ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「駆」とは「逃げ足」のことか

 「一富士、二鷹、三茄子」――新年の初夢で何を見たのか覚えていませんが、この3つが縁起がいいとされるのは、一説によると、将軍・徳川家康に縁の深い駿河の国(静岡県)で「高いもの」を並べた江戸期の言葉遊び(成句)に由来するんだそうです。すなわち、1番「高い」のは「富士山」、2番めに「高い(高く見える)」のが「愛鷹山(あしたかやま 富士山の南側の山峰)」、3番めは他国より早く出荷されて値段が非常に高い「初茄子」だと(3番目を洒落たところがおもしろいんでしょうけど)。ちなみに4番目以下は、四扇、五煙草、六座頭(剃髪した盲目の僧侶)と続くんだそうです。

 では、逆に、初夢で見てしまうと「不吉なもの」は何か。他県の静岡のことはよくわかりませんが、千葉県の田舎人が見るところ、リニア新幹線浜岡原発が夢に出てきたら、あんまり縁起がいい感じはしません。その浜岡原発については、耐震設計のもとになる基準地震動を恣意的に選定し、過小評価する不正をした疑いがあることが判明し、昨日中部電力の会長が経済団体の年頭会見で謝罪しています。
中部電力、浜岡原発審査で不正疑い 基準地震動を恣意的に選定か | 毎日新聞
静岡・浜岡原発:中部電会長が謝罪 静岡・浜岡原発、データ不正 | 毎日新聞

 この国では原発にまつわる「不正」には事欠きません。「不正」というのは正々堂々とやらないで(できないから)、姑息な手段を使うという意味です。東電のトラブル隠しなど、不正の数々は言わずもがなですが、昨年の11月に東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を容認すると表明した新潟県花角英世知事も同様といわなければなりません。年頭(5日)の記者会見で、知事は新年の抱負を漢字一文字で「駆」と表し「県政をスピード感を持って進めていきたい」と述べたということですが、原発再稼働という重大問題に必要な県民の賛同(信)を得ないまま、結論ありきで疾走(駆け抜け)しようとしている感は否めません。
 雑誌『地平』2月号の「原発を拒む新潟の民主主義」という記事で、佐々木寛さんはこう書いています。

 ……花角知事は、2018年に初当選を果たして以来、一貫して柏崎刈羽原発の)再稼働の際には「県民に(職を賭して)信を問う」と表明してきた。……選挙最終盤、花角=自民陣営が新聞広告一面に謳い上げたスローガンは、「脱原発の社会をめざします」、「再稼働の是非は県民に信を問います」であった。……二期目を迎えても、記者会見などの折に触れ、再稼働の際には「県民に信を問う」という当初の公約を繰り返し、自らを「拘束」してきたとも言える。というのも、「信を問う」意味を問われた花角知事は「信任・不信任、(つまり自らの)存在を賭けるということ」とこたえており、地元メディアを含め、再稼働判断の際には少なくとも県知事選挙が想定されていると誰もが疑わなかったからである。
 しかし、花角知事は、「信を問う」方法については、終始一貫して具体的な明言は避け続けてきた。
……(再稼働の是非を県民投票で決めるとする県民投票条例案は、2025年4月、自公議員が多数を占める県議会で否決され)花角知事もまた議会同様「県民投票」を明確に否定し、その代わりに「県民の受け止めを見極める」として、……県民説明会や県内首長との懇談会、公聴会や県民意識調査などを試みた。一見すると「民意」を聞き取るためのプロセスを踏んでいるようにも見えたが、結果的にそのどれもが、最終的に「地元同意」を調達するシナリオに沿って進められ、ごく形式的な「演出」に過ぎなかった。知事と県内首長との意見交換会においても、たとえば磯田達伸長岡市長のように、再稼働判断は「時期尚早」との意見も出たが、その後、特に議論が深められることもなく、また公聴会においても、その恣意的な運用について、一部公聴人から強い批判が提起された。県民意識調査の調査項目についても、多くの専門家によって、回答を誘導する傾向や、分析結果における誇張や恣意性がされた。
 しかし、県民意識調査で「再稼働の条件は現状で整っているか」との設問に対し、「どちらかと言えば」を含め「そう思わない」と回答したのが六割以上、そして「どうのような対策を行ったとしても再稼働するべきではない」という回答も四割以上を占めた。また、「東電が柏崎刈羽原発を運転することは心配」という回答も六割を超えた。この調査結果から再稼働の「容認」判断を導くことは、論理的にもきわめて困難であるはずだった。
……

 下線部  の「分析結果における誇張や恣意性」については、次のように注記が付されています。

 この野村総合研究所による調査は、質問項目を見ると明らかなように、再稼働に不利な情報が示されておらず、調査対象や設問内容にも偏りがあった。また、「安全対策・防災対策に関する認知度が高くなるほど(知識量が増えるほど)、再稼働の条件は現状で整っているという意見が多くなる傾向」という「分析示唆」は、統計学的にもまったく不正確な結論であった。しかしこの「示唆」は、その後の再稼働容認会見で、知事が「正確な情報を県民に提供、周知していくことを継続していけば、再稼働に対する理解も広がるのではないか」と、再稼働への不信を単に「認知度」や「知識量」の不足の問題へと還元し、再稼働を合理化する布石ともなった。

 再稼働に反対する者は「知識がないから」反対してるってことでしょうか。そんなことは、百歩譲って、小生のごとき非専門家には通ったとしても、反対の意思表示を示している多くの科学者には通らないでしょう。馬鹿にすんなと思いますね。

 花角知事は新年の抱負を漢字一文字で「」と表したそうですが、「」の間違いではないですかね。あるいは、漢字がありませんが「しかと*」とか。
*花札の10月(紅葉)の10点札がそっぽを向いた鹿の絵柄であることに由来。


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