ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

伊東市長の選択

 今月1日に不信任が決議された伊東市の田久保市長は、昨日(10日)辞任ではなく議会解散を「選び」ました。どういう見通し(打算)をもっているのか、まったく首をひねるばかりです。
 選挙とは別に、学歴詐称については刑事告訴もされています。弁護士によると、「『卒業証書』が真正であることを証明できない限り、ほぼ詰んでいる状況」という話です。大学が彼女に卒業証書を発行した事実はないのだから、これは「詰み」で投了(のはず)です。三葛敦弁護士の話からの引用です。
田久保市長「議会解散」も…犯罪成立で“失職”不可避? 「疑惑の卒業証書」押収は“時間の問題”【弁護士解説】 | 弁護士JPニュース

 ……「卒業証書」とされる書類の百条委員会への提出を市長が拒否した点について。

三葛弁護士:「百条委員会への提出を拒絶できる『正当な理由』は、刑事訴追のおそれがある場合などが考えられます。
 田久保市長の場合は、現状、公職選挙法の虚偽事項公表罪(同法235条1項)等の疑いで刑事告発が行われています。
したがって、刑事訴追のおそれが生じており、証言を拒絶する正当な理由が認められる可能性は十分に考えられます」

 議会は、いかに百条委員会とはいえ、田久保市長が『卒業証書』の提出を拒絶した場合、強制的に押収などをすることはできない。
 しかし、三葛弁護士は、本件については刑事告発が行われていることから、「卒業証書」とされる書類は結局、捜査機関により強制的に差し押さえられることになる公算が高いと指摘する。

三葛弁護士:「警察・検察は捜査の過程で、田久保市長に対し『卒業証書』の任意提出を求めるとみられます。もしこれに田久保市長が応じなければ、捜査機関は裁判官の発する令状(捜索差押許可状)を得て、強制的に捜索・差押えを行うと想定されます(刑事訴訟法218条1項前段)。
 その際、『卒業証書』を預かっているとされる弁護士が、押収拒絶権(刑事訴訟法222条1項、105条)により拒絶する可能性が示唆されていますが、大学を卒業したか否かは『秘密』にあたらず、そもそも拒絶できないと考えられます。
 結局、遅かれ早かれ、田久保市長は『卒業証書』の内容が捜査機関に把握されるのを避けることはできないでしょう。
 そして、もし『卒業証書』が偽物だったとなれば、刑事責任を免れるのは難しいでしょう。特に虚偽事項公表罪(同法235条1項)については、前述したように、有罪となれば、当選は無効となり、公民権が停止されます。仮に、解散後の選挙で自派の候補者を多く当選させ、市長職にとどまっても、結局は市長職を失うことは避けられません」

 ここに至っては、田久保市長は、「卒業証書」が真正であることを証明できない限り、ほぼ詰んでいる状況といわざるを得ないということだろう。

 警察などのレベルとは全然ちがいますが、小生も学校で子どもが何かトラブルが起こすと「事情聴取」をすることがあったので、子どもが話しているうちにウソを言って、辻褄が合わなくなる(懸命に辻褄合わせをしようとして矛盾だらけになる)パターンをいくつか見てきました。みんなだいたいよく似ています。
 思うに、もし、市長がウソをついていないのだとしたら、自分がそれまで信じて疑わなかったはずの「卒業証書」が偽物だとわかった時点で、(自分が偽造したのでなければ)どうしてそれが今自身の手元にあるのか、不思議に思って調べるのではないか。あるいは、自分の力だけで無理となれば、他人から話を聞いたり、一緒に調べてもらったりするのではないか。
 しかし、市長がしたのは卒業証書の隠匿(保管)でした。しかも、自分のところではなく顧問弁護士のところにです(上のあるように法律上は簡単に押収されないからでしょうか)。当人は刑事訴追される恐れがあるから(「隠した」=見せない)と言っていますが、因果はむしろ逆で、「隠す」(見せない)から刑事訴追されているわけです。

 むかし、学校で事情聴取をしていたら、自分は口だけだったら誰にも負けないと「豪語」している生徒がいました。そうではないぞ、大切なことを見失わないようにという気持ちで、その生徒とは接してきたつもりですが、これは当人の性格だけでなく、ある種の世相や文化を反映している気もします。さすがに「ああ言えば上祐」は古すぎですが(笑)、「論破王」とか、弁が立つことが重宝されます。最近は、論破どころか、言葉の浪費・無駄遣いかもしれません。しかし、市長の場合、弁が立つとか、言葉の浪費というより、単に依怙地なだけでしょう。個人ならば看過できても、それが伊東市6万1,000人超の市民を代表し、行政の舵をとるべき公的立場にある人間としてどうなのか、厳しく問われなければならないと思います。

 毎日市役所で取材してきたという記者とのやりとりも見ました。詰め方がもうちょいなところもありますが、おそらく多くの市役所職員や市民の声を代弁していたと思われます。
毎日通った記者「田久保市長による印象操作に聞こえた」「職員の人たちから聞いていることと全然違う」“矛盾”を追及 伊東市長「遺憾」「心外」 | 国内 | ABEMA TIMES | アベマタイムズ

 しかし、他県からは市長がまったくの「四面楚歌」に見えても、市長が辞職でなく議会解散を選ぶのは、実際の伊東市民の思いが、外部者が理解するのと違って、そう単純ではないからでしょう。
【真相徹底解説】田久保真紀・伊東市長「学歴詐称疑惑」…伊東市民は何を感じ、何を語ったか?市民の声・経緯まとめ(2025年最新版)

 どういう結末となるのかは多くの人にとってほぼ予見可能ですが、それで多くの伊東市民の気持ちが晴れるわけではないことは心に留めておかないと、と思います。



 
社会・経済ランキング
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村