再審制度の見直し法案について、自民党の合同会議で法務省側の「修正案」が了承されず、法案提出が大幅に遅れていると伝えられています。昨日は、再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを、「原則禁止」とする再修正案を法務省側が提示しましたが、これを法律の本体に当たる「本則」に入れるか、「付則」に記すべきかで折り合わず、結論はまたしても先送りされることになりました。以下は今朝の毎日新聞の記事からの引用です(下線 は引用者)。
再審制度:再審見直し 抗告「原則禁止」で最終調整 自民、本則記載「妥結点」 | 毎日新聞
法務省が“修正案”も…“了承持ち越し”再審制度見直しで『抗告』めぐり意見衝突
……法務省の再修正案では、法案の付則に「検察官抗告をしてはならない」と原則を明記。ただし「十分な理由がある場合はこの限りではない」と抗告できる余地を残した。……
……関係者によると、法務省は4月以降、本則記載を検討したものの困難との見方を強めていた。抗告は裁判所の保釈許可など通常の1、2審で出される決定にも及び、一方にだけ抗告権を禁じることは想定されていない。本則で抗告を原則禁止しようとすれば、刑事司法全体に影響する恐れがあり、法案を事前チェックする内閣法制局も本則記載に難色を示したとみられる。……
……国会議員会館前では冤罪被害者の早期救済のための法改正を求める集会が開かれた。日本弁護士連合会の鴨志田祐美弁護士は「付則で検察官抗告を原則禁止しても、本則をいじらないのなら、何が原則で何が例外なのか分からない」と見直しを求めた。
この付則の「例外」について、テレ朝の報道では、「抜け道」になるおそれを議員が指摘していると伝えています。自民党の鈴木貴子議員は「例外規定を誰の裁量で判断するのか――『検察です』という回答です。(これでは)今と全く変わらない」と言っています。
「冤罪」事件などあってはならないし、万に一つでも発覚すれば、司法機関にとっては即信用失墜です。それがここ最近、袴田事件、福井の中学生殺人事件、大川原化工機の事件と相次いで冤罪事件が明らかになって、検察への信頼は全体として地に落ちたと言えるような状況下で、なおも、抗告権を手放そうとしない、その拘泥ぶりには呆れてしまいますが、本当に、検察の抗告を禁止すると、(関係者?の言うとおり)刑事司法全体に悪影響が及ぶことになるのか、それはまた、冤罪が頻出している現状の改善にはつながらないのではないか等々、専門家の意見を聞きたいものです。
しかし、TVは連綿とこの法務省 vs 自民党の対立構図を国民に見せ続けます。素朴な疑問があるのですが、一見、検察抗告の禁止をと(メディアの前で)叫ぶ自民党議員は、冤罪被害者や国民の声をバックに既得権保持の法務省と闘っているように映りますが、こういうことはそもそも国会で議論すべき話で、どうして自民党内だけでやってるんだと。法務省の側も、自民党さえ了承すれば、3月までの衆院の予算審議と同じく、「スムーズ」に国会を通過させられるということなのでしょうか。これは、同じ内閣(政府)が、消費税ゼロの議論を仰々しくも「国民会議」なるものを招集して「慎重」に進めようとするのと、大きな差があります(国会無視という点では同じかもしれませんが)。
これについて、今朝の毎日新聞の社説に、こう書いてあります。
社説:巨大与党と国会の役割 追認機関にしない改革を | 毎日新聞
国会改革が叫ばれながら、進展しない状況が続いている。巨大与党が誕生した今だからこそ、立法・行政監視機能を強化し、審議を活性化させる改革が急務だ。
先の予算審議は、衆院で審議時間が大幅に短縮されて議論が深まらず、禍根を残すものとなった。与党による強引な議事運営が許されないのは当然だが、問題の背景を点検し、国会運営そのものを改善する必要がある。
論点は多岐にわたる。中でもカギを握るのは、与党による事前審査と党議拘束の見直しである。
内閣提出法案については長年、与党があらかじめ各省庁と調整して了承する事前審査の慣行が続いてきた。議員の投票行動を縛る党議拘束と相まって、国会への提出段階で成立が確実になる。審議が空洞化し、国会が行政の追認機関に陥りかねないと指摘されてきた。熟議を通じて法案修正など合意形成が図られる仕組みに転換すべきだ。……
国会は「国権の最高機関」(憲法41条)であって、行政の都合によってないがしろにされてはならないはず――法務省や検察ともども、巨大政権与党の「全能」感、身勝手なふるまいも、もっと批判されないといけないと思います。
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