ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

焦って焦って補正予算

 ナフサの供給不安の折からインクを確保できないと判断した大手菓子メーカーのカルビーは、先週製品パッケージを白黒にすると発表しました。多くの国民にはナフサ不足の象徴的な出来事に映ったと思います。政府(副官房長官)はすぐに状況の「聞き取り」をすると言い出しましたが、出向くのではなく、呼びつけるというのが、何とも(ほんと、横柄です)。そこでどんなやりとりがあったのかは知る由もありませんが、今、政権が「危惧」したとおりの展開となって焦っているのではないでしょうか。

 高市首相は先週の参院決算委員会で「補正予算の編成が直ちに必要な状況とは考えていない」と答弁し、「現時点では不要」「予備費で対応」とのスタンスを崩しませんでしたが、ここに来てとうとう方針転換を迫られることになりました。この間、翻意を迫るような出来事として何があったのか。もちろん注目の米中首脳会談はありましたが、ほんとんど「無内容」でしたし、中東情勢の悪化で原油高に収束のメドが立たないと言ったって、急にメドが立たなくなった話ではありません。このままいけば、ガソリン補助金の予算は6月末には底を突くとはかねてから指摘されていたとおりで、これに国民のあいだで急速に認知が広がるナフサ不足が拍車をかけたというところでしょう。先週のブログで書きましたが「サナノポテチ」は無策の象徴、あるいは「序曲」というのは、案外、的外れではないのでは、と思います。
政府は補正予算編成を検討:ガソリン補助金の見直しや低所得者向け給付金も選択肢に | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)
https://jp.reuters.com/world/japan/E7CUJCFFGBNUBEUUZCJNU5LF5I-2026-05-18/

 高市政権に限らず、国民が政府に求めるのは普通の暮らし、安心して生活を送れるような政策的な支援でしょう。国旗損壊罪や憲法改定などが不評なのは、理念や思惑はともかく、経済的な苦境に陥っている人が多い状況下で、国民生活を後に回して優先的にやるべきことなのかという疑問や違和感が少なからずあるからです。それは政権側は百も承知でしょう。だからこそ、国民の生活不安を和らげるために「予備費」「補正予算」というかたちのバラマキを続ける(止めない)。でも、その結果、長期金利は30年ぶりの水準です。いくら市場介入したところで円安も止まらないでしょう。昨日は株価も下がってトリプル安でした。こんな一時しのぎで、「飴」をしゃぶらされていてよいものか。

 昨日付けの「Asagei plus」の記事は的を得た内容と思います。引用です。
ブレブレ高市経済政策「たった1週間で方針転換」ガソリン・LNG・電気・ナフサ「経済パニック」への道 | アサ芸プラス

 高市早苗首相は補正予算の編成を強く否定してきたが、いよいよ検討せざるをえない状況に追い込まれた。専門家の間では「舌の根も乾かないうちの方針転換、大丈夫か」と不安の声が日ごとに増している。
 高市首相は5月11日の参院決算委員会で補正予算案編成に関し「直ちに必要な状況とは考えていない」と強いトーンで述べていた。それからわずか1週間での方針転換に、与野党とも口あんぐりである。
……

……額は大規模ではないとはいえ、財源は赤字国債になる可能性が高いという。こうした措置に、流通業界関係者はこう訝るのだ。
「高市政権は現代産業に不可欠な石油化学製品の原料となるナフサについて『年を越えて継続できる量は確保』と自信たっぷり。ところがカルビーの包装パック白黒化をはじめ、どの業界も現場はナフサ不足にアップアップ。そして原油も従来量の7割確保と政府は豪語していますが、ナフサや今回の補正予算の朝令暮改ぶりを見ていると、高市政権が言っていることは、にわかに信じられなくなりつつあります」
 エコノミストが警告する。
「今の高市政権がやっているのは、補助金を国民にバラまいての一時しのぎであり、抜本的対策にはなっていません。日本が必要な原油、LNGの供給不足が、不安要素の元凶です。供給量が足りなければ、アジア各国がやっているように、国民にガソリン節約を呼びかけ、需要を減らすか、必要な供給を満たすしかない。ところが高市政権は、そのどちらもしない、できないで、赤字国債での補助金でごまかしている。最後にはどうにもならなくなり、経済パニックにつながりかねません」
 日本の長期金利は5月15日までに一時2.73%と上昇し、1997年以来の水準に達した。さらに高市政権が公約に掲げた食料品消費税ゼロへに至ってはレジ改修問題があり、先行きは全く見えない。そこに補正予算の迷走である。
 ブレブレの経済政策に、国民の高市政権への信頼は崩れつつあるのだ。

 先週の15日金曜に阿佐ヶ谷で1,500人(主催者発表)規模のデモがあり、反戦や憲法改定反対が訴えられたようです。誰でも1分間ステージに立ち、マイクで自分の思いを話せる「フリースピーチ」というのがあるのはいい趣向だと思います。記事には、30代男性の話が紹介されていましたが、切実だと思いました(下線  は引用者)。
「高市さんのやり方に」危機感募らせ...「戦争反対」「憲法改正反対」訴え 阿佐ヶ谷デモに1500人: J-CAST ニュース【全文表示】

 「父親が建設業を営んでいるのですが、中東情勢の悪化で原材料が高騰していて、このままでは建設資材が手に入らず、今後の見通しが立たないと話していました。仮に今、高市首相がイランと交渉して原材料価格が落ち着いても、もう手遅れになる可能性が高いと。それでも、何もしないよりは声を上げたいなと思いました」

 「飴」をしゃぶらせとけば、おとなしく寝ている――そんな人ばかりではないし、そんな状況でもないと思います。

<追記>
 今朝の毎日新聞の4コマ漫画は愉快でしたね。思うに、日本政府はOECD諸国の中でも突出してツケをしまくる国ですが、これは「常連客」ゆえの(つまり信用があるから許される)ツケではなく、「ツケ(ばかり)の常連」ですから、顛倒しています。「お店」にははなはだ迷惑な話です。
桜田です:第3844回 | 毎日新聞




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