ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

トランプ大統領の緊急TV演説

 今日はごく短く。
 昼にTVを見ていたら、米国のトランプ大統領が国民向けの演説をしたというニュースがあって、「はて、何か起こったのだろうか?」と思いながら眺めていたら、内容は単なる自画自賛とバラマキの告知で、苦笑してしまいました。前日にはあるインタヴューで首席補佐官がトランプ大統領を「アルコール依存者」になぞらえて、「(トランプは)アルコール依存症者の性格を持っている。彼は、自分にできないことは何もないという考え方で行動する」と述べ、物議を醸しそうだというニュースがありました。トランプ自身は酒を飲まないそうですが、誇大妄想的なところが「アルコール依存者」的な印象を与えるということなのでしょうか。でも、私的には、トランプ大統領の嵐のような大統領令の開幕ダッシュ、つまみ食い的戦争介入と和平交渉、等々を見るにつけ、競馬で言えばステイヤー(長距離向き)ではなくスプリンター(短距離向き)、もっと言えば、彼にはこらえ性や持久性を欠くところの方が目につきます。
トランプ氏、国民に向け実績アピール 支持率低迷で“異例の演説”(2025年12月18日掲載)|日テレNEWS NNN
「トランプ氏は“アルコール依存症者の性格”」首席補佐官発言に波紋…トランプ氏「そうかもしれない」(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース

 TVを見ていて、昔の高校時代を思い出しました。正月の恒例行事でマラソン大会という憂鬱な行事がありました。男子は10㌔、女子は8㌔、学校の周りを1時間近くかけて走るのですが、外周に出る前に校内のトラックを一周します。1年生から3年生までそろってスタートなので、号砲直後はごった返します。霜が解けているので、ぬかるみに足をとられて転倒者続出ってこともありましたが、何というのか、「うぉー」とか「おりゃー」とか奇声を発しながら先頭を競い合う輩もいました。まあ、最初の150mくらいはトップを走っていますが、お約束どおり、程なく後続に飲み込まれます。終わって、閉会式の講評か何かで、体育の先生が「君たちね、最初にトップになるんじゃなくて、最後にトップになるように」と言って笑いをとっておりましたが、そもそも最後にトップを争えるような人はこういうことはしないわけで、まあ、一瞬でも目立てばいい、笑いがとれればいい、というところでしょうか。

 就任(再登板)から間もなく1年になろうとするトランプ大統領ですが、CNNの調査によれば、支持率は平均39%、不支持率は58%だそうです。「世界で最高の国になった」とか「物価高が始まったのはバイデン政権から」とか――自己賛辞と自己責任放棄(責任転嫁)の妄言を振りまきながらのTV演説でしたが、これで国民の間に高まっている不信感をぬぐい去り、支持率を回復できるのでしょうか。
トランプ米大統領の支持率は39%、経済に幅広い不満 CNNによる世論調査まとめ - CNN.co.jp

 小生には、トランプがマラソン大会で奇声を発して先頭を切り、程なく失速するランナーの姿とダブって見えます。目玉のトランプ関税も今月の裁判で違憲判決を出される公算が高く、さらなる痛手が予想されます。米兵145万人に1人当たり1,776ドル(約27万円)を給付するとの表明も、一般国民からすれば、何で兵士だけ? との思いは強いでしょう。もちろん、他の人々向けに「来年の春は史上最大の税金還付の季節になる」と述べていますが、まだ半年近くも先の話です。猶予の許されない人たちの不満や不安は解消されませんし、バラマキ以外にはほぼ打つ手がないかのようです。結局のところ、第1次政権時の汚名を晴らそうと、就任当初は矢継ぎ早に大統領令を「悪用」してロケット・スタートを切り、日替わりメニューでメディア発信を続けてきましたが、不支持率が高まるにつれて徐々にトーンダウンし、来年の中間選挙の敗北に本気で備えざるを得なくなっているということでしょう。事がうまく進んでいれば目立つこともなかったでしょうけど、首席補佐官に不用意な発言が飛び出し、これが増幅報道されるあたりにも、何やら不穏というか、政権内の亀裂を感じないではありません。

 トランプのような現代ポピュリスト政治家に、今さらマックス・ヴェーバーを引き合いに出すなど、的外れな感じですが、ヴェーバーの講演録である『職業としての政治』の結びには、政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力を込めてじわっじわっと穴をくり貫いていくような作業であり、政治家の適性として、どのような困難に直面してもあきらめず、粘り強く、「それにも関わらず!」という気持ちを強く持ち、信念に忠実であろうとすること――と書いてあります。トランプにも「情熱」と「判断力」や「信念」はありそうですが、堅い板に向き合って自力で少しずつ穴をあけていくような作業はあまり得意そうには見えません。でも、こうした資質、こうした姿勢が、政治家に必要だという思いはやはり拭いきれない。21世紀の今も、です。



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