学歴詐称問題で知名度が全国版となった静岡県伊東市の田久保市長。昨日、拒んでいた百条委員会に(「準備」が完了したのか)ようやく出頭して証人尋問に臨みました。ばかばかしい話ですが、例の「卒業証書」はチラ見せではなく、19.2秒(もの時間)見せたと証言しました――いや、知りたいのは、何秒間見せたかではなく、卒業証書が本物かどうか(ほぼ偽物だと思われるので)、もっと言えば、市長は嘘をついてるかどうか、です。論点ずらしがあまりに「衝撃(驚愕)」的で、巷に嘆きと呆れと、それ以上に笑いのネタまで提供してくれています。
田久保伊東市長の〝劇場〟がお茶の間かく乱… 新パワーワード「約19・2秒」が大喜利誘発 | 東スポWEB
今後に向けて何か意味のある証言があったわけではなく、失礼ながら時間の浪費というか、市長側と議会側の双方にとって「(尋問を)やった」というアリバイになっただけという感じがします。小生個人としては、「19.2秒」の部分にだけ関心が集まって、「独り歩き」するのはよくないと思い、証言の他の部分も見てみようと動画を少し拝聴したのですが、はっきり言って、これは(視聴するだけ)時間の無駄でした。たとえば、証人尋問のやりとりはこんな感じの繰り返しです(逐語ではありませんが)。
委員:あなたは自分が卒業していないのを知ったのは6月28日だと発言されましたが、それまでは自分の最終学歴は東洋大学……卒業であると認識していたということで間違いありませんか?
市長:私が除籍である事実、つまり卒業ではないという事実を知ったのは6月28日、大学を訪れた時ということになります。以上でございます。
委員:私がきいているのは、あなたは卒業したと思っていたかどうかということであって、大学に行って除籍と聞くまでは(自身が)卒業していたと認識していたのかどうか、YesかNoかでお答えいただきたい。
市長:繰り返しの答弁で大変恐縮ですが、私が除籍である、つまり卒業していないという事実を知ったのは6月28日になります。以上でございます。
委員:これ以上きいても変わらないと思いますので、おいておきますが……。
尋ねられていることに答えようとしない田久保市長は言わずもがなですが、尋問する(議員の)側も、こういうのに慣れていないせいか、質問や突っ込みが(個人的に)イマイチと思えるものがありました。市長が今金庫に隠していて、表に出さない卒業証書(なるもの)が偽物(偽造)であることはほとんど確定的なのですから、あえて東洋大学の本物の卒業証書(のコピー)を示して、それとの異同や感想を求めてもしょうがないのではないか。あとで偽証を問えるという意図なのかもしれませんが、市長の方は「わかりません」「何とも言えません」など、曖昧な答えをするのは目に見えています。実際、市長の答弁(感想)は「問題なし」でした(はっ?)。
需要があれば供給するし、需要がなければ需要をつくる――商品経済の「鉄則」みたいな話で、近年の(商業)ジャーナリズムもこれと無縁ではありませんが、昨日の百条委員会の件は、物好きや野次馬向けでなければ、報道(供給)する価値はほぼなしというべきでしょう。実際、今朝の毎日新聞にこれに関する記事は見つかりませんでした。
紙面をぺらぺらとめくっていて、上の件とはまったく関係のない国際面の記事が目に留まりました。米国のジーンズのCM動画に登場する白人女性のシドニー・スウィーニーさんが「ジーンズ(jeansとgenes=遺伝子をかけている)は親から子へと受け継がれ、多くの場合、髪の色や性格、目の色といった特徴を決定する。私のジーンズは青い……」「シドニー・スウィーニーは、素晴らしいジーンズを持っている」という語りが「優性思想を想起させる」と物議を呼んでいるという内容です。言葉遊びの延長と言えなくもないですが、優性思想に対する「問題意識」があれば、こうした文言をもってきたりはしない気もします。波紋が広がったのは、バンス副大統領やトランプ大統領ら政権のトップが、これを優性思想と批判するのはリベラル側の過剰反応だと、相次いで「加勢」したせいもあるでしょう。記事の中にはこうありました。
米国:ジーンズ広告、米で物議 親から受け継がれ、目の色を決め、私のは青い 「白人優位の思想想起」の声 | 毎日新聞
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……ホワイトハウスが参戦すれば、多くの報道番組に飛び火する。ソーシャルメディアが分断と対立をあおる起爆剤ならば、追随する旧来のマスメディアはそれを固定化する装置だ。……
小生もその通りだと思います。この意味で、毎日新聞が今朝の朝刊で、昨日の伊東市の百条委員会での田久保市長の証言について、報道すべき価値を見出せず、記事にしないと判断したのは、報道機関として正しかったと思っています。
