小生は男性の平均からすると長身で、この前病院で身長を測ったら前より伸びていて、看護師さんと笑ってしまいましたが、いいこともありますが、そうでないこともいろいろあります。世の中の多くのものは「標準体型」をもとにつくられているので、間尺に合わなくて困ることがわりとあるのです。たとえば車です。「普通の人」は停止線で車を停めて前を見れば信号機が見えるはずですが、小生の場合、前かがみにならないと見えません。大昔の話ですが、道に迷ってあたりをきょろきょろしながら運転していて、赤信号に気づかず、隣に座っていた人をドッキリさせてしまったことがありました(これ、本当に危ないのです)。
むかし学校で、「せんせー、身長高くていいなぁー」と子どもが言うので、「いいことばかりじゃありませんよ。寝てると布団から足がはみ出ますしね。電車で吊革につかまってると、外の景色が見えなくてレールしか見えませんし(今の電車は見えますけど)。蛍光灯が切れると、いつも取り換えてくれって言われちゃうんです」と言ったら、「それは意味が違う!」と笑われてしまいました。もう30年以上も前の話ですが……。
今朝の毎日新聞に「GI=ジェンダー・イノベーション(性差を考慮した研究開発)」の記事がありました。警察庁のデータによると、普通乗用車を運転中に事故に遭うと、女性は男性より1.45倍ケガをしやすいそうで、その原因は車の衝突テスト用のダミー人形が、標準的な男性の体格を基準につくられているからだという指摘があるそうです。こういうのも、研究部門に男性の方が多くて、なかなか女性の視点が入ってこなかったことの反映と思われます。GIの提唱者とされるロンダ・シービンガーさんは、インタヴューでこう言っています。
BeMe~私らしく:安全便利、あらゆる人に 「性差を考慮した研究開発」を提唱 ロンダ・シービンガー教授 | 毎日新聞
――日本では研究者に占める女性の割合が経済協力開発機構(OECD)諸国の中で最低ですが、GIの普及に影響があると考えますか。
◆GIは女性研究者のためだけのものではなく、男性研究者も大学院生の段階で学ぶべきです。
女性研究者を増やすには、組織や制度を女性やあらゆる人を歓迎するものに変えなければなりません。ワーク・ライフ・バランスを支援する制度を導入し、優先する研究課題をGIの視点があるものに変えていく必要があります。
――GIは性差を考慮した研究開発を進めますが、性差に着目しすぎることで「女性はこういうもの」「男性はこういうもの」というステレオタイプを強めるリスクはありませんか?
◆「差異のジレンマ」と呼ばれる問題です。確かに性差やジェンダーを強調しすぎるとステレオタイプを助長しますが、一方で、完全に無視すると無意識の思い込みが再生産される恐れがあります。特に医学の分野では、長らく男性の身体が基準とされてきたため、男性と女性の違いを考慮した研究は重要です。
例えば、心臓発作は男女ともに胸痛が一般的な症状ですが、特に若い女性は発作を起こしても症状がないことや、胸痛よりも吐き気、めまい、息切れなどを経験することが多いとされています。このような違いを認識していないと、誤診や治療の遅れにつながるリスクがあります。
――GIは女性だけでなく、男性、またあらゆる人にとって恩恵があるといいます。
◆私たちが集めた事例の中には、これまで男性が十分に研究対象とされてこなかったものも含まれています。一例が骨粗しょう症です。一般的に女性は閉経後に60代以降で発症し、男性は70代で発症します。男性は女性に比べて患者数は少ないものの、骨折後の死亡リスクの上昇がより大きいとされています。男性の骨粗しょう症の診断や治療の必要性に光を当てることで、新たな研究の機会が生まれ、医療機器の開発などにもつながります。
今、GIは性差だけでなく、年齢や人種、民族、社会経済的状況、障害などについても分析するよう発展しています。身近にある技術や医療を、誰にとっても安全で使いやすいものにすることが、イノベーションを生み出します。
骨粗しょう症の話などは亡くなった小生の父親に当てはまるので納得できます。
自分が「当たり前」だと思ってきたこと、「常識」だと思ってきたことが、実はそうでもなかったという経験は、多かれ少なかれ誰にでもあるでしょう。GIもその一環だと考えれば、その意義は明らかです(実際「実益」もあります)。問題なのは、普通の人には「なるほど」と思えるこうした動向が、自分に損に働くと思うと、背を向けて、既得権益やメンツを守ろうとする向きがあること、さらに悪いのは、そのために(何だかんだと理由をつけて)これを阻止せんと動く者がいるということでしょう。
それにしても、GIとは違いますが、日本の乗用車のフロントガラス、もっと(上側に)広角にしてくれないものですかねぇ(笑)。
