「ならず者」――「手に負えない者、素行の悪い者、ごろつき、無頼漢……」。
「Desperado(ならず者)」という歌があります。イーグルスの曲ですが、カーペンターズもカバーしていて、個人的にはカレンが唄っている方が好きです(年代が知れてしまいますが 笑)。
- YouTube
「ならず者国家」というのもありましたが、こちらは「desperado」ではなく「rogue(state)」という単語が当たっています。辞書的には「悪漢、ごろつき、悪党、不良、詐欺師」。「非倫理的で、素行が悪く、人を欺く」という意味合いです。「desperado」は歌のように「西部開拓」時代の「無頼漢、無法者、ごろつき」というニュアンスがあるのかもしれません。私的には、今の米国政府(とイスラエル政府)にこの「ごろつき」のイメージがぴったり重なります。大統領はまさしくその権化です。
おととい米国の連邦地裁は、トランプ政権がハーバード大学への研究助成金を凍結したのは違法だとする判決を下しました。政権側の決定は「専制的かつ気まぐれ」だと言っています。また、議会に承認された今年度の対外援助予算を一方的に削減するのも無効として、拠出が命令されました。
ハーバード大の助成金停止は「違法」 連邦地裁が執行停止 | 毎日新聞
米政権の一方的な対外援助削減、連邦地裁が無効として拠出を命令 | ロイター
同日、トランプ政権は「相互関税」を違法とした連邦高裁の判断を不服として、最高裁に上訴したそうです。毎日新聞では、今日の4面のハーバードの記事の上にあります。
トランプ米政権:関税敗訴なら「合意解消も」 トランプ政権 最高裁に上訴 | 毎日新聞
トランプ米政権は3日夜、政権が発動した「相互関税」などを違法だとした連邦控訴裁(高裁)の判断を不服とし、最高裁に上訴した。米主要メディアが報じた。トランプ大統領はこれに先立ち、最高裁で敗訴すれば日本や欧州連合(EU)、韓国などと結んできた貿易交渉の合意を解消せざるを得なくなる可能性があるとの認識を示した。
AP通信によると、上訴の書面は3日夜に電子申請で提出され、4日に正式に受理される見通し。トランプ政権は、高裁判決について「大統領が過去5カ月間関税を通じて進めてきた対外交渉に不確実性の影を落とし、既に合意された枠組み協定と進行中の交渉の双方を危険にさらしている」などと批判。大統領には一連の関税措置を課す権限があると速やかに判断するよう求めているという。……
高裁は8月29日、トランプ政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき相互関税を発動したことについて、「大統領令によって関税を課すことを認めていない」との見解を示した。米国への合成麻薬の流入対策が不十分だとしてカナダ、メキシコ、中国に課している制裁関税もIEEPAが根拠となっており、同様に違法と判断した。
国防総省を大統領令で「戦争省」に(通称として)「改称」するという話もあります。意味がわかりません。
トランプ氏、国防総省を「戦争省」に改称へ ホワイトハウス 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
そもそも切迫した事情などないのに、当たりかまわず大統領令を出して命令に従わせるというやり方が、違法であるのはもちろん、思い上がりも甚だしい。「相互関税」の件は、自分の息のかかった判事がいる最高裁なら逆転が見込めると思っているのでしょうか。米国の三権分立の真価が問われます。
たまたま読んでいた古本にこんな一節がありました。反ユダヤ主義者に対するサルトルの言ですが、ああ、これはトランプ(とその支持者)のことだ、と思いました。
……今、わたしは、反ユダヤ主義者達の「言葉」をいくつか並べたが、それは、みんな馬鹿気ている。「わたしは、ユダヤ人が嫌いだ。なぜなら、召使を無規律にするからとか、ユダヤ人の毛皮屋が、盗人同然だから」などなど。だが、反ユダヤ主義者達が、これらの返事の無意味なことに全く気付いていないと思ってはならない。彼等は、自分達の話が、軽率で、あやふやであることはよく承知している。彼等はその話をもてあそんでいるのである。言葉を真面目に使わなければならないのは、言葉を信じている相手の方で、彼等には、もて遊ぶ権利(原文傍点)があるのである。話をもてあそぶことを楽しんでさえいるのである。なぜなら、滑稽な理屈を並べることによって、話相手の真面目な調子の信用を失墜できるから。彼等は不誠実であることに、快感さえ感じているのである。なぜなら、彼等にとって、問題は、正しい議論で相手を承服させることではなく、相手の気勢を挫いたり、とまどいさせたりすることだからである。……
以上のように反ユダヤ主義者が、理論も経験も撥ねつけるからといって、その信念が固いという証拠にはならない。むしろ、まず、なにもかも撥ねつけることに決めてしまったから、信念が固くなったのである。……
(サルトル、安堂信也訳『ユダヤ人』、岩波新書、18-19頁)
トランプはこういう差別主義者たちの上に乗っかているということでしょう。アメリカよ、しっかりしてくれと思います(こういうのはすぐに天に唾するように反転しますが)。
冒頭の「Desperado」は曲も歌詞も悪くありません。引用などすると「あてつけ」になりますが、そうではなく、人間、自らを閉じ込めてきた「牢屋」から自分の力で出ないといけないときがあるでしょう。みんなそうだと思います。
ならず者よ
目を覚ましたらどうだ?
お前は自分の世界に閉じこもってる
長い間ずっと
ああ お前は頑固な奴だ
でも分かってる お前なりの理由があるって
お前が好きでやってる事が
どういうわけか お前を傷つけたりもする
…………
自由 自由と
人はよく言うが
この世界を一人で歩くなんて
牢獄にいるのと同じ事だ
…………
ならず者よ
目を覚ましたらどうだ?
閉じこもった世界から出てこいよ
扉を開けるんだ
雨が降るかもしれないが
お前の上には 虹がかかる
お前は誰かに愛された方がいい
お前は誰かに愛された方がいい
手遅れになる前に
デスペラード Desperado 歌詞の意味 和訳 ならず者 イーグルス
