ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「サナ活」を越え出ること

 昨日衆院選の状況分析について書きましたが、序盤の情勢は、(昨日書いたように)与党で過半数確実というレベルを越えて、自民党の圧勝、単独過半数の確保濃厚というムードの方が強いようで、今朝の毎日新聞の一面トップは、「自民 単独過半数視野」と題した情勢分析が掲げられています。
自民、単独過半数うかがう 中道は浸透せず 毎日新聞衆院選序盤調査 | 毎日新聞

 自民党政権の「勝つまでジャンケン」に付き合わされた挙句に、結局こうした「成功体験」を与えてしまったら、今後もスキャンダルが発覚しそうになったり、少数で形勢不利な議会運営を迫られたら、この手でいこうってことになるでしょうね。一拍おいて、後日スキャンダル自体は国会でも取り上げられるでしょうけれど、「安定多数」を得て強気になっている(はずの)高市首相には、総務省文書問題のときに逃げのびた「成功体験」があるので、論点をそらして、しらばっくれてれば、そのうち国民は飽きて、いずれは忘れてくれる、と。普通だったら進退問題に発展するようなケースであっても、それが本人次第だったら、無視を決め込むでしょう。

 同紙2面には若者の(といっても27歳の女性会社員の一例ですけど)「サナ活」の「実像」を紹介する記事があって、「女性にとって、高市氏は「働く女性のお手本のような存在」だ。政策は詳しく知らなくても「働く姿勢に憧れる」」と書いてあって、首をかしげました。というか、じぇじぇじぇ、です。
読む政治:“サナ活”は選挙を動かすか 政策は知らないけど…「働く姿に憧れ」 | 毎日新聞

 「高市早苗さん、応援したくなる首相だ」
 会社員の女性(27)は2025年11月、TikTok高市氏を応援する「サナ活」のショート動画を投稿した。高市氏が記者会見などで用いる三菱鉛筆のピンクのボールペンを、女性が使って勉強する内容。「しっかりサナ活‼」とテロップを付けると、5万回以上再生された。
 サナ活は高市氏の名前から取った「推し活」の一種だ。高市氏のニュース映像から持ち物を特定し、同じものを買い求める現象がSNSで話題になった。官邸入りの際に手にするトートバッグは注文が殺到し、販売会社によると入荷は9カ月待ちという。
 「正直、首相が代わることも知らなかった」。女性は取材にそう明かす。
 サナ活という言葉はSNSで知った。当初は韓国の人気女性グループ「TWICE」メンバーのサナを推す活動のことだと思ったが、調べたら「まさかの高市首相だった」。
 たまたま同じボールペンを持っていて「なんとなくSNSに載せたらプチバズりした」と振り返る。
 女性にとって、高市氏は「働く女性のお手本のような存在」だ。政策は詳しく知らなくても「働く姿勢に憧れる」という。高市氏が韓国コスメを使っていると聞くと身近に感じ、外交の場で堂々としている姿を「カッコいい」と思う。今月16日、高市氏がイタリアのメローニ首相の誕生日を祝う歌をイタリア語で披露する姿をTikTokで見て感銘を受けた。……
……東京都内の国立大に通う男性(24)も、強い支持というより、ふわっとした期待を寄せる若者の一人だ。「個別の政策や実績では判断できない」が、なんとなく「好印象を持つ」という。「僕の周りでも、強気で常に笑顔で、流行語にもなった『働いて、働いて、働いて……』という発言がなんか信頼できるという意見が強い」と話した。
……

 個人の実感を嘆いてもしょうがない側面はあります。しかし、あえて言わせてもらうなら、年寄りの「経験則」では、人付き合いがいいわけでもなく人前でつくり笑いをする人間はまず疑ってしかるべきだし、「働いて×5」なる(何をどうしたいのか思いつかなかったので、途中で終わりにしてしまった)連語に(人としての)信頼がおけるという段に至っては、ほとんど理解不能です。

 二人とも「政策は詳しく知らない」「個別の政策や実績では判断できない」と、謙虚というか、ある意味、正直です。二人が実際に投票に行くかどうかはわかりませんが、もし、選挙でなく、大事な買い物、高額な商品を買うときは、長所・短所を含めていろいろな情報を集めて検討し、総合的に(是非を)判断するでしょう。二人ともまだ自分の住まいを購入するような段階ではないかもしれませんが、たとえば住宅であれば、いくら不動産屋が、いい物件だ、買い時だと推してきても、おそらくはよく考えると思うのですが、それは他の人たちも同様でしょう。このように、ある場面では情報を集め、比較し、熟慮を欠かさない「買い物上手な人」たちが、こと政治家選びになると、平常しているように考えないで(小生に言わせれば)「下手な買い物」をしてしまう、それが選挙の怖いところです。政治のことは難しくてよくわからないとか、候補者のちがいがわからないとか言う人を、TVで見かけますけど、自分の家や車を買うとしたら、「わからない」ままテキトーにしないで、納得するまで調べるでしょう。あるいは、わからないことは他人に尋ねて教えてもらうでしょう。自分個人の車でなく、「みんなが乗る車」だと、意味が変わるんでしょうかね。でも、そこが「政治屋」たちによる粉飾の腕の見せどころになっていると思います。

 本当は、朝、新聞の情勢分析を見なければ、こんな愚痴っぽい繰り言をするんではなく(笑)、短期間で国政選挙ばかりやってると、選挙で有権者の歓心を買うことばかりが目的となって、政策がどんどん短視眼的になっていき、長いスパンで腰を据えて取り組まなければならない諸問題、たとえば人口、環境、教育といったテーマが疎かにされると書くつもりだったのですが、それはまた機会を改めます。
 教育についてだけ述べておくと、おとといのNHKの昼の「耳より!解説」でも取り上げられていましたが、全国の小中高校、特別支援学校における去年のいじめの(認知)件数は前年度比5.0%増の76万9,022件で過去最多、小中学校における不登校児童生徒数は353,970 人(前年度346,482 人)と12年連続増加でこれも過去最多。小中高生の自殺は、今朝の新聞記事にもありましたが、532人で2年連続で過去最多。自殺者の総数は減っていても、小中高生の自殺(女子の方が多い)は増えているそうです。
小中高生の自殺者は過去最多 全体は初めて2万人下回る 25年統計 | 毎日新聞

 高市首相の言う「強い日本列島」というビジョンの中で、こうした子どもたちの姿と、子どもたちがおかれている環境はどう映るのか。かつて学校で子どもたちと接してきた人間としては、是非伺いたという思いがあるのです。漠とした言いかたですが、教育に高市流の「強さ」が求められたら、子どもたちはさらに追い込まれることにならないのかと。

 いずれにしても、有権者の半数はまだ投票先を決めていないということなので、まだわかりません。序盤は「サナ活」に押され気味のようですが、あきらめずに、「サナ活」を越え出てくれる人が一人でも二人でも増えるよう(祈りながら)、繰り言を続けることにしましょう。



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