昨日の毎日新聞に、大阪・関西万博のパレスチナのパビリオンでスタッフを務めた2人の日本人学生のインタビュー記事がありました。二日続けてになりますが、若い人の声に励まされる思いです。
それぞれの万博:/4 パレスチナに連帯を 私たちは中立でいられない | 毎日新聞
山中さん:……イスラエルがガザ地区に侵攻していることは知っていました。ただ、スタッフとして働き始めた頃はどちらが守られるべきかを比較せず、「中立」でいる方がいいと思っていました。……
来場者からは「イスラエルとパレスチナ、どっちが悪いの」とよく聞かれます。それで本を読み始め、5、6月はとりつかれたように勉強しました。
40冊ほど読み、パレスチナが舞台の映画「ノー・アザー・ランド」も見て、イスラエルによるパレスチナへの入植が先住民を標的にした非合法な行為だと知りました。
それまでは、日本は双方の軍事行動に対して自衛隊を派遣せず、パレスチナの支援もしているから「中立」だと思っていました。でも、欧州諸国や日本はかつて植民地支配をしてきました。それが繰り返されたかのように、イスラエルが入植したことを知りました。
また、日本の公的年金で積立金の運用先の一つにイスラエルの軍事企業が含まれているほか、防衛省がイスラエル製ドローンの採用を検討していると知りました。日本が加担側だとは思ってもいなかったし、自衛隊が派遣されていないことを「中立」だと考えていた自分がショックで情けなく感じました。
問題がある中で「NO」と言わないのはおかしい。万博は大きな学びの場です。世界的な問題に自分が関わることになり「中立という立場はありえない」という一生ものの視点を得ました。
柳さん:2023年10月以降、日本の報道を見てパレスチナ側が悪いのではないかと思っていました。
でも、翌11月に留学先の中国でフィンランドの女性ジャーナリストと知り合い、話を聞いて衝撃を受けました。70年以上前からパレスチナ人はイスラエルによって土地を追われ、殺されたりしてきたからです。
パレスチナのことをみんなに伝えなくてはとSNS(交流サイト)で発信するようになりました。
24年3月には米ニューヨークで開かれた国際NGOの会議に参加し、住んでいた場所を追い出されたというキリスト教徒のパレスチナ人に出会いました。イスラエルの主張に聴衆が抗議する場面にも遭遇しました。
社会運動に対してよく思っていなかったのですが、パレスチナに連帯を示すデモを目の前で見て、人々のスピーチに共感しました。世界中がパレスチナに連帯している理由を実感し、帰国後にデモなどに関わるようになりました。
でも、それから1年たっても現地の状況は深刻化するばかり。どれだけ街頭から声を上げても、日本の人たちがパレスチナに関心を持つのは難しいと感じていました。
そんな無力感に陥る中、万博スタッフ公募を知り「文化や伝統を通して伝えるなら、関心を持ってもらえるかもしれない。やるしかない」と思ったんです。
パビリオンから世界に平和を訴え、多くの人にパレスチナへの関心を持ってもらえたことを誇りに思います。万博が終わっても、パレスチナへの共感を広げる活動を続けたいです。
……戦争やジェノサイド(集団虐殺)は差別や排斥の積み重ねの上に起きています。「中立」とは、それらを黙って肯定すること。「社会に必ず存在する差別や暴力に反対し、過去に対する責任と向き合う営みこそが平和だ」とパレスチナを通して実感しています。……
記事の見出しは「私たちは中立ではいられない」でした。中立思考は必要ですが、判断と行動は別です。それに「中立」を現状維持(追認)や傍観、行動しないことの口実(隠れ蓑)にしてはいけないと思います。
今朝の新聞を見ると、ワシントン・ポストの10月初旬の記事が紹介されていて、米国内のユダヤ系を対象にした世論調査によれば、61%が「イスラエルは戦争犯罪を犯した」と回答。ネタニヤフ首相に対しても否定的な評価が48%(肯定的は32%)で、5年前と比べて20ポイント以上上昇しているとのこと。「身内」とは言わないまでも、多少の「贔屓目」があっても不思議のない人々のあいだでさえ、もはやイスラエルを支持(贔屓)できないという人は増えているわけです。
クローズアップ:イスラエル批判背に 主導権 | 毎日新聞
9日、ハマスとイスラエルの停戦が合意されました。何としても全面的な戦闘終結へと進まなければなりません。
