ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「白黒ハッキリさせない知恵」

 今日は短く。昨日のブログで引用した湯浅誠さんと梶原麻衣子さんの対談記事の後半が、今朝の毎日新聞に掲載されています。湯浅さんの「白黒ハッキリさせない知恵」という話はごもっともと感じます。これは、政治家のみならず一般の人も「都合よく」使う手ですが、最近のポピュリスト政治家たちは、勇ましいことを言って大衆からやんややんやと言われたい下心があるせいか、根拠なく断定調で叫んだり、無理に対立をつくって、相手を「敵」として可視化しようとするため、こうした「曖昧テク」を避ける傾向があるようです。でも、そういう諸氏であっても、いざ実際に行政権力を担う立場になると、そうそう「断言」していたとおりに動けないのは、実例を挙げるまでもないでしょう。
論点:対談・「憲法」と分断/下 | 毎日新聞

 湯浅 ……ところで梶原さん、私が……白黒ハッキリさせない知恵もあるのでは、と話したら、釈然としない顔をされましたね。
 梶原 あ、顔に出ていましたか……。 
 湯浅 この話の流れで言うと、私は憲法だけでなく、共生についても同じように考えるところがあります。
  共生と言えば、「みんな仲良く」という道徳的なお題目と捉えられがちですが、実際には「共存するための知恵」だと思います。職場でも家庭でも、全員が仲がいいなんてことはまずない。それでも多くの場合、「俺が去るか、お前が去るかだ」という“戦争状態”にならないよう、時にごまかしながらでも同じ空間で共存している。
 「いかに二分させないか」は政治の重要な知恵でもあると思います。協議、妥協、すり合わせ、白黒ハッキリさせない、という知恵を発揮しないのであれば、日々インターネットで国民投票して機械的多数決で決めればよく、国会も議員も不要です。

 梶原 政治が極度に対立的になりすぎた結果、政治不信が強まった気がします。
 湯浅 トランプ米大統領誕生の背景には、2大政党間の落ち着いた議論が徐々に減り、議事妨害の応酬などが増えたこともあるようです。これを他山の石として、日本の政治には踏ん張ってもらいたいです。
……<中略>……
 湯浅 ……近い仲間を増やすのは、いわば一般的な商品を売る発想。自社製品を支持する顧客を増やす。私企業としては当然です。でも公共は支持者以外にも配慮する必要がある。だから政策は、反対する人を含めて全員の税金を使うことを許されています。……政治家にしても、4割の岩盤支持層だけを相手にした商売、もとい政治は残り6割を視界に入れる必要がない。これでは社会の公共性は壊れてしまう。

 社会の「分断」は確かにあります。中には、梶原さんが述べているように「分断された方が心地よい」と感じる人がいるかもしれませんが、それは社会が分断されていても、ある意味「安心」して生きていられる条件というか、環境に安住していられるからこそでしょう。ひとたび、大地震や津波など、大きな災難に襲われて社会が危機に陥ったら、右派とか左派とか、敵・味方に分かれて何のかんの言っている場合ではなくなります。分断社会は危機の折にはさらに「傷口」を広げかねませんし、そういうことになる前に、分断よりも共存のための知恵を働かせないといけないのだと思います。



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