「さっさとホルムズ海峡を開けろ、このろくでなしども。さもないと、地獄を見るぞ」(原文不知)――イランに7日(日本時間8日)までに停戦合意に向けて動くようSNSで促す(脅迫する)米国のトランプ大統領ですが、政治家の発信ツールとして手軽に、かつ安直にSNSが利用され、メディアが先を争うようにそれを報道する姿は、幼稚で浅はかな政治を助長することにつながっている気がします。
今朝の新聞に、SNS時代にふさわしいリニューアルされた戦争報道を求める記事がありましたが、まずは、嘘や誇大表現の目立つ一方向的な情報提示ではなく、複数の人間の意見を交えた複眼的な情報を伝える姿勢がメディアには必要だと思います。それだけに、SNSよりは、記者の質問を受ける会見、さらに、それよりも、議会での具体的な答弁の方が報道する価値があるはずだと思うのですが、現状では「正反対」になっている感じがします(もっとも米国大統領の場合、SNSだろうと記者会見だろうと、どんな場であっても口から出まかせの発信のし放題で、恥じることがありませんが)。
メディアの風景:SNS時代の戦争報道 真実に迫る新手法を=武田徹 | 毎日新聞
SNSで情報を発信するスタイルはわが国の首相も「得意」とするところらしく、参院の集中審議の出席に首相は消極的だという声が上がると、おとといのSNS(Ⅹ)で早速反論を寄せているようです。昨日の「女性自身」の記事です。
「じゃあ会見したらいいのでは」高市首相 集中審議”拒否”報道を完全否定も歴代首相と”圧倒的な時間差”…「記者会見2カ月ナシ」で高まる不満の声 | 女性自身
……4月1日に野党側が求めた高市氏出席の集中審議の3日の開催を、参院自民の磯崎仁彦国会対策委員長が拒否。これが《高市首相出席の審議を自民が拒否 予算成立、年度内どころか第2週に》(朝日新聞)などと報じられ、SNSでは高市氏が集中審議出席に消極的だとして批判が過熱した。
そんななか、高市氏は4月5日に更新したXで、《私が参議院予算委員会の集中審議に応じない意向を示していたとの報道は、全く事実ではありません。誤報に基づいてメディアでコメントをする方々も居られるようですので、とりあえず事実を簡潔に書かせていただきます》と切り出し、《予算委員会の日程や私の出席等については「委員長や与野党理事が運びを決める事だが、求めがあれば国会に参る」旨を既に答弁しています。参議院自民党幹部にも伝えていました》と説明。
高市氏は31日にインドネシアのプラボウォ大統領と、翌日にフランスのマクロン大統領との首脳会談に臨んでいたが、今回の投稿では《首脳会談時間帯に予算委員会の答弁時間が重ならないように、官房副長官経由でご配慮をお願いした事が曲解されているのかもしれません》と綴り、冒頭のように(《それにしても、他の事も含めて、最近は事実と全く異なる報道が増え過ぎている事は残念です》と)締めくくった。
30日の国会でも、”参院での集中審議に応じない意向を示した”と一部メディアで報じられたことについて、事実ではないと反論していた高市氏。一連の報道を腹に据えかねる様子だが、高市氏出席の集中審議時間が”桁違い”に少ないことは明らかだ。
「新年度予算案の歴代首相の集中審議時間(参院)については、菅義偉元首相が約24時間、岸田文雄元首相が平均で約27時間、石破茂元首相が約40時間応じているものの、高市首相は4月2日時点で4時間にとどまります。3月30日の参院予算委員会では、国民民主党の伊藤たかえ議員がこの数字を元に、『これが総理が集中審議を拒否していると言われる所以です』と高市首相を追及。4月6日の参院予算委で高市首相は集中審議に応じましたが、これでも10時間に満たないのが現状です」(政治部記者)……
……このように、Xを反論の場とする高市氏だが、4月6日の参院予算委員会では、立憲民主党の小西洋之議員が以下のように要求した。
「高市総理にお願いしたいのですが、記者会見をやっていただきたいんですね。韓国の大統領をはじめ、世界の首脳は記者会見をどんどんやっているわけです。週末にXを使ってSNSで国民につぶやく。しかも、それを読み解いても何を言っているかわからない。疑問いっぱいなわけです。高市総理自ら記者会見を開いて、エネルギー供給物資の供給確保の見通しと取り組みについて、国民に説明することを求めます」
なお、2月18日の第二次高市内閣発足時を最後に、内閣総理大臣記者会見は行われていない。一部では恣意的な報道を避けられる利点があるとしてSNSを中心とした発信を評価する声も上がるものの、一方通行の発信ではなく、会見における双方向のやり取りを臨む声は多く、高市氏による一連の「反論投稿」には以下のような指摘が寄せられている。
《うん、じゃあ会見して質問に答えたらいいのでは?「それは違います」とか「具体的にはこういうことです」とかいくらでも言えるのに》
《「総理大臣」がSNSで一方的な発信ばかりするのをやめてください。Xをやっていない人にも届くよう、会見を開き、その場で質問に答えてください。こんな発信では安心など出来ません》
《事実無根の報道が多いのが残念と言うならSNSでムキになって反論するのではなく、会見を開いて堂々と自分の口から説明すればいいだけではないでしょうか》
ネット空間の情報はフラット化されるので、専門性の高い記事もヨタ話も一緒、真実と嘘がないまぜになってしまって、素人には区別がつきません。そこに為政者側の狙いがあるかもしれませんが、そうした情報群で専門性や真実性を担保する方法は、多くの人の目にさらすこと。情報が嘘かどうかは、複数の人間の意見交換や相互討論の過程で明らかになるでしょう。一方通行ではそれができません。
首相が官邸に籠り、煙の中で《事実と全く異なる報道が増え過ぎている事は残念です》と一方的に情報発信している姿こそ、残念と思います。
⇩よろしければクリックしていただけると大変はげみになります。

社会・経済ランキング
![]()
にほんブログ村
にほんブログ村