ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

高市所信表明演説の力点

 今日は短く。
 昨日高市首相の所信表明演説がありました。昨日のTVで報道用に短く編集された「ダイジェスト(抄録)」を見ていて感じたのは、「強い経済」とか「日本列島を強く」とか、「強(い)」という文字や語が目立つということでした。これは「強さ」を求める、というか、「強がる」「強がりたがる」高市政治の(主観的)キーターム(文字)なのかもしれません。今朝の新聞に「全文」が掲載されていたので、ざっと目を通してみましたが、高市氏が望む「強さ」はどの分野に比重がおかれているのか、試みに、所信表明の項目ごとに、「」という文字が、どういう表現や言い回しとともに、何回出てくるのか、数えてみました(ひまじーん!笑)

   項 目         頻度   表現・言い回し
 1 はじめに        4  「強い経済」「(日本列島を)強く豊かに」
                  「力強い経済政策」
                  「力強い外交・安全保障政策」
 2 経済財政政策の基本方針 2  「強い経済」
 3 物価高対策       0
 4 大胆な「危機管理投資」     「強い成長」「国土強靭化」「強い経済」
  による力強い経済成長   5  「公教育の強化」「供給構造を強化
 5 食糧安全保障      0
 6 エネルギー安全保障   1  「強い経済」
 7 令和の国土強靭化対策  1  「防災体制の抜本的強化
 8 健康医療安全保障    0 
 9 地方と暮らしを守る
  (地域未来戦略)     0
  (人口政策・外国人対策) 1  「司令塔機能の強化
  (治安・安全の確保)   3  「法規制の(を)強化
10 外交・安全保障     7  「強い沖縄経済」「強く推進」
                  「(諸国との)連携強化
                  「(韓国や諸国との)関係強化
                  「(防衛力の)抜本的強化
                  「(防衛基盤の)強化
11 憲法改正皇室典範など 0
12 むすび         1  「(日本列島を)強く

 多かったのは10です。もちろん、項目ごとの文字数(分量)がそろっているわけではありませんし、「進める」とか「取り組む」とか「構築する」とか、別の言い回しを「強める」とか「強化する」と表現しても、特段文意が変わるわけではありません。それらを留保した上で、機械的かつ短絡的ながら、この所信表明演説外交・安全保障経済成長に特に「強化」の力点をかけている感じがします。なるほど、と思いつつ、それは逆に言えば、これらが思いどおりに進まなければ(あるいは世論の批判が高ければ)、「強がりたガール」お得意の「つくり笑い」がひきつるということかなとも思います。
 本人は今日から外交デビューでクアラルンプールに飛びました。来週はトランプも来日して、外交日程が目白押しですが、TVでは「安倍の後継者」とか「安倍外交の踏襲」をアピールする報道が目につきます。げんなりしますが、今後も御用メディアを使って、いろいろな「演出」をしてくると思います。よーく「本質部分」を観察しないといけないと思います。

 ひとつ、高市氏の所信表明の中で不快に思ったことを追記します。彼女は「この内閣で最優先で取り組むことは、国民の皆さまが直面している物価高への対応です」と述べています。他方、「北朝鮮による……拉致問題はこの内閣の最重要課題です」とも述べています。「最優先課題」と「最重要課題」――役人たちは2つのニュアンスの違いを感じとるんでしょうけれど、普通の国民にとっては同じ重要度、同じ優先事項に響きます。小泉親父が北朝鮮と交渉して拉致被害者が帰国したのが2002年の10月。まだ消息不明の人が何人もいるのに、それから今年で23年。内閣が替わるたんびに毎回毎回よくもこういうことを堂々と宣言できるものだと思います。
 「全ての拉致被害者の一日も早いご帰国を実現するために、あらゆる手段を尽くして取り組」むんだったら、かりに拉致問題の解決を物価対策よりも「優先課題」に据えたって、文句を言う人ばかりとは思えないのですが。23年ものあいだほぼ前に進めていない外交問題を、24年めもなお棚上げにしたまま、「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」などありえないでしょう。




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