今日は短く。
とうとうと言うべきか、昨日の午後、衆院が解散され、前回2024年10月からわずか1年3か月でまたしても総選挙突入ということになりました。今朝の毎日新聞一面の真ん中上には、衆院議長が詔書を読み上げた直後と思われる自民党の面々の写真が据えられ、キャプションには「衆院が解散され、前を見つめる高市早苗首相(中央)=国会内で23日午後1時4分……」とあります。
衆院選2026:衆院解散・総選挙 27日公示、来月8日投開票 自維連立に審判 戦後最短、16日間決戦 | 毎日新聞
左隣の木原官房長官はうつむき加減というか、目線は下です。右隣(一席分空いて)の林総務大臣は上目遣いですが前を向いています。前列の小泉防衛大臣は目を閉じているように見えます。高市首相一人背筋を伸ばし、きりりとした顔で前を向く姿がひときわ印象的です。普通に言えば、自身の進退をかけて一世一代の大博打に出た心境の現れというところでしょうか。普段メディアの前で見せている表情=笑顔とは全然違います。まあ、当たり前かもしれませんが、しかし……です。
今日の毎日新聞には土曜恒例の書評欄=「今週の本棚」があり、瀧本彩加さんの著『馬のこころ 人の相棒になれた理由』(岩波科学ライブラリー)を評した村上陽一郎さんの文が目に留まりました。人との長年にわたる付き合い(付き合わされ)により、馬は驚くべき能力を培ってきたようです。中でも、注目されるのは、馬の人の感情を読み取る能力です。村上さんはこう述べています。
今週の本棚:村上陽一郎・評 『馬のこころ 人の相棒になれた理由』=瀧本彩加・著 | 毎日新聞
……人は、軍馬、使役馬などのほか、祭祀、スポーツなど生活のあらゆる場面で、馬と付き合ってきた歴史がある。
一方馬の能力にも著者の筆は及ぶ。数える能力、人の怒りや喜びを感じる能力、自分の感情を伝える能力、記憶する能力などなどが、具体的な事例とともに紹介されている。中でも興味深いのは、困ったときに人の目を見つめることで、意志を伝える方法が、犬猫だけでなく、馬にも、あるいはカンガルーにさえ備わっているという。
とりわけ馬は、人との付き合いの中で、その表情や音声などから、人の感情を読み取る術を心得ているようで、それは親しくなった相手だけでなく、初対面であってさえ、優しい顔貌と怒りのそれ、あるいは優しい声と怒鳴り声、などに、生理的反応することが実験で確かめられるという。
私たち人間も、以心伝心などという次元もあるにせよ、通常は、相手の振舞いによって、相手の心を感じ取ったり、推理したりする。アメリカの心理学者J.B.ワトソンは、すべての心理現象を、「振舞い」(ビヘヴィアー)で捉えきることを提唱した。心理学は「心」理学っであることを諦め、「振舞い」理学になるべきことになる。実際、現実には、相手の表情や動作、発する言葉などで、相手の「こころ」を読んでいるし、それ以上でもそれ以下でもないはずだ。
そういう観点からすれば、馬は、人とのかかわりの中で、相手の「こころ」を読んでいると見做せる徴候があることになろう。では、その逆はどうだろうか。
面白い実験が紹介されている。日常馬と接している人と、そうでない人とに被験者を分けて、馬の様々な表情の写真を見せたところ、前者の回答の正答率が後者のそれを有意に上回った、という。ここでの「正答率」という概念は、なかなか微妙な性格のものだが、とにかく、そういう結果があることは確からしい。そして、馬に慣れた人が着目する特徴の一つに、耳の形、動きがあるのだという。……
普段メディアに見せる高市首相の笑顔を「つくり笑い」だと喝破することは(小生もやってますが)可能であるにしても、一般にはニコニコと笑顔の人の方が好印象を持たれるのは確かです。これを逆用すれば、人に(馬など動物も同じでしょうけれど)好印象を与えるためには笑顔をつくるのが得策だということで、対人関係の「技術」にもなります。しかし、笑顔の人を前にして、それが「自然=本性」か「人為=技術」かを見極めるのはそれほど簡単でもないでしょう。それは、上の村上さんの文にもあるように、当人のその他の言動などから総合的に類推するしかありません。
冒頭で述べた解散直後の高市首相の写真について。まさか、自分の判断で解散して=他の議員を短期間でクビにしておいて、普段のように笑顔ってわけにはいかないでしょうけれど、しかし、自身の進退のかかる大勝負を前に万感の思いが去来して、表情が引き締まったのか、というと、個人的にはどうも不自然さの方が先に立ちます。解散の瞬間シャッターが切られたり、TVカメラが自分に向くだろうことは、当事者でなくとも想像がつきます。もし、国民が自分に注目しているとしたら……。
もちろん、政治家ですから、ことの善悪はともかく、自分が他者にどう映るかを意識しない、そうした「神経」が働かないような「野暮」な人間に政治指導者が務まるかという話にもなります。しかし、もし、向こうがこちらのイメージを左右しようとする意図をもっているのであれば、こちらもこちらで、それを判別する技術と能力をもたないといかんのではないかと思います。村上さんの文章で言えば、日常馬と接している人のように、耳の形や動きなどから馬の感情を読み取る「技術」、その人間版を我々も持てるとよいと思うのですが。でも、まあ、人間と馬は言葉でコミュニケーションがとれないから、こういうそぶりや表情で互いの感情を推し量るわけで、人間同士のばかし合いみたいなレベルの話と類比するのは、お馬さんたちに失礼かもしれませんが(笑)。
昨日の衆院解散が宣言された直後のこの写真。その中央に写る高市首相の姿を、カメラ目線を意識した産物ととらえるのが穿りすぎかどうか、馬にも聞いてみたい感じです。
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