆坂「それはそうでしょう」
村上「幹事長のときも持ってきたよ」
筆坂「やっぱり相当持って来ましたか」
村上「いや、それはそのときの官房長官によって違うね」
平野「それから与野党が激突するような案件があれば、やっぱりはね上がりますから
村上「野党対策だけじゃない、与党内の対策にも機密費を使っているそれと私物化ですよ。飲み食いの費用にも、あるいは派閥の子分にも渡っている。闇の中ですよ」

 平野貞夫氏は「与野党が激突するような案件であればはね上がる」と言っている。1998年の沖縄知事選挙のイメージだ。しかし、広島の参院選挙はどう見ても“与野党の激突”ではなかった。これに「官房機密費」があてられたとすれば、それは「公党の都合」でさえない、まさしく“私怨”に起因する“国家の私物化”ということになるだろう。


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