今日も短く。
「政策通」という語がありますが、あらゆる政策に一家言をもつ政治家というのはそうはいないでしょう。日本の場合、官僚のつくった(つくらせた)作文の「読み聞かせ」をする政治家が多数ですし、一昔前などは、大臣に任命された後の記者会見で、「これから勉強します」などと発言する自民党議員が一人二人ではありませんでした。まったくひどい話です。
高市首相の場合は、ある筋によると、経済政策や国家安全保障、外交政策などに関心(造詣でなく?)が深いのだそうです。しかし、小生的には「ほんとかなぁ」という疑念もあります。というのは、今問題になっている例の「存立危機事態」発言の中で、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と、「戦艦」という単語を使ったことと関連します。すでに、識者から指摘があるとおり、これは官僚が答弁用に用意したペーパーにはあり得ない単語なので、高市自身の口から出たものと思われますが、昨日のTBSのサンデーモーニングで、コメンテーターの松原耕二氏が「戦艦大和じゃあるまいし」と失笑していたように、小生もこの発言を聞いたとき「んっ!?」と思ったのです。松原氏のコメントは他の部分にも共感したので、以下に起こして引いておきます(10'12"あたりから)。
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……あれ聞いてて、(高市が)「戦艦」って言葉を使われたときに、「戦艦大和」じゃあるまいし、もう使われてないよねと、正直驚いたというか、その言葉を見ても、練ったうえでの発言ではなかったんだろうなと思ったんですね。しかも、今(他のコメンテーターの発言で)出たように、手の内をさらけだす、明かすことは、安全保障上得策ではないし、安倍さんや麻生さんも勇ましいことというか、踏み込んだ発言をしているのは総理退任後、現職を離れたあとなんですね。そういう意味で、日中ともにクールダウンしてほしいと思いますが、高市さんが(首相に)就任されてから、強さとか、力強さを所信表明とかで何回も使われて、前面に出されてきたこととも(発言は)無縁ではないと私は思っています。
高市さんは大きな主語を好まれる。「安全保障」で言うと、健康医療安全保障とか生活の安全保障とか、いろいろなところで「安全保障」(という語)を使ってくる。そして、経済でも、明らかに個人よりも企業、労働者よりも企業の方を向いた政策に見えるんですね。たとえば、最低賃金目標がこの前事実上撤回されたり、あるいは労働時間の規制緩和を検討しろと言ったり、そういうところからも感じられるんです。つまり、個人と国家とか、個人と企業で言えば、高市さんは明らかに「大きな主語」の方を向いていて、個人という「小さな主語」の方にどれだけ思いが至っているんだろうか。一人ひとりの命という意味でも、今回の台湾有事の発言が「小さな主語」に思いが至っているんだろうか。もし、戦争が起きた場合……。私はどうしてもそういうことを感じてしまうんですね。……
台湾問題でうっかり中国の琴線に触れる発言をしてしまったことを高市は今悔やんでいるでしょう。でも、売られたケンカをすぐに買ってしまうような御仁に見えますので、すんなり発言の撤回をするようには思えません(「国益」のために折れるという対応がとれるかどうか)。中国がどこまで本気なのかはわかりませんが、もし、高市(による公式の)の発言撤回がなければ矛を収める気がないとしたら、日本渡航や留学の自粛、交流イベントの中止に加えて、日本商品のボイコット、あげくにはレアアースの禁輸まで、「制裁」のレベルを一段一段上げていくかもしれません。今は高支持率に支えられている高市ですが、ここで折れると右派は失望し、部分的にせよ離れていく層もあるでしょう。トランプと同じく、TACO-Ⅱなどと揶揄される日がくるのか。またまた正念場です。
