ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「逃げません」の検証 プチ鹿島氏のコラムを読む

 大手の新聞やTVが政治権力と融和・融合する中、ジャーナリズムとして気を吐く数少ないメディアが赤旗と文春でしょうか。赤旗は共産党の機関紙なので、まあ当然と言えば当然です。文春の方は、日本の核武装に必ずしも反対の立場ではないようですし、スキャンダル商法の過去が過去なので、個人的にはちょっと(否かなり)距離を置きたい気持ちはありますが、抜群の(恐怖感すら覚える)取材力は相応に評価しないといけないと思っています。ぜひそのバズーカ砲は、民ではなく特権のある側(政治家)に向け続けてほしいものです。

 その文春に連載されているプチ鹿島氏のコラムをおもしろく読みました。今回は高市首相の「逃げません」発言を過去の事例に照らして検証した内容です。記事を読んで、すでに忘れていたことをいくつか思い出しました。彼女は舌禍というのか、確かに口から出まかせが多いですねぇ。
野党に「もう質問しないでほしい」と前代未聞の答弁…高市首相の「逃げません」発言を徹底検証した《ブログ削除問題も》 | 文春オンライン

……「逃げません」と語った首相はこの国会でどう振る舞うのか。これは野次馬的な興味では済まない。過去の「実績」があるからだ。振り返ればいくつかの騒動があった。おさらいしておこう。

総務省の公的文書を「捏造」と言ってしまった事件(2023年)

 3年前の春、放送法をめぐる答弁が大きな問題になった。放送法の政治的公平をめぐる行政文書について、高市氏は自身に関する発言の部分を「捏造」と断じた。そして野党に対して「もう質問しないでほしい」と前代未聞の答弁をした。自民党内からも批判が出て、この発言は撤回に追い込まれた。

高市大臣の「8割大陸」発言疑惑(2022年)

 三重県議が「(安倍氏の)国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだった」とツイートし、それは当時の高市・経済安全保障担当大臣の「講演で伺った話」と述べた件である。大問題になると三重県議は発言を撤回、当の高市氏も曖昧な否定で収めようとした。
 ちなみに別の参加者が、同様の内容を高市大臣が発言していたという報告を当時のTwitterで行っていたことが分かっている。当該のツイートは削除されている。

……まだある。昨年の「奈良のシカ」の発言だ。SNS情報をもとに問題提起し、根拠を問われると「不安や怒りがある」と応じた。後の国会では「自分が注意したことがある」と説明が変わった。

 そして最新の案件が「ブログ削除問題」である。

 高市早苗首相の公式サイトに20年以上にわたって掲載されていた約1000本の「コラム」が、2月18日までにすべて削除された件だ。事務所は「サイトをシンプルにするための見直し」と説明しているが、再公開するかどうかは未定だという。
 削除の直前にはプレジデントオンラインが過去のコラムを検証していた。「消費税減税は私の悲願」とする最近の発言を裏付ける記述は見当たらず、むしろ増税に肯定的な内容が多かったと報じていた。記事公開後にコラムが一括削除されたため、指摘を隠すための意図的削除ではないかと疑念が出ているのである。
 もし、ブログの検証記事がきっかけで削除されたのだとすれば、それは都合の悪い指摘への向き合い方として適切だったのか、という疑問が残る。

 こうした出来事は、単なる野次馬案件で済ませられるものではない。我々日本に住んでいる人間にとっても重要な問題だからだ。今後国家の命運に関わるような状況が勃発したとき、首相側の危機対応がここまでわかりやすい悪手をどんどん駆使するなら、我々にも影響する。防衛費をいくら増額しても肝心の首相が杜撰な自己防衛ぶりだと元も子もない。……

 「不自然」なことを言ったりやったりすれば、だいたい何かあるなと疑われるものですが、高市首相の場合、その場しのぎでごまかせればいい式の行動様式が目立つので、だいたいは相手に見透かされます。それを気にもかけないで繰り返せば、個人なら〇ホな奴とみなされるだけですが、この方、今や総理大臣。この国の公人中の公人ですから。

 「不自然」と言えば、昨日の中道改革連合の小川代表の質問を聞いていて思ったのですが、高市首相が食品の消費税率をゼロにするのに、国民会議なる場での議論にあれほど拘泥する理由は何か。単純に考えれば、与党で2/3も議席を持っているのだから、法案をつくって通すこと自体には何の支障もありません。ところが、(少数になった)野党のご意見もしっかり聞いて、などと、いつになく「殊勝」な(少数派に配慮した)ことを言ってるとなると、むむ、これは怪しい、何かあるなと思わざるを得ません(笑)。
消費税減税「野党の協力が条件」 高市首相、共同責任求める - 日本経済新聞
「国民会議」って一体どんなもの? 高市首相が国会を避けて「消費税ゼロ」議論の場をわざわざ設ける理由は:東京新聞デジタル

 話がうまく進まなかったら野党に責任を転嫁するつもりなのはだいたいわかります。「野党の協力が条件」などと繰り返すのもそういうことでしょう。でも、野党の多くは「協力」を拒んでいるわけではありません。先に自民党が原案を出せばいいじゃん、と言われて、自民が「尻込み」するとなると、これはむしろ「野党の協力」よりも「自民党内の協力」の方が問題なのではないか。自民党はこの件で意見を一本化する見込みがない、だから「国民会議、国民会議」と言っているのだとすれば、要するに高市首相は自民党内をまとめる自信がないってことでしょう。反対する自民党議員がいたら、誰のおかげで当選できたと思うてんねん、って一喝してやりゃいいんですよ(笑)。

 プチ鹿島氏の「逃げません」の検証に、これも加えるならば、ここでも高市は「逃げてる」ってことにならないでしょうか。



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