今朝の新聞の社会面に、ロンドンの自然史博物館に保管されていたアイヌの遺骨が返還されたという小さな記事がありました。「研究目的」で墓から掘り出され、勝手に国外に持ち帰られたものですが、倫理上の問題からも、遺骨を故郷に戻すべきという声が強く、昨今の動きに沿ったものと思われます。
アイヌ遺骨:アイヌ遺骨 160年ぶり返還 英博物館 3カ国目 | 毎日新聞
今回返還された遺骨の一部は、1865年にイギリスの外交官らが無断で掘り出し、標本として持ち帰ったもので、根本的に問題なのは、研究のためと言いつつ、遺骨を「モノ」としか見ないその視線ではないかと思います。去年にもブログで書きましたが、これは、翻って日本の大学や研究機関にも共通する問題で、東京大学や京都大学も「所蔵」してきた一部の先住民の遺骨の返還に応じていますが、きちんと謝罪するだけでなく、その「視線」を厳しく反省しなければならないと思います。
先住民遺骨返還の記事を見て - ペンは剣よりも強く
東大、ハワイ・オーストラリア先住民遺骨を返還 文化的配慮の欠如など課題も - 東大新聞オンライン
京大 遺骨返還のガイドライン公表 琉球・奄美遺骨の保管状況明かす | 京都大学新聞社/Kyoto University Press
当時は前のめりで夢中になってやっていて配慮が足らなかったとか、まだ、そういう認識が一般に意識されるような時代ではなかったとか、「言い訳」はいろいろあるかもしれませんが、どんな地域、いかなる時代であっても、遺骨が誰かの親や子であることは変わらないはずです。それゆえに骨を「モノ扱い」されて不快な思いをしない人はいないと思います。
余談ですが、小生も、父親が亡くなったとき、火葬してお骨を骨壺に入れる際、体が頑丈で大きかったせいか、最後の最後でうまく収まらなくなって、係の人が無理やり収めようとする「仕草」を目にしたときは、正直不快でしたし、小生の妹もあとで同じことを言っていて、「やっぱりそうだよな」と思ったことがあります。
ましてや、これらの遺骨は墓から勝手に持ち去られたものなのだから、なおさらです。後世の人から見て、その時々で最善のことをしてくれたと思えるような対応をとるべきです。
それで思い浮かぶのは、公的立場にある人間が(自分が直接かかわったわけではない)過去にどう向き合うかという問題です。たとえば、わが国の首相は、かつて(1995年3月16日)衆院の外務委員会で、当時の戦後50年不戦決議や戦争の反省に関して、「私は戦争の当事者ではないので、反省する必要も求められるいわれもない」と発言していました。さすがに30年も前の話で、当時の発言や認識を蒸し返してもどうかという気はしますが、もしかしたら30年たった今でも根本的に考えが変わっていない可能性もあります。
30年前に高市氏「反省なんかしておりません」戦後世代と帝国の戦争 | 毎日新聞
https://x.com/grok/status/2030166377273655562
場合によりけりとはいえ、何か事が起こったときに、会社の社長がそのとき自分はまだ社長じゃありませんでしたからなどと、組織のトップとしてはもちろんですが、おおよそ「おとな」とは言えないような認識を世に示したら、おいおい、って話になります。首相は戦後生まれなので、ますます戦争のことなんて知らんがな、まだ生まれてないし、という認識なのかもしれませんが、一国民ならばともかく、政府のトップに立つ人が、縄文時代のことなんか知るかいなというのと同じレベルで話はできないでしょう。当時は「若気の至り」で、ああいうことを言ってしまったが、その後は……と、(真の意味で)反省してくれていればよいのですが。というか、首相として国を代表するんだったら、(国民としては)反省させないといけないと思うのです。
<追記>
今朝の新聞記事で言えば、奥さんの介護をしながら85歳でこの春、都立の夜間定時制高校を卒業された方の記事が抜群によかった。ほんとはこちらについて何か書きたかったのですが、曰く、「自分の人生を振り返ってみると山あり谷ありで、あまりいい人生じゃありませんでした。家が貧しくて、満足に学校に通えなかったからね。社会に出たら漢字が書けない、単純な計算もできない。だけど、学校にもう一度通うことで、いろいろなことができるようになりました」と――その思いを受け止めて、さらに発するべき言葉が見つかりませんでした。頭を下げるのみです。
くらしナビ・社会保障:妻介護しながら80代夫、夜間高校卒業 中学から学び直し7年、染谷さん 体調不良にも負けず | 毎日新聞
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