ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

1日遅れのレクイエム

 新年明けましておめでとうございます。(といっても、特にめでたいこともないのですが)今年もよろしくお願いいたします。

 さて、本来なら旧年のうちに書くべきことですが、2日前、新聞に去年(2025年)に亡くなった著名人の名前が並んでいるのを見て、「ああ、そうだ」と思い返したり、死去をうっかり知らずにいた人を何人か「発見」して、「えっ、あの人が」とちょっとがっくりしたりしたので、改めて月毎に目に留まった故人を個人的に偲びたいと思います。
特集:特集 レクイエム2025 亡くなった方々(その1) | 毎日新聞
特集:特集 レクイエム2025 亡くなった方々(その2止) | 毎日新聞

 1月の28日には経済アナリストの森永卓郎さん、29日には俳優の下條アトムさんが亡くなっています。
森永卓郎さんの「真冬の怪談」 - ペンは剣よりも強く

 2月19日には田川建三さんが亡くなっていて、これは確か新聞の社会面で小さな記事を見た覚えがあります。一人だけ少々長めに書いてみます。
 田川さんは一般にはあまり知られていないと思いますが、新約聖書の翻訳と解説で2017年に毎日出版文化賞を受賞したキリスト教の「宗教学者」です。小生はキリスト教はもとより、宗教全般に関心が薄いというか、かなり「及び腰」でしたが、「神を信じないクリスチャン」を称する田川さんの著作に接してから、見方が一変しました。田川さんには、新約聖書の完全翻訳を人生最後の仕事と位置づけ、それをやり遂げたところにも頭が下がります(自分が同じ齢に近づいて来ると、どんなに大変な事業だったかと身にしみます)。
 家からやや離れたところにキリスト教プロテスタント系)の教会があるのですが、以前は、伝道でそこから何人かが自宅を訪れることがよくありました。2月か3月のある土曜の午前だったと思いますが、二人組の女性が現れて、「今世界では戦争が続いていて、イエス様の教えが求められています」というような話をされました。「キリスト教に興味はおありですか?」と尋ねられたので、「あまりないけど、勉強はしています」と返答したら、少し前のめりになって入信の話をあれこれするので、ふと思いついて、「田川建三さんって学者さん、ご存じですか?」と尋ねたら、「いいえ、あなた、知ってる?」「ううん、知りません」と少し当惑気味です。知ったかぶりしてもう数人名前を出すとか、意地悪にも、田川さんの所説を念頭に、聖書の記述の解釈について質問する手もありましたが、さすがに大人げないというか、「素人」のやるべきことではない気がしたので、「じゃあ、田川さんの書いたものを読んだら、またお話ししましょう」と言って別れたら、それっきり来なくなりました(苦笑)。

 3月21日には、プロボクシングの元ヘビー級チャンピオン、ジョージ・フォアマンさんが亡くなっています。1974年の10月、モハメド・アリの術中にはまってKO負けした世紀の一戦は、のちに「キンシャサの奇跡」と呼ばれましたが(もちろん「奇跡」を起こしたのはアリの方です)、この試合は確か日本でも衛星中継され、当時はボクシング・ファンだったので、ライブで観戦していて、圧倒的に攻勢だったフォアマンのKO負けにショックを受けた記憶があります。そういえば、彼は引退後キリスト教の牧師を務めたんでしたっけ。

 4月28日には名優露口茂さんが亡くなっています。刑事ドラマ「太陽にほえろ」のご存じ「山さん」ですが、このドラマの印象が強すぎて、他の映画やドラマに露口さんが出演している姿を見ると、何となく違和感を覚えたものです。本人も「太陽にほえろ」を降板して、気持ちが切れたのか、1990年代半ばを最後にドラマへの出演はなくなったようです。

 5月17日には経済学者の佐和隆光さん、19日にはロシア史・シベリア抑留研究者の富田武さんが亡くなっています。

 6月は何といってもミスター・ジャイアンツ(ミスタープロ野球という「尊称」は元々はなかったので使わないことにします)長嶋茂雄さんですが、子どもの頃、一度だけ後楽園球場(東京ドームの前)のナイトゲームに連れて行ってもらったとき、長嶋さんは確か二塁打を2本もかっ飛ばしてくれて、大盛り上がりでした。

 7月は23日、「黒ネコのタンゴ」の皆川おさむさん。タンゴのリズムを、理屈を云々する前に(歌により)肌で教えてもらった感じです。享年62歳とは。

 8月は、10日のサッカーの釜本邦茂さん。1968年のメキシコ五輪で日本が銅メダルをとった原動力。代表ゴール通算75得点も、たぶんまだまだ破られない金字塔でしょう。あのカズこと三浦知良選手(現役)でさえ55得点なんですから。

 9月は、18日に米国俳優ロバート・レッドフォードさんが亡くなっています。作品は数あれど、小生が一番好きなのは映画「スティング」(1973年)ですかね。どんでん返しの冴え、音楽、そして、ポール・ニューマンとの共演、すべてかっこよかった。

 10月は、17日の元首相で社会党委員長だった村山富市さんですが、これは少し前に書いたので略します。
「野心もなく総理になった人」 - ペンは剣よりも強く

 11月はジェームズ・ワトソンさん。DNAの二重らせん構造を発見してノーベル医学・生理学賞を受賞した学者ですが、教科書などにも「クリック・ワトソン」で名前が出ていて、ほぼ「歴史上の人物」と思っていましたが、受賞したときはまだ34歳だったんですね。今や20年前くらいの業績が評価されて受賞者が選ばれ、ご高齢の研究者しか受賞しないのに、この若さでの受賞はちょっと衝撃的です。

 12月は、22日に判明した杉田和博内閣官房副長官。故人をあしざまに言うのは本意ではありませんが、菅内閣時の日本学術会議会員任命拒否という「違法行為」に関与し、日本の統治システムを壊している件、絶対に忘れられません。
スギタさん、ご指名です - ペンは剣よりも強く
日本の統治システムの宿痾 - ペンは剣よりも強く

 おとといの12月30日には元共産党委員長の不破哲三さんが亡くなりました。
共産党元議長の不破哲三さん死去 天皇制や自衛隊容認の「柔軟路線」 [日本共産党]:朝日新聞

不破さんの国会での鋭い舌鋒と共産党議席が最も多かった時代が重なるのは遠い昔の話です。あの頃の方がよかったということもないのですが、共産党の低落ぶりと、時代の右傾化(というより、小生的には政治の下劣化)に相関があるとすれば、忸怩たる思いの党員や関係者も少なくないのではと想像します。部外者が言うのも何ですが、実質的に代表が前任者らの意向(指名)で決まるような組織のあり方から見直していかないと、「民主主義」を標榜する組織として硬直化している印象です。

 ということで、昨日までに書くはずだったことが年明けになってしまいましたが、今年も駄文にお付き合いくだされば幸いです。


⇩よろしければクリックしていただけると大変はげみになります。

社会・経済ランキング
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村