ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

信用失墜行為

 女子児童の盗撮画像を交流サイトで共有していた小学校の教員が相次いで逮捕された事件が、昨日からトップニュースです。今朝の新聞の社会面の見出しなどには「盗撮仲間の教員……」などと書かれていて、一体集まって何をしているのかと、驚き呆れるばかりです。
校外学習で盗撮も 約10人で画像など共有か 容疑で逮捕の教員ら | 毎日新聞

 お決まりのように、子どもの「心のケア」などという話が出てきますが、やや首を傾げたくなります。身近な友だちが事故などで亡くなったショックと、これは明らかに異質なものでしょう。子どもたちにとっては、この事件によって心的外傷を負ったというより、信用し頼りにすべきあてを失う虚無感とか人間不信に近いものではないかと思うのです。これは、たとえば心理カウンセラーなどが子どもから話を聞くというような方法でどうにかなるものなのか。今度、知人の現役教員や管理職を務めている人に訊いてみるつもりですが、想像するに、子どもだけでなく、当該教員の学校で(たまたま)同僚として働く教職員(管理職を含む)の「(心の)ケア」も考慮すべきではないかと思うのです。中には(自分は参加しなかっただけで)同僚のこの行為を知っていた者がいたかもしれませんが、多くの教職員にはおそらくは寝耳に水で、緊急に保護者会を開いて説明するといっても、そこで教職員の「連帯責任」を問うわけにもいかないでしょう。子どもが第一といっても、他の多くの教職員だって、言ってみれば「被害者」なのですから。
 テレビを見ていると、ある識者は、個々の教職員の意識(善意)により、こうした事件が起きないような学校にするのではなく、起こらないシステム(見えないところでは生徒と関わらない?)をつくるべきで、管理職(校長)はその上で「安心できる学校」であることを子どもたちや保護者に発信していくべきだと述べていました。わかるんですけども、個々の担任からすると、子どもとの関わりや相談を常に(すべて)ガラス張りにはしづらいと思うんですよね。全体指導も個別指導も両方ありますから。これは、学校現場で実際に子どもと向きあっている教職員と、やりとりを重ねながら策を見出すしかないと思います。
 そして、そもそも論ですけど、子どもたちが普段から、こういうケース(おとな)は極々まれで、ほとんどのおとなは信頼に値するんだと、そう思ってくれるような社会や環境なら、過度に心配しなくて済むかもしれませんが、実際問題、そうはなっていないから困るのです。

 たとえば、今朝の毎日新聞の一面真ん中あたりに、去年の衆院選挙で裏金事件に関与したため、自民党から非公認となった候補者のうち、萩生田光一ら3人が、自らが支部長となっている党支部の資金を選挙費用で使っていたとの記事があります。「ああ、またあいつらか」「やっぱりなぁ」と一般の人は思うでしょう。
 思い起こすに、自民党衆院選前、非公認の候補が代表を務める党支部に(も)2,000万円を支給していた事実が発覚したとき、石破さんは「党支部に出しているのであって、非公認候補に出しておるのではございません」と断言していたわけで、(今に始まったことではありませんが)全然言ってることとやってることが違います。
リンダか 黒べえか 自民党非公認候補に2000万円 - ペンは剣よりも強く

萩生田(事務所)などは取材に対し、「法令を遵守し適正に行っています」などと回答していますが、選挙活動に使ってはいけないとされた金を使って当選したんですから、自民党は当然彼らを処分するんでしょうね。今日の「社会面」の記事からの引用です。
24年衆院選 政党支部=個人の財布 裏金非公認自民3氏、選挙に党資金 | 毎日新聞

 裏金事件に関与した責任を問われ、2024年衆院選に無所属で臨んだ自民党の3氏が、非公認になることが決まった後に、自らが支部長を務める党支部の資金を選挙費用に充てていた。そこから浮かび上がるのは、政党支部が「政治家個人の財布」と化している実態だ。……
……政党支部の大きな特徴に、政治家個人には禁止される企業・団体献金の受け取りが可能なことがある。
 このため、政党支部の代表を務める政治家への企業・団体献金の抜け道になっていると批判されている。
 政党支部について自民の政治家の本音は何か。
 「確かに公党の支部ではあるが、私も『自分の財布』という感覚があった」
 衆院議員を4期務めた宮沢博行氏(50)はそう明かす。……辞めるまでの直近2年間の政治資金収支報告書によると、党支部の収入は年間5,000万円前後。「ざっくり半分が党から受け取ったカネ、もう半分が自分で集めたカネだった」
 「自分で集めた」というのは、自己資金や自分の政治団体からの寄付を除くと、パーティー券収入や企業・団体からの献金だ。宮沢氏の場合、500万~800万ほどだった。
 「中小企業を回り、100~200社から数万円の小口寄付を頂いていた。前任の支部長からの引き継ぎは一切なく、私が自分で回って口説いた企業ばかり。『自分で稼いだカネ』という意識があった」
 宮沢氏によると、自民では支部長が交代する際、政治団体としての党支部は引き継がず、新たに作り直すという。
 「私も前任から引き継がなかったし、辞職して支部は畳んだ」。このように、自民の党支部はあくまで個人にひも付けられている。……
……岩井(日大)名誉教授は「政党支部が『個人の財布』なのは明らか。実態が建前(党勢拡大のため)とあまりにもかけ離れている。政党支部とは何なのか。そのカネは誰のものか。もうごちゃごちゃになっている」と指弾する。……

 政治家は……というにとどまらず、おとなは、こういうこと、一つひとつに「けじめ」をつけられないことが、社会、特に子どもたちの公徳心とか倫理感を失わせる一因になっていると考えるべきだと思います。失望や虚無感や不信感の積み重なった子どもがおとなになっていくのは、決してよいことではないでしょうから。




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