ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

石破おろしと自民党

 「石破おろし」――むかし「三木おろし」というのもありましたが、自民党の伝統芸(お家芸)のひとつです。もちろん、石破さんが自民党の総裁はやめるけど、首相は辞めないってことはあり得ないので、日本政治は重大局面に瀕しているわけですが、TVに出てくる自民党政治家たちが真顔で「選挙で敗北した責任をとらなければならない」「けじめをつけるべき」などと話す(叫ぶ)姿を見ていると、まあ、どっちらけと言うか、「よさこい節」でも歌っとけや、と思います。

 自民よいとこ 選挙をうけて 石破おろしがそよそよと
 はあ よさこい よさこい
と……

 というのも、たとえば、口火を切った自民党青年局の中曽根康隆くん(あえて「くん」付けにしておきますが)などは去年3月、例の「過激」ダンスショーが問題になって、当時の青年局長とともに役職(局長代理)を辞任したはずでしたが(驚くべきことに同じ年の11月には局長に就任しています。これって選挙で当選したから禊ぎが済んだってことでしょうか?)、それからまだ一年余です。言葉はよろしくないですが、「一体どの面下げて」、「お前が言うか」……といった反応が出てくるのは当然です。これは彼らの意思だけでなく、バックがいる話だと思いますが、小生も強烈な違和感を覚えました。
「石破降ろし」の自民党青年局に「退陣要求する資格なし」「究極のおまゆう案件」 過激ショー問題掘り返され冷ややかな声:中日スポーツ・東京中日スポーツ

 昨日のテレ朝の「モーニングショー」の出演者のコメントも同様で、菊間千乃さんは「見ていると、すごく気持ちが悪い」と表現していました。これは小生もTVで見ていました。菊間さんのお隣の玉川徹さんのコメントは以下のとおりです。
石破おろしに狂奔する裏金議員ら痛烈批判 菊間千乃「気持ち悪い」、玉川徹「誰が自民の信頼を地に落としたか」: J-CAST ニュース

「誰が自民党の信頼を地に落としたんだと国民は思っているから、世論調査にも表れているんじゃないですかね。世論調査で(石破辞任と続投)はだいたい半々ぐらい。さらにいえば、朝日新聞の調査だと、自民党支持層では7割が辞めない方がいいと言っているわけですよ。こういう状況で、裏金議員とかは猛々しいんですけど、(石破首相を)引きずりおろしたら、どうなりますかね、世論は。自民党に対してさらに厳しくなるんじゃないですか」

 同じくテレ朝の昼の「ワイド!スクランブル」には裏金問題で自民党を離党した世耕弘成氏が出演。石破首相に退陣を迫るとともに、復党への思いをにじませていました。
旧安倍派「5人組」世耕弘成氏、石破首相の退陣求める「選挙結果を見れば交代しないといけない」(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

 世耕氏について言えば、安倍派で一時取りやめることになっていた「還付金」の復活が、いつどこで決められたのかについて、参考人質疑で「自分も(真相を)知りたい」などと(心にもないことを)述べていましたが、その後自ら(の責任で)調査して事実を明らかにするでもなく、事務総長などの証言との食い違いもそのまま放置です。こんなんでも、中曽根くんが青年局長になったのと同様、復党(名誉回復?)させるんですかね。この方、俺だって総理大臣候補だと(まだ一人で)リキでいるわけでして、何というのか、はあ、よさこいよさこい……です(ええじゃないか、ええじゃないか、みたいになってきましたが 笑)。

 評論家の古賀茂明さんは昨日付のAERAでこう書いています。
立憲・共産党支持者が「石破辞めるな!」と叫ぶ異常事態…参院選の自民党大敗の原因は「裏金議員」と「アベノミスクの失敗」である 古賀茂明 | AERA DIGITAL(アエラデジタル)

……今回の自民党大敗の最大の原因は何かについては、色々な要素があるが、なんと言っても、裏金問題が大きいということを否定する人はいないだろう。
 例えば、自民党の比例候補で最終当選者となって話題になった鈴木宗男氏は、「選挙期間中、全国を歩いて『裏金問題のけじめがついていない』と非常に厳しい声があり、去年の衆議院選挙や今回の参議院選挙の結果につながったと思う。明確な責任を取らない連中が石破総理大臣に反発するような話は、すり替えの議論で、短絡的に『悪い』と言うのは拙速だ」と述べている。極めて真っ当な論だ。
 裏金問題や「ひめゆりの塔」歴史歪曲発言で世論の厳しい批判を浴びた西田昌司参議院議員は、「筋から考えて首相は責任を取られるべきだし、新しい総裁を選ばなければならない。国民から見放された人が、次々モノを言っても信頼性がない」と石破辞任説を唱えているが、裏金問題の最大の責任者といえば、安倍晋三元首相と旧安倍派の議員たちだ。西田氏もその代表格である。自らの責任を明確にしないまま石破氏一人に責任を押し付けている典型例だ。

■民意は「失われた30年と安倍政治へのNO」
 自民大敗のもう一つの主要な原因として忘れてならないのは、国民の物価高対策への不満である。これも異論のないところだろう。
 特に、野党が要求する消費税減税をバラマキだとして拒否し、当初給付金もやらないと言っていた石破首相が選挙直前になって、一転して給付金を配ると言ったことが、選挙目当てで国民の生活のことを真剣に考えたものではないという強烈な拒否反応を生んでしまった。
 これを批判するのは間違いではない。しかし私は、人々が、過去数十年にわたって、ほとんど成長できなかった日本という現実にようやく気づき、物価が上がるのに、賃金はほとんど上がらない、いや、上げられない経済状況だという事実に気づいたということが大きいのではないかと見ている。物価が上がっても、それ以上に賃金が上がっていれば、これほど生活が苦しく感じられることはなかったはずだ。
 アベノミクスで不動産と株価は上がったが、賃金の方は、デフレ脱却までもう少し待ってと言われ続けた。そして、ついに物価が大きく上昇してインフレ時代になったが、実質賃金は今も下がり続けている。これからも、高い賃上げを続けられるような産業の競争力はない。将来は非常に暗い。今までのやり方を大きく変えるしかない。そのためには、自民党政治を止めるしかない。ということに国民が目覚めた結果が今回の選挙に表れたのではないだろうか。
 つまり、失われた30年の間の自民党政治全体、そして、裏金などを含めて、ダメ押しのように国民を欺き続けた安倍政治とそこから脱却できない安倍後継の指導者たちへの強烈なダメ出しというのが自民大敗の原因だ。
 それを象徴的に表せば、今回の参院選で表された民意とは、「失われた30年と安倍政治へのNO」ということになる。

 自民党の支持層にしても、「右より」は参政党や保守党に、「左より」は国民民主党にと票が流れて(この分析が正しいとすれば、ですけど)、党の支持基盤に「溶解現象」が起きています。古賀さんが懸念するように、今後「右より」ばかりが集まって連立政権が生まれる危険性はありますから、これだと、まだ石破政権の方が「まとも」だと思える人が多いのも無理からぬところはあります。
 こんな状況で人気とりが現れては消え、現れては消え、で……(きちんと)責任をとる人(だけ)は「消えていく」では、ほんとにいかんなと思います。「(真の)リーダー」は必要だけれど、「(見せかけの)ヒーロー」はいらないです。




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