ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

普天間返還の「条件」をめぐって

 昨日見た新聞の小さな記事が気になっています――昨年の9月、米国防総省が、現在建設中の辺野古基地の滑走路が、普天間基地の現行約2,700mに比べると約1,800mと、大幅に短いことを「能力上の欠陥」として、日本政府が「長い滑走路」を確保しない限り、普天間施設は返還されない(従来どおり米軍が使い続ける)との見解を示していたことがわかりました(米政府監査院への回答)。普天間基地の返還・移転を約束した1996年の日米合意に反するのみならず、「辺野古(移設)が唯一の解決策」として、多くの県民の反対の声を聞き入れず、基地建設(大浦湾の無茶な埋め立て工事)に猛進してきた政府の責任も重大。代替の滑走路を見つけるとなれば、さらに問題。つまりは、もっとメディアで取り上げられるべき「大問題」だと思うのですが。「アサ芸(週刊アサヒ芸能)プラス」の記事からの引用です。
米国、普天間飛行場の返還に留保条件 「長い滑走路」選定必要 | 毎日新聞
【爆弾情報】沖縄・辺野古に新基地ができても普天間飛行場は返還しない…在日米軍「約束破棄」で高市政権大揺れ! | アサ芸プラス

……辺野古の工事が遅々として進まない現状に、アメリカ国内で不満が募っているのは確かだ。海兵隊の現役中佐が昨年末、辺野古の新基地完成後も普天間飛行場を「キープ」して日米で共同使用するべきだと主張する論文を発表した。
 また、普天間返還に合意した1996年の時点と安全保障環境が一変しているのが、その理由のひとつだ。
 辺野古を工事し、普天間を返還する際には別の長い滑走路を、民間飛行場などの代替施設で代用する。普天間の航空戦力は九州の自衛隊に移設することが、日米間では合意していたが、これは手つかずのまま。むしろ中国の脅威が増大する中、「辺野古の工事を中止し、長い滑走路だけを整備してくれればいい」というのが、アメリカの本音のようだ。
 辺野古不要論は約10年前から継続して存在し、アメリカの制服組で議論されていた。滑走路増設など、普天間周辺の整備の方がコストが安く、米軍にとっても使い勝手がいいからだ。
 ただ、辺野古の工事に莫大な税金を注ぎ込み、それを地元の企業に還元することが、沖縄県で自民党政権基盤を築くための暗黙の了解だったため、アメリカは表立った動きを見せなかった。当初の辺野古基地建設費は3500億円だったが、すでに1兆円近い金額が投入された。にもかかわらず、埋め立てすらできていない。
 アメリカもついに堪忍袋の緒が切れた、というところか。
……

 別に米国の肩を持つつもりはありませんが、いくら軟弱地盤の改良のために大量の凝固剤を投入しても、上から被せているだけでしょうから、マヨネーズ地盤が岩盤のようにはならないんじゃないか(もちろん素人の想像です)。その上に橋脚のように杭を立てたら、数か月とか短期間限定ならともかく、長年となれば、その間台風も来れば、地震もあるでしょうし、そのまま盤石ってことはないでしょう。ここはとても恒久的な施設をつくるような場所ではないと、専門家をはじめ、多くの人が指摘しているとおりなのではないか。米国にしても、そのうち滑走路が傾くんじゃないかと思いながら、航空機の離発着をするのは不安でしょうし、そりゃあ反対の意見も出るでしょう。「滑走路が短い」云々というのは表向きの理由で、そもそも辺野古の基地は危険だから嫌だっていうのが本音ではないかとさえ思えます。

 辺野古沖の軟弱地盤が一般に知られるようになったのは2016年頃。今回の国防総省の「回答」のもととなった、米政府監査院(GAO)の「滑走路が短い」という指摘があったのは、そもそも2017年です。それから10年。この間、日本政府はあまりこの滑走路問題と向き合ってきた印象はありません。なぜ、このタイミングで国防総省が「長い滑走路」を要求している=普天間をそのまま使う? との報道が出てきたのか、ちょっと引っ掛かります。
 自民党内には「沖縄基地問題を掘り返し、政権を混乱させたい中国の謀略ではないか」(自民党議員秘書)という見方があるようです(上の「アサ芸」より)。もちろん、この問題が政権にとって歓迎すべきネタでないのは明らかでしょう。けれど、ひょっとしたら先の衆院選で自民党が圧勝したことと関係があるかもしれません。
 もし、自民党議員の秘書が言うような中国ではなく、アメリカ関係がネタの出所だと考えると、自民党が少数与党の時期にこのネタを知らしめると、自民党に不利に働いて、選挙で負けて完全野党になりかねない。米国にとって自民党政権は何でも言うことを聞き、自国の要求を飲ませるには都合のよい政権です。万一野に下って、「得体のしれない」政権と交替するのは好ましくない。だから、自民党が政治的に劣勢な時期には、不利になるようなことはしないでおく(恩を売っておく)。けれども、今度は選挙に勝って「盤石」な政権となったので、このタイミングなら、政権に多少不利になるようなことを含めて高水準の要求をしても(脅しても)大丈夫。これは「主人」による一種の「奴隷」操縦術のようにも見えます。自民党の言う「安定政権」とは、要するにこういうことなのではないか。

 そういえば、トランプ大統領は衆院選挙中に高市首相と連立政権を「完全かつ全面的」に支持するなどと、ほとんど「内政干渉」まがいのことをしていましたが、高市も高市で、トランプの支持のおかげで選挙で圧勝できたと、何のためらいや留保もなく返しているようです。
高市首相 トランプ大統領への「お礼投稿」が“内政干渉容認”と波紋…その後ひっそり削除→再投稿で「変化した箇所」 | 女性自身

 とはいえ、沖縄の人々にこんなに基地負担を強いた上に、1兆円に近い税金をも注ぎ込み、挙句に普天間基地は全然動きませんでしたで、いいはずがない。従来の返還計画に変更はないなどという政府の広報をするだけでよいのか。NHKほか、主要メディアは政権忖度はやめて、もっとこの問題を報道すべきでしょう。野党も「批判ばっかり」と言われて、怯んでいる場合ではないと思います。



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